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パン屋のロスを少なくする実践編

食品ロス大国日本。

かどうかは他の国を見てないので知りませんが明らかにおかしい小売のルールはあります。
3分の1ルールや恵方巻、クリスマスケーキなど季節商品の廃棄などの過度の供給。
海外では食品廃棄禁止法やビニールのレジ袋が当たり前に禁止になってる国もあると考えるとかなり遅れていると思ってます。

かつて働いていたチェーンのお店でも売り逃しがないように閉店までワザとパンを残して廃棄していた店もあります。

せめて自分の店ではパンの廃棄を無くしたい。
素敵な生産者さんから頂いた食材を無駄にはしたく無い訳です。

商品の種類を絞るのも一つの手ですが、選ぶ喜びや作る方の楽しさもあり何だかんだで30種類弱位作ってるでしょうか。

今回は効率や労働時間は置いといてなるべく売れ残り廃棄を出さない方法を考えます。

まずパンを毎日売り切るのは無理

一握りのよほど凄い人気のパン屋でない限り毎日売り切りはほぼ無理だと思います。
もちろん曜日、天気、風の強さ、周辺のイベントの有無(これはまだあまり対応出来てない)などは考慮しますが同じ平日でも午前中に集中したり午後ポツポツと来たりと流れは全然違います。

今の傾向だと休み明け(月、火曜定休)の水曜日は食パンが割と多く出たり、単価が高いパンは土日に多く出るとか商品ごとに変わってきます。
本当はデータ取ってABC分析とかするんでしょうけど今は感覚でやってます。
で、こないだ火曜日が祝日だったとき水曜日の食パンがあんまり売れなかったんです。
スタッフと話していて恐らく祝日が入ったので火曜日に他でパンを買ったんじゃないかと話してました。
そして金曜日に凄く混んだんです。火曜日に買ったパンがみんな同じ周期位で無くなって混んだ、と考えてます。
こういう時に主婦の方の話は凄く参考になります、どんな生活スタイルなのかを想像する事は凄く大事ですね。
近くの大型店でセールやってるとついでにそこでパン買っちゃうとかの情報だったり。

ここでしか買えない価値をもっと出す事が出来ないと難しいですね、頑張ろう。

で、同じ曜日の同じ天気でも5千円とか1万円とか平気で売り上げ変わるんです、例えば先週8万売れたから今週も用意して7万だとしましょう。
パン1万円分って一個の単価が200円だと仮定すると50個分になるんです。
どれだけ売り上げ予測が大事になるか痛感してます。

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残ったパンをどうするか

売り上げ予測を最大までしてそれでも残ってしまったのはどうするか。

基本的に二次加工する、誰かにあげる、棄てる、
辺りになるんじゃないでしょうか。
棄てるはしたくないし毎回誰かあげる人を探すにも限界があります。
どこかのパン屋さんが余ったパンをインスタで募集した人にセットで販売するってやってました。
安売りとは違うアプローチなのでとても良いと思いましたが、まずフォロワーが沢山いないと成り立たないですね、ここも頑張ろう…。

作るパンの種類を限定する

初めと矛盾するかもしれませんが種類が多ければ多い程二次加工品には使いにくいです。
そしてシンプルな方が加工しやすい、バゲットはいくらでも加工出来るけどアンパンやカレーパンは加工しにくい訳です。
だからウチでは二次加工しにくい商品は売り上げの上下があってもほぼ売り切れる量しか作ってません。流石にそういうのが無いのも寂しいので。

加工でバリエーションを出す

パンの種類を減らして後から加工する事で商品数を増やします。
例えば生地でソーセージを包む事はせずにバゲットとして焼き上げてからソースとソーセージを挟む事によって減った分だけ作れます。

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メリットとしてこまめに作れるので焼きたての回数も増える。数の上下にも対応しやすい。パンを焼いてからの加工なので生地の成形技術を持ってないパートさんでも作る事が出来る。焼く前の細かい作業がないので過発酵などの心配が少ない。などがあります。

デメリットとして忙しい時はこまめに作るので他の作業が進まないというのはあります。

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写真は同じ細めのバゲットを作ってホットドックにしたりクリームチーズとラムレーズンを絞ったりして甘いものも食事パンも展開しています。


二次加工する

そして例えばバゲットを焼いておいて数種類に展開しても売り上げの上下でどうしてもバゲットなど残るのでラスクにしたりタルティーヌにしたりフレンチトーストにしたり。
ここで意識してるのは当たり前ですが二次加工はより美味しく変えてあげる事。

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自家製ハムと粒マスタードで甘くないフレンチトーストみたいにしたり…

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アーモンドクリームとフランボワーズのジャムでクロワッサンオザマンドにしたり。

より付加価値を付ける事で買ってもらえる事を意識してます。

そして日持ちさせるのに重宝するのがラスク。

日持ちさせるには乾燥させる、塩漬け、砂糖漬け、油漬けなどありますがパン屋が出来るのは乾燥位。
パンがある時はラスクが売れるお店は正直凄く助かります。

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あと色んなパンをラスクに出来るのも強みです。

上の写真のパンは全て残るとラスクにしてます。
シンプルなパンだからこそ、こういう事が出来ると思います。

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バリエーションを出しやすいのもあります。
写真は醤油と七味の変わり種。お酒のおつまみにもなります(飲めないけど)。

通販を始める

まだ手を付けてないですが通販はロスも基本出ないし理想的な環境だと思います。
経営的には浸透さえすれば顧客が全国に広がるし、生産量の安定にも繋がりいい事が多いと思います。

フードマイレージや包材が増える事は少し懸念ですが、ビニールを使わない包装や何より好きなお店を遠くにいても応援出来るのは嬉しいですね。
ウチでもそのうちやりたいとは思っています。

でもやっぱりお客さんとのコミュニケーションってデカいんですよ、美味しかった、誰々にお土産に持っていくんですよ、とか日々対面で言ってもらえると事はモチベーションとしてとても大きいです。

結局愚直にやるしかない

ここまで書きましたけどちょっと気を抜いたり、今日は来るはずだから沢山作ろうって言って外したり…(この時の落ち込み方はハンパない)すぐに上手くはいかないです。

それでも焦がしちゃったとか、仕込み自体を間違えたとか以外はほとんどパンは棄てずにこれてるので一定の効果はあるのかなと思います。

結局食材がもったいないが第一ですけど、経営者として考えても売れ残りはいい事ない訳でこれからも模索して行きます。

欲を言えば自分らしいパンをもっと焼きたい。

不味いものを作ってるつもりは無いけれど、忙しさにかこつけて小手先のパンしかまだ焼けてない気がします。


食材の事、経営の事、労働時間の事。

どれも一筋縄ではいかないけれど難しいから面白い。

少しずつ変えていきたいと思います。

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