220821 青春18きっぷで1500km大移動④(只見→只見→只見)
今日は川崎に行ってきました。住んでいるのも川崎なので「川崎に行く」と言うと少し違和感がありますが、この場合の川崎とは川崎駅なのであって、家から川崎駅までお出かけしたということです。何をしに行ったかと言えば魚を買いに行ったのですが、ぼくが満足するような魚はなかったのでそそくさと退散してきました。ぼくは高校生の頃は魚オタクをやっていて、休みの日にはよく魚屋に出かけていた記憶があります。オタクが高じるあまり修学旅行で迷子になったこともありましたが、それも今となってはいい思い出です。
昼ご飯はインドカレー屋に行きましたが、なんとこの店はタブレットで注文する方式が採用されていました。インドカレー屋と言えば片言の日本語を話す店員が「イラッシャイマセー」と言いながら注文を取りに来るものですが、この店ではそのようなことはありません。しかしインドカレー屋は間違いなくインドカレー屋なのであって、「小さめ」と注文したお代わりのナンが最初に提供されたものよりも大きいという謎の事態が発生していました。もっともそんなことを気にするような人はインドカレー屋がそもそも向いていないのであって、そういう人は吉野家にでも行っていればいいのです。インドカレー屋とケバブ屋というのは何事も思い通りになりません。
ぼくとインドカレー屋の付き合いは長く、それは🗼♨に在学していたころに遡ります。🗼♨の目の前には「ラージャ」なるインドカレー屋があり、そこは芝生御用達の店でした。芝生に御用達にされたからと言って誰も何もうれしくないとは思いますが、特に試験期間中には芝生で結構混雑していた記憶があります。みんな890円のAセットを頼んで1000円札を出すので店員は110円のお釣りを取るのが異様に速い店でした。この前行ってみたらお釣りが21円になっていたので「110円じゃないの?」と聞いてみたら、890円が税抜き890円に変わったので税込み979円になったとのことでした。
この店もなかなかにすごい店なのであって、料理か飲み物か、大体何かを出し忘れるという素敵な店です。ラッシー(ランチセットのメニューには書いていないですが頼めば出てきます)が食後に出てくるとか、食前に出てくるはずのサラダがカレーと一緒に出てくるくらいは日常茶飯事で、ひどいときにはカレーが出てこないということもありました。注文してもなかなか出てこないのにあとから入ってきた人たちはすでに食事を終えているのに不思議だなと思っていたら、しれっとした顔でぬるくなったカレーとナンが出てきたのです。ぼくは猫舌なので別にカレーが熱くなくても何も困らないどころか一周回ってありがたいのですが、なんと提供まで40分かかりました。40分何も言わずにいたぼくもなかなかのものですが、普通40分経ったら作り直しますよね。
40分と言えば、ぼくが所属していた某部活のOB会の二次会で入った居酒屋でも40分待たされたということがありました。正確に言うと待たされたのは45分で、待たされたのは料理ではなく箸だったのですが、思い出したついでにこの話もしておきましょう。
この時、一次会が終わったOBご一行様は二次会をやることを決定し、その辺にあった居酒屋に入りました。そこでお通し(確かイカの塩辛)が出てきたのですが、箸が出てこなかったのが事件の始まり。箸がないので当然誰もお通しには手を付けず、久しぶりに会ったOB同士で会話に興じていました。いつになっても箸が出てこないので店を変えることにしてまずは店員を呼び、その場の最年少だったぼくが「初歩的な質問で恐縮なのですが、この店ではイカの塩辛を手で食べることになっているのでしょうか?」と皮肉たっぷりに質問。そのあと先輩方が「え?このお通し代がかかる?あなたたちが箸を出さなかったから食べられなかったのに?」などと交渉なのか脅迫なのかよくわからない交渉をし、一切の金銭を支払うことなく店を変えることに成功しました。ま、頭と口の回転が速い人たちを相手にする店員もかわいそうだなと思わなくもありませんが、箸を出し忘れた自分たちの失敗が原因ですから仕方ないでしょう。そのあと入りなおした居酒屋ではお通しに箸が付いていたので(当たり前)、店員に「この店ではお通しに箸が付いてくるんですね!」とか言って店員を困惑させたのも今となってはいい思い出です。
只見を徘徊
さて、また話が盛大に脱線していますが旅行記の上では筆者は只見に放置されているはずです。現在のダイヤではここでほぼ5時間近い乗り継ぎ時間が発生します。新しいダイヤがどうなるのかは知りませんが、乗り通しの列車ができるのかそれとも只見での乗り継ぎは維持されるのかどちらなのでしょうか。もし列車が只見を素通りするということになってしまえばここで途中下車する客が減ることは容易に想像がつきます。しかし、この町は意外と見るものが多く、結果的にこの5時間の待ち時間を持て余すことはありませんでした。
只見駅は駅の待合室の中に観光協会のようなものが入っていて、そこで自転車を貸してくれます。普通の自転車が一日500円、電動自転車が一日1000円、イタリア製の高級電動自転車が一時間1000円となっている中でぼくは高級ではないほうの電動自転車を選びました。今回、ぼくは田子倉ダムまで行こうと思っていたので電動にしましたが、その手前の只見ダムまでしか行かないというのであれば普通の自転車で十分でしょう。只見駅から只見ダムは平たんな道路ですが、只見ダムから田子倉ダムの間が坂道なのです。しかも坂道どころではなくて山道でした。田子倉ダムの下から上に行くには碓氷峠のような感じのクネクネ道を10分ほど登る必要があるので、ここまで行くなら電動自転車がオススメです。
そんなわけで自転車を借り出し(サドルの調整すらしてくれませんでしたが)、まずは只見ダムの方へ漕ぎだしました。まずは途中にあった「ブナと川のミュージアム」なる博物館に寄り道します。入館料300円を支払うかどうか迷い、結局入館しました。30万円の株は躊躇なく買うのに300円の入場料を支払うか迷うというのはなかなか変な話ですが、株式投資家というのはそういうものです。
入ってみたらなかなか面白い展示をしていて、ぼくが行ったときにはカエルの特別展をやっていました。ヒキガエルだのアマガエルだのツチガエルだの、細かいことはよく知りませんが色々なカエルの生体が展示されていてなかなか見ごたえがあったように思います。常設展の方は只見のあたりに広がるブナの森林がいかに豊かであるか、またどのような伝統文化があるかということを説明しているもので、たくさんの剥製が展示されていたり、魚の生体が展示されていたり、かつて使われていた道具が展示されていたりと結構深堀した転時がなされていました。展示内容を考えれば、300円はペイすると思います。なんだかんだで30分か1時間くらいは滞在していました。
そのあとは只見ダムに向けて自転車を走らせました。ただこの道もなかなか面白く、そこら中に虫が落ちています。トノサマバッタやらカマドウマやらコバネイナゴやらがそこら中を道路を横断しているのですが、中には渡っている途中で車に轢き殺されたものもいて、そこにはアリが群がっていました。上空ではオニヤンマが飛び回っています。オニヤンマは只見線沿線に多く生息しているようで、このあたりでは頻繁に目にしました。遠くから見ても見間違いようがない巨大な体と大きな羽音は何度見ても聞いてもかっこいいものです。
そういえばこの道には昆虫のほかにも野球部員という生き物が生息していて、すれ違うたびに「こんにちは!」と挨拶してくれました。田舎ゆえの習慣なのか野球部の決まりなのか知りませんが、そのたびに返事をしながら走っていきます。この前🗼♨に行ったときにぼくと顧問の先生が歩いているのを見た硬式野球部が「こんにちは!!!」と絶叫していたことを考えると、野球部はルールとして絶叫している可能性が高そうです。そういえば、ぼくが🗼♨の生徒と初めて会ったのは多摩川の河川敷で虫取りをしているときでした。虫取りをしていたら丸刈りの一団が走ってきたので道を譲ったら立ち止まって帽子を取って「ありがとうございます」と挨拶してくれたのが始まりです。確かその時のぼくは小学4年生だったと思いますが、「野球部って変わったことするなあ」と思っていたらその変わったことをやっていたのがまさかの🗼♨の野球部でした。
虫と野球部員を観察しながら自転車を漕いでいると、只見ダムに到着しました。ここのダムはロックフィルダムというそうで、「ダム」と言われてイメージするダムとは少し違った見た目をしています。堤の高さがそれほど高くなくて、上も普通の道路のようになっていました。下を見下ろしても目が眩むような高さということもありません。なお、堤の上を渡ろうとしたら巨大なコガネグモがトンボを食べていました。あまりの大きさに思わず自転車を止めて写真撮影。
堤を渡るとダムについての展示がされている建物があったので入ってみました。時間には十分に余裕があったし、入館料が無料だったので(ここ重要)入ってみることにしたわけです。中では水力発電のシステムやダムの種類、J-Powerが保有しているダムが紹介されていたりといった感じでそれなりに見るものはありました。二階で流れていた映画は謎でしたが、まあ大体田舎の施設というのは謎めいた映像を流すものなので良いことにしておきましょう。
建物を出て、今度は田子倉ダムへ向かいます。田子倉ダムは只見ダムから見える上に一本道なので道に迷いたくても迷えないというか、ここで迷えるとしたら相当な才能を感じざるを得ません。只見湖沿いの道路をダムの方へ走っていくと、10分ほどで田子倉ダムの下に到着します。ここまでのぼくは思っていました。「こんなの電動自転車じゃなくても余裕じゃん。観光案内所の人に騙されたかな?」と。どのみちもう二度と来ない客相手なので取れるだけ取っておこうというのはこの手の田舎の施設ではありがちなことです。
しかし、ここ只見に関してはふつうの自転車で行けるのはダムの下までで、上まで行こうとすると普通の自転車で行くのはなかなか辛いものがあると思います。ダムの下から上までは先述の通り峠道を10分ほど上がる必要があるため、ここから先は電動自転車は強い味方となるのです。とは言ってもこんなところに自転車で来るのは相当な変人なのであって、ふつうの人はバイクか車で坂を駆け上がっていきます。自転車で坂道を上っている人には一人も会わなかったし、何ならダムの上で「君、ここまで自転車で上がってきたの?すごいね!」と声をかけられました。堤の上に上がってみるとこちらの田子倉ダムは高さを感じます。高さ145mだそうです。ぼくは高所恐怖症なのかそうでないのかよくわかりませんが、「おお、結構高いな」という印象はありました。逆に言うと、高低差145mの移動をするわけですから電動自転車が必須というのは納得できる話でしょう。
そんなわけでダムの上に行ってみるとなんと驚き、特に何もありません。展望台があってブランコが置いてあったのと、休憩所が設置されていた以外に特にこれといったものはありませんでした。ちなみに休憩所の周辺はスズメバチだらけで、オオスズメバチが入口付近を飛び回り、キイロスズメバチはなぜか地面をトコトコと歩いており、トンボも「ぼくもハチですよ?」みたいな顔をして飛び回っており、若干の危険を感じたものです。別にスズメバチだって人のことを刺したくてウズウズしているわけではなくて人間との距離が縮まりすぎてしまった場合にやむを得ず攻撃してくるだけですが、この密度でハチが飛び回っていては、さすがのぼくといえども危険センサーが働きました。ここからさらに5㎞ほど進むと田子駅の跡地があるのですが、さすがにこれ以上自転車で進むとこの先の列車に間に合わない可能性があったので断念し、ここで引き返します。
帰り道はまあなんというか、「とっても快適」の一言に尽きました。ペダルを漕がなくても自転車が進む、なんと幸せなことでしょうか。行きは15分、帰りは5分。帰りには「あれ?意外と距離ないぞ」と思ったのを思い出します。
さて、ここで昼ご飯を食べる場所を探します。休憩所のレストランはやっているのか定かでないというか、仮にやっていたとしたら「よくそのモチベーションで店を開けてるな」というくらいの無気力さを漂わせていたのでここでの昼食は断念。坂の下に降りたらいい感じの店があったものの「フォアグラ丼」などという言語道断なメニューばかりだったのでここもパス。こんな山奥でなぜフォアグラを提供しようと思ったのかは定かではありませんが、値段(2000円以上)の面でも気分の面でもフォアグラを食べるのは自分にとっては良い選択ではないと考えたわけです。
しかしここはこれ以上ないくらい田舎なのであって、コンビニは近くにありません。普段であればコンビニでパンを二つくらいとアイスコーヒーを買って車内で食べるのですがどうもそのような行動は許されなさそうです。自転車を走らせているとレストランの看板が出ていたので行ってみると、スキー場にくっついているレストランが営業していました。正確には営業時間を15分ほど過ぎていたようでオバチャンたちは昼ご飯を食べながら雑談に興じていましたが、シェフのオジサンだけはまだ厨房にいて「いいですよ、食べるなら作ってあげるよ」と言ってくれたのでここで昼食を食べることに決定。ソースカツ丼970円です。世の中で絶品といわれるようなカツ丼と比べたらもちろん「絶品」というわけではありませんが、こういう旅先で食べる何と言うこともないような食事は意外とおいしかったりします。格式ばったところの料理よりも記憶に残っていたりするものです。自転車で散々(20㎞くらい)漕ぎまわった後ということもあり、このソースカツ丼はおいしく感じました。
さて、そのあとは引き続き虫をよけつつ駅の方へと自転車を走らせます。なお、このあたりにはツキノワグマが生息しているそうなので遭遇しないように自転車に乗っている間は常にヤマダ電機やヨドバシカメラの歌を歌っていたためにクマに遭遇することはなかったものの、スズメバチとの衝突事故は発生しました。虫たちにはきちんと前を見ながら飛んでもらいたいものです。ま、虫からしたら突然自分の体調の数十倍の大きさの生き物が大声で聞いたこともない歌を歌いながら迫ってきたら相当な恐怖を覚えるでしょうから、避けきれずにぶつかってしまったのも仕方のないことかもしれません。
駅前には何もないと思っていたら何かある方に行っていなかっただけのようで、申し訳程度にレストランやらデイリーヤマザキやらが建っていました。なお、先ほどの「ブナと水のミュージアム」の入場チケットは近くの民俗資料館の入場チケットとしても使えるので、300円のチケットで2か所の施設を見学することができます。あまり民俗的なことには興味がないのと、時間がなかったのとでこちらはパスしましたが興味のある人は行ってみるといいかもしれません。
明日、長岡に到着する(はず)
というわけで只見での思い出を事細かに記述していたら字数が6300字に迫るというとんでもない様相を呈しているので只見から先の話は明日以降に書くことにして今日の記事はこれで終わりにしたいと思います。さすがにこのブログが重厚長大を売りにしているとは言ってもスマホの小さな画面で6000字を超えるような記事を読みたいという読者はほぼいないと言っていいでしょう。なお、この旅行記をさっさと書き上げないと次の旅行が始まってしまうため若干の焦りを覚えていないと言えばウソになります。
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