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220926 北海道一周旅行記⑤(登別→函館)

 さて、今日も今日とて旅行記です。前回の5日間の旅行を記録するのに10回分の記事を要したことを考えると、この旅行記は完結するのにおよそ16回分の記事を必要とします。しかし、出発してからまだ半日なのにすでに旅行記は⑤に到達しており、早くも雲行きが怪しいところです。しかし、これは一日目があまりにも充実していたためにこのような状況になっているのであって、4日目はただひたすらに走り続けていただけでしたから、そういうところで遅れを取り戻すべく回復運転していきたいと思います。
 回復運転というのは一般的に用いられている用語だと思っていたらそうではなくて、ふつうの人に言っても通じないもののようです。待ち合わせに遅れそうなときに「品川で抑止されてる」とか言ったら通じなかったことがありますが、オタクは自分たちが使う用語がどこまで一般人に通じるのかというのを気にかけなければいけません。ぼくも飛行機好きと車に乗るとシートベルトを「ショルダーハーネス」と言ったり、交差点を曲がるときに「クリアレフト」「レフトサイドクリア」と言いながら曲がったりしていますが、そういうことをうっかり一般人相手にやらないように気を付けているところです。

先日発見した巨大トレーラー(写真と本文は関係ありません)。

まずは長万部へ向かう

 北海道の地理に明るくない人は地図を見ながら読んでもらえばいいのですが、登別というのは札幌のすぐ近くで、まだ室蘭にすら到着していません。ちなみに長万部はもっと先です。ここから札幌までは300㎞ほどでしょうか。札幌から函館は直線距離で300㎞くらいですが、実際には噴火湾をぐるっと回っていくので走行距離はさらに長くなります。しかも、ぼくは海岸線に沿って走るため函館に東側の半島を経由してアプローチするため、走行距離はさらに長くなるのです。
 というわけで、実勢速度90㎞の道路をひたすら走り続けます。室蘭を超え、長万部に着く頃にはもう真っ暗。長万部は2年前の夏にも訪れたことがありますが、その時に立ち寄ったセイコーマートの前を偶然通りかかりました。長万部はJR北海道の駅の中では割と主要な駅なので駅前にセイコーマートくらいあるだろうと思ったらなくて、駅から10分くらい歩いたのを思い出します。要するに、函館本線としては重要な駅である一方で街としては大したことはなくて、駅前には「ようこそ理科大の街へ」という垂れ幕がかかっていました。理科大は「東京」理科大学に入ったのに学部によっては長万部に飛ばされるというなかなか変わった大学ですが、そのキャンパスがあるのがまさにこの長万部なのです。
 何もない長万部ですが、最近は別の観光名所も誕生しています。ちょっと前に神社の脇から水が噴き出したというニュースを見た覚えがあるという人もいると思いますが、あの神社があるのも長万部です。というわけで見に行こう、と思い立ち神社の近くに行ってみるとあたりに轟音が響き渡っていました。一定の周期で「ザッザッザッ」という音がするので何かと思ったらそれが水柱の音だったのです。駐車場に車を止めて見に行きましたが、真っ暗だったので何も見えず、雰囲気だけ堪能して帰ってきました。どうやら数日前に突然水の噴出が止まったようです。不思議ですね。
 すでに真っ暗ですが、まだまだこれから先が長いのです。これだけ走ってまだ噴火湾の上半分に差し掛かったくらいなのですから、北海道の広さは圧倒的ですね。この頃のぼくは一日300㎞くらいしか走った経験がありませんでしたから、この段階でもだいぶ長距離ドライブをしたつもりになっていました。しかしこのあたりでやっと半分といったところでしょうか。暗い夜道をひた走ります。
 北海道の夜というのは本当に真っ暗です。もちろん大きな通りには街灯がありますが街灯すらない道も多く、そういう道はほんとうに明かりが何もありません。だからこそ街に辿り着いたときにその明かりにほっとするわけです。明かりのありがたみは北海道にいると際立ちます。
 しかし、車の方にも心強い機能が付いていて、それはハイビームアシストです。ノートにはオプション装備ですが、今回借りた車には装備されていました。ヘッドライトがLED化され、そこにハイビームアシスト機能が付いています。このライトは素晴らしかったですね。ライトをAUTOにしておけば勝手にライトがつくのはもちろん、ハイビームを使える状況になれば勝手にハイビームにしてくれて、対向車が来たらその部分だけ減光してくれます。「ハイビーム/ロービーム」の切り替えだけではなくて、どうも部分的な遮光を行っているようです。さらにフォグランプもLED、リアフォグも装備されています。ハイビームにすれば道路を走るうえで必要な範囲はほぼすべて見えると言っても過言ではない能力でした。道の先にいるキツネも良く見えましたよ。

このライトが優秀。驚くほど先まで見えます。

北海道の動物あれこれ

 北海道の道路は特に夜になると至る所に野生動物がいます。特に厚岸のあたりはシカが多いので注意が必要です。ぼくが北海道で初めて遭遇した野生動物はキツネで、道の端っこにいたので最初は気づきませんでしたが、すれ違う時に「あ、今キツネいたな」と気づきました。キツネは積丹岬から小樽の間を走っているときにも大量に目撃しましたが、大体は道路の端を控えめに歩いていた印象があります。たまに道路の真ん中にちょこんと座っていることもありましたが、その場合には目が光っているのですぐにわかりました。
 別にキツネくらいならどうということはありません。おそらくぶつかっても車が勝つでしょう。リスも見かけましたが同様です。しかし、北海道には車を破壊する動物も生息しています。シカとクマです。クマは今回遭遇しませんでしたが(クマ牧場を除く)、シカは何度も遭遇しました。厚岸のあたりでは5分か10分に一度くらいのペースで遭遇しましたが、シカとの最初の出会いは函館まであと30㎞くらいに迫った山の中でした。「あれ、なんかいるぞ」と思って速度を緩めたら目の前を夢のように大きなシカさんが二頭、悠然と歩いていたのです。エゾシカというのは元々大型化する種類だそうで、法隆寺とか奈良公園のあたりをうろついているシカと比べると一回りか二回りくらい大きいと思っておけばいいでしょう。頭は身長172cmのぼくの頭と同じくらいの高さのところにあると言えば大体の大きさが想像できるでしょうか。ちなみにこのサイズのシカと衝突すると車の方はボンネットがめくれて廃車になることもあるそうです。
 しかし、「シカ飛び出し注意」という看板とは裏腹に飛び出してくるシカには遭遇しませんでした。左右をよく見てからわたっているようです。道路の端に姿勢よく立ってこちらを見つめているシカもいたくらいです。最近はシカの世界でも交通安全教室とかあるんでしょうか。「いいですか、人間は時速70㎞くらいで走ってきます。ぶつかると痛いので道路を渡るときは左右をよく見て渡りましょう。」みたいなことをやっていたらなかなかかわいらしいものです。カーブを曲がった先の路上に5,6匹がたむろしているというのも見ましたが、クラクションを鳴らせば速やかに道を空けてくれました。意外と話が通じる相手のようです。シカも目が光りますから、注意して運転していれば大体気づくと思います。
 クマは野生の姿を見ることはできませんでした。狩勝峠の休憩所で休んでいた時に近くにいたような気がするのですが、真相は不明です。これは狩勝峠の話を書く時にも触れることになると思いますが、茂みの向こうの方から枯れ枝を踏んで歩くような声と何やら危機が迫っていることを伝えるようなシカの鳴き声、それから感じたことのない獣の匂いが漂ってきました。「あー、なんか野生のプーさんがいそうだな」と思ってしばらく様子を伺っていましたが、しばらくするとシカが静かになり、足音も遠ざかっていったためそこにいた動物が何なのかはわからずじまいです。
 北海道だとシカと鉄道はよくぶつかっていますね。ほぼ毎日、どこかでぶつかっているような気がします。ぼくも乗っていた列車がシカと衝突したことがありますが、その時に運転手から聞いた話によるとシカは列車と出くわした時に列車の進行方向に逃げるからぶつかるのだと聞きました。線路と直角に逃げればぶつからないのに、平行に逃げるから轢かれるらしいですね。誰かシカ語が話せる人がいたら説明しておいてあげてください。せんとくんが第一候補でしょうか。でも展示物を色々壊したからダメかな。
 まあなんでもいいのですが、北海道の、特に山間の部分を夕暮れ以降に走るなら「そこに動物がいる」と思って走った方が良いようです。道民から聞いた話だと「コウモリとぶつかった。グリルに刺さってた」というのもありました。コウモリは信じがたいほど不潔ですから、あとで割りばしで引っ張りだしたそうです。ぼくが乗っていた車のグリルにもバッタがぶっ刺さっていましたが、コウモリと比べたらまだまだマシですね。写真は自粛しておきますが、知床を走った後には砂埃と虫の死骸で車全体が大変なことになっていました。

この頃はまだ綺麗だったNOTE。なお、後ろのホテルはオススメです。

函館に到着

 さて、左手に海が見えるはずなのに真っ暗で何も見えないという恐怖の道を走行し、車は函館に到着しました。今日の宿は「フォーポイントバイシェラトン」という舌を噛みそうになるような名前のホテルです。名前に「シェラトン」と入ってはいますが別にシェラトンが作ったホテルではなくて、経営が傾いたホテルをシェラトンが買い取ったというような雰囲気を漂わせたホテルでした。要するにここに泊まって「なんだ、シェラトンはこんなもんか」と思うのは早計であるということです。PCは「早慶である」などと意味不明なことを言っていますが、放っておきましょう。ホテルの駐車場に車を止めると1000円も取られてしまうので徒歩1分30秒くらいのところにある最大料金660円のタイムズに止めることにしました。つまり、往復3分で340円節約することに成功したわけです。
 ちなみにチェックインした時点で午後10時くらいでした。こう書くといかに札幌から函館が遠いかよくわかるというものです。正午頃に出発して、ここまで10時間かかりました。晩ごはんをまだ食べていないので調達しに行かなければいけませんが、こんな時間に開いている店というのはどうでもいいような飲み屋だけです。しかし、北海道には心強い味方がいます。その名はセイコーマートです。北海道で限界旅行をしているような人にはセイコーマート依存症の人も多くいて、セイコーマートで100円のパスタを食べたら北海道のご当地グルメを食べたと勘違いしているような人が結構いる気がします。
 というわけでフロントでセイコーマートの場所を聞いてみたら「ええっ、うちみたいな高級ホテルに泊まってるのにセイコーマートなんかに行くんですか?」みたいな顔をされました。ぼくからしたらお前のところは所詮4桁で泊まれるホテルだろ、という話なのですが。しかもポイントで10%戻ってきているので実質一泊8000円です。そう考えると大したホテルでもありません。
 さらに問題はここからで、もらった地図に従って歩いて行ったらセイコーマートは影も形もありませんでした。駐車場しかありません。しょうがないのでGoogleマップを開いて正しい場所を探します。徒歩10分くらいのところにあるようなのでそちらに向かうことにして行ってみると、今度は地図通りの場所にセイコーマートが建っていました。ホテルマンよりGoogleマップの方が信用できるとは、ホテルの威信にも関わる問題のような気がしますが良いのでしょうか。カツ丼(大盛)を買ってホテルの部屋で食べることにしました。
 なお、このホテルに泊まった真の目的は朝食にあるのですが、その話をしているとまた記事の文字数がとんでもないことになってしまうので今日はここまでにしておきます。明日は例の如く盛大に寝坊し、危うく朝食を食べ損ねたところから記事を始めることにしましょう。

こちら、明日の朝食のクマでございまーす。

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