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『アメリカ暮らしの素人投資-3: 投資をするにあたって必要な考え方』

人口減により住宅余りが予想される日本とは違い、アメリカはまだ人口が増えていますし、住宅の価格も上昇傾向にあります。ケース・シラー住宅価格指数という景気動向を見る指標がアメリカにはあるのですが、住宅バブルが崩壊した2007年から2012年までの下落・低迷期間を過ぎた後は、再び右肩上がりになっています。

私の友人・知人にも、上手に不動産投資を行い、複数の家のオーナーとなっている人たちがいます。なので、私自身も不動産投資を考えたことがありますが、株よりも向き・不向きがあるなと思い、最終的には断念しました。

不動産の場合、
1.まとまった頭金が必要である
2.一つの投資対象(住宅)に、大金を割り振るため、分散しずらい
3.物件探しから購入まで、煩雑な手続きを踏まなければならない
4.住宅は必ず老朽化していくので、メンテが必要であり、修繕費が発生する
5.入居者や、メンテ請負業者とのやり取りが発生する
6.突然お金が入用になったときに、現金化するのに時間がかかる
以上のことから、平日の時間に制限がある私には、負担が重いと考えて断念しました。

ですが、根っから人好き、特にお世話好きであり、日曜大工が大好きで、比較的自由な時間が持てる人には向いているのだと思います。つまり、3~5の作業を行うことを厭わない人には、趣味を兼ねた楽しい投資になる可能性大です。(たまたま私はそうではありませんでしたが。)

私が以前に不動産投資をなぜ考えていたかと言えば、とどのつまりは、「イメージ先行」だったからです。株と違い、不動産は「何軒持っているか」が明確で、家賃収入もだいたい想像がつきます。不動産投資で成功している友人・知人が周囲にいて、「1軒の賃料がXXXXドルとして、それがY軒だから、毎月ZZZZドルの収入があるんだろうなー、いーなー」などと勝手に想像(妄想?)しちゃってたわけです。住宅価格も上がる一方ですしね。

ですが、その収入がある一方で、彼らには頭金を支払い、住宅ローンを支払い、何かが壊れるたびに入居者とやりとりし、修理業者を呼び、その修理費を払い・・・という支出や、拘束時間が発生していたわけなんですよね。投資としての不動産を現実的に考え、調べるまでは、ここがまったくわかっていませんでした。

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一方、株や債券など有価証券の場合は、少額から投資が可能であり、選択肢は山ほどあって少しずつ多種類に分散投資が可能です。私がこのnoteでおすすめするインデックスをメインとした信託投資では、ひとたび投資銘柄を決めてしまえば、後は四半期から1年毎に、銘柄を見直してアセットアロケーションをしなおすだけなので、拘束時間もそれほどかかりません。

投資のプロではない人たちが、副業で投資をしようと思った時にどれだけの時間を割くことができるかは、非常に重要だと思います。じゃあ、いったいどれくらいならば適切なのか?

一つの考え方として、「自分の自給=自分の1時間あたりの価値」とするものがあります。例えば、自給$25で働いているとします。月に副業としての投資にかける時間が10時間だとするならば、1月$250、1年で$3000、10年で$30,000...それにたいし、どれぐらいのリターンを見込めるか?を考えるわけですね。もちろん元金がどれだけあるかでリターンは大幅に異なるので、あくまでも目安です。

特に初めの数年は、「そんなこと言うならば、本業で残業したほうがよっぽど稼げるわ!」となる人が大半でしょうしね。(だからといって投資をあきため、残業に精を出すのは、本末転倒になってしまいます・・・短期的には稼げるでしょうが、長期的には機会損失となります。)そう思うならば、自分はアマ中のアマ、スキルも知識もないところのスタートだと考えて、政府が決めた現在の最低賃金の$7.25を使って計算したってかまいません。

ただ、この考え方のメリットは、時間を数字で「見える化」することができ、比較することが可能になることです。同じ1時間$25(あるいは$7.5)をかけるならば、株・不動産、その他なんであれ、どの投資がin/out効率がよいのか?を比較することが可能になります。投資した分が実際いくらになって返ってくるかはやってみないとわかりませんが、検討材料の一つにはなります。

私の知るファイナンシャルリテラシーの高い方、稼ぐ力のある方は、みんなこの考え方が徹底していました。

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「お金に好かれるためには、お金を好きになれ」と言われることがあります。これは、言い得て妙だなぁと思います。長財布を使えとか、お札の向きを揃えろと言った迷信ではなく、

お金を好きになる=お金の有効な使い方に興味を持つ=金融の知識を持つ

ということなのでしょう。好きこそものの上手なれとも言えますが、知識があると間違いを防げます。アメリカ暮らしの素人投資-2で紹介した勝間和代著の「お金が銀行に預けるな」でも

正しい金融リテラシーを身につけて金融資産を運用している人は、その多くがしっかりとしたリターンを得ているのに対し、誤った知識で運用している人の多くは損をしているという結果が統計的に優位な水準で出ている

と言っています。これは、投資するにあたって、必ず一定以上のホームワーク(やるべき予習)をやっておく必要がある、ということです。しっかりとした知識なしに、「友達がもうけているから自分も」という勢い先行、感情に振り回された投資では、失敗する確率が高くなることが、データ上でも証明されているということですね。

投資と投機の違いは、リスク管理ができるかどうかだと言います。もちろん、未来が見える水晶玉はないので、プロ含め、どの株が将来値を上げるかを知っている人はいません。ただ、株などはこれまでのデータがあります。そのデータをもとに、確率計算はできます。「確率計算ができる金融商品=リスク管理ができる金融商品」だとも言えます。

もちろん私含め素人はなかなか数式計算ができませんが、ただし証券会社などが出したデータはネットで入手可能です。要はそのデータの解説ふくめ、情報にちゃんと目を通しましょうね、ということなんですよね。

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