『アメリカ暮らしの素人投資-8: アセットアロケーションをどう決めるか(その1)』

投資について話をする場合、ついつい「何を買うべきか?」に注目があつまりがちです。「だって、どれだけ素晴らしい株を買えていたかでリターンが決まるじゃない?」と。

ですが、実はリターンの8割(本によっては9割と書いてるのもあり)を決めるのは、「何をどのタイミングで売り買いするか」ではなく、「株や債券、不動産など、資産をどういう配分(比率)で持つべきか」つまりアセットアロケーションです。

えっ?

と思う。少なくとも初めてそれを聞いたときの私の感想は「えー?信じがたい!」でした。ですが、世の中過去のデータを調べ、いろんな投資パターンのシミュレーションを行い、「何が最大のリターンをもたらすものか」という理論を追求してきた学者さんたちがいて、そう言っているんですよね。

大ベストセラー「ウォール街のランダム・ウォーカー」によれば、アセットアロケーションを決める際の前提条件は以下の通り。

1.歴史の証明するところによれば、リスクとリターンは正比例している。
2.株式も債券も、投資のリスクは投資機関に依存する。投資期間が長いほど、リスクは低下する。
3.ドル・コスト平均法は株式・債券投資のリスクを有効に軽減する。
4.リスクに対する態度と、リスク許容度は区別しなければならない。

1について・・・例えば債券よりも株式のほうがリスクは高いですが、その分リターンも高い。

2について・・・株式市場は暴落したとしても長期的には回復していきます。よって長く株式を保有すればするほど、価格変動の影響を受けなくなります。(株価のグラフの乱高下も、長期で眺めればなだらな右肩上がりになる、というヤツです。)

1と2の理由から、老後資金などに投資をする場合、若ければ若いほど株式の比率を高くする一方、リタイヤが近くなればなるほどリスクの低い債券比率を上げていく必要があります。

3について・・・ドル・コスト平均法とは、401(k)のように毎月、四半期毎などの決まったタイミングに決まった額で同じ金融商品(投資信託など)を継続的に購入するやり方です。株価が上がっていけば資産額が増えるのでうれしく感じるし(とは言ってもリタイヤ間近というのでなければ、高値を付けていること自体は良いことばかりではない)、逆に株価が下がった月には廉価でより多くの株数を買えてお得になります。

また、一株当たりの平均購入価格を計算してみると、投資期間全体で計算する平均価格より安くなります。これは、高値で買った時よりも廉価で買った時のほうが、購入株数が多くなるため。

さらには、タイミングを読まずに継続的に購入していくので、いつが最安値か、あるいは最高値かを心配しなくてすみます。結局「あの時が最安値だった」というのは振り返ってみたらわかる話で、実際渦中にいるときはわからないもの。このタイミングを見計らって一気にドン!で買うのはものすごく難しい(特に私のような素人には!)。テクニカルな話だけではなく、人には「損をしたくない」という心理が働くため、なおさら難しいのです。

同じく大ベストセラーの「敗者のゲーム」によれば

率直に言って、個人投資家が市場を見ながら売買する時はだいたい失敗する。彼らはマーケットの中心から外れているため、楽観しすぎたり悲観しすぎたりして上昇相場にも下降相場にも乗り遅れるからだ。

ですと・・・。手厳しい。

4について・・・リスク許容度とは、投資以外から得られる収入がどれだけあるかです。特に大きいのが年齢。1と2でも書きましたが、リタイヤ間近で、就労収入が近いうちに無くなる予定でしたら、小型成長株などのハイリスクの金融商品は避けるか比率をぐっと下げる必要があります。

リスクに対する態度、これはリスクを好むかどうかの性格と言っていいかもしれません。大きなリターンを取るためにリスクを厭わないという性格か、あるいは少しでも損をするのは嫌だと思うか。株価の比率が高くては夜ぐっすり眠れないというのならば、比率を下げる必要がありますが、これは主観的要因です。

自分にとって最適なアセットアロケーションはどんなものなのか?これ、本やウェブを調べても、あいまいな回答が多い。何がベストなのか結構調べたのですが、「これで決まりさ」という白黒はっきりしたものが出てこないんですよね。「あなた次第です」でおしまいにされてしまう。それがわかんないから調べてるのに!と思うんですが。そうはいっても、仮決めでいいから、えいいっ!と何かを決めないといつまでも投資を開始できません。どういう決め方があるのか、もう少し具体的なことは次回!



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