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働き方を選ぶということは社会との距離感を調整するということ

こんにちは、カスタマーサクセスストラテジストの山田です。今日はカスタマーサクセスとまったく関係ないことを書こうと思います。テーマは表題のとおりです。ぱっと見、重ために見えますがそんなに大した内容ではないです。

私は現在、Sansan社にパートタイムで勤務しながら、メインでカスタマーサクセスの支援コンサルを行っています。約7年間勤めあげた同社に区切りをつけ、2021年2月からから今の仕事のスタイル初めて約1.5年経ったので、今考えていることをまとめようと思い立ちました。私は若い人や社会に対してあーだ、こーだ言うのはキャラではないのですが、私の考え方が誰かの参考になると良いなとは思っています。

独立してどうなったか

本記事の読者がもっとも知りたいのがこれかなと思うので、まずこれについて書きます。幸いなことにクライアントも継続的についており、私がやりたかったカスタマーサクセス支援の仕事ができています。そもそも私がSansanのフルタイムジョブを卒業したのは他社のカスタマーサクセスの課題を知りたかったからです。

私が言うのもなんですが、Sansanのカスタマーサクセスは組織的に非常に成熟しておりCSアクティビティの揃い具合でいったらおそらく国内SaaS随一でしょう。もちろんそんな中でも課題は継続的に存在しており、同社のCS組織は今もそれらの課題と向き合っています。しかし、一つの会社に所属している以上、その会社に存在する課題以上のことは出てきません。世の中にはさまざまな会社があり、それらの会社が提供しているサービス・プロダクトもさまざまです。そして皆がそれぞれの事業経年数を経ています。

カスタマーサクセスだけに留まりませんが、そのなかで直面する課題は多種多様であり、これらの解決策に向き合うことは私の地力を鍛えてくれます。実際、この1.5年の間に受けてきた相談、そして解決に至った課題は私のカスタマーサクセスのキャリアに深みを与えてくれました。たった数十社の悩みに一年半向き合っただけにもかかわらずです。

これらのことは私の洞察や経験にインストールされ、ALL STAR SAAS FUNDが主催する『カスタマーサクセス集中講座』や同社が提供するブログメディアの中に活かされ好評を博しました。結果として、その講座やブログを見てくれた方が私にカスタマーサクセスのご相談をしてくださるという好循環を生んでいます。この循環のおかげで私は今も社会活動を営んでいます。

一人になって起こった変化

めでたくカスタマーサクセス支援コンサルのお仕事を受けられるようになった私ですが、Sansanの正規メンバーでなくなったことにより考えることもありました。それは、喜びや苦しみを分かち合える仲間がいなくなったことです。

「何のために働くのか?」という問いに対する回答は、私は初めから持っていました。私にとっての働くモチベーション及びミッションは、世の中にカスタマーサクセスの考え方とプラクティスを広めることです。カスタマーサクセスは非常にフェアな考え方であり、ビジネスの根本といっても過言ではありません。それは「顧客の成功こそが自分の成功を生む」というスタンスです。至極当たり前な考えではあるのですが、持続可能性が重視される昨今にあって、その考え方は今まで以上に重視されてきているといっていいでしょう。よって、カスタマーサクセスの普及は私にとって至極当然なミッションと位置付けられました。

しかし、クライアントに対して良い支援ができて感謝されたとしても、自分の中で「ふ~ぅ」と一息つくだけであり、振り返る相手も称えあう相手もいないことは私にとって大きな変化でした。独立する時に事業を継続する算段はある程度整えていましたが、このことが自分のマインドにここまで影響を与えることは想像できませんでした。だから今の自分には

  • 自分の書いた記事がどれぐらい読まれたのか?

  • 自分が登壇するセミナーやイベントのセッションにどの程度の人が参加してくれたのか?

  • その評価はどうだったのか?

私にとって大いなるモチベーションになっています。この記事の読者にも、これまで私のセミナーに参加いただいたり、コメントをいただいた方がいるかもしれませんが、本当にお礼を言いたい気持ちでいっぱいです。

働き方を選べる自由と社会との距離感

自分の足で社会活動を送れるようになって気をつけるようになったのは、「社会との距離感」のとり方です。カスタマーサクセスの支援コンサルをしていると聞こえはいいですが、実態は個人事業主と変わりません。そしてIT業界に所属している方であれば、昨今仕事を得ることはそこまで難しいことではなくなっています。IT人材は2030年には79万人不足すると言われており、近年副業も解禁されたため人材の流動性が高まっています。

私はいろんなクライアントとお仕事をしますが、副業でカスタマーサクセスに従事されている方が目立ってきているなと感じます。多くのインカムを望まなければIT業界でつつましく生きていくことは以前と比べてかなりハードルが下がっている印象です。

そしてここからが本題なのですが、働き方を選ぶということは「社会にどの程度コミットしたいか?」という問いに答えることであるということを知りました。社会にコミットする極端な例は企業に所属することです。いち労働者の個人的な見解で言えば、別に社会にコミットしたくて企業に所属しているわけではないですが結果的にそうなります。就職の理由が生活のためだったとしてもです。

ここで上述した「仕事を得るハードルが下がっている」の話に戻りますが、現在の日本では生活するために必要なお金も、そのお金を得るために職につくこともハードルが下がりつつあります。IT業界に所属する人であればなおのことです。

何を言いたいのかというと、社会にコミットしたくないのであればしたくないなりに何とかやっていけるということです。特にIT業界にはそのような流れが確実にあります。特にエンジニアの方はそれを体感しておられるのではないでしょうか。

そしてこの状況下で私が考えさせられたのは「お前はどの程度社会にコミットしたいの?」という問いです。この問題を考える時に同時に語られやすいのは「人生でやりたいことは何か」というテーマです。最初からこれを持っている人は社会との距離感やコミットメントなど考える必要はなく、やりたいことをやればいいんです。でもそうでない人(少なくとも私はそうです)は「社会との距離感をどのように取りたいか」で働き方を決めていい気がします。これが私がこの1.5年で学んだことです。

社会にコミットするということはそれなりに責任が生じますし、その裏返しとして自分も成長します。その成長実感を得るために社会にコミットする量を増やし、社会との距離感を縮めまくってもいいでしょう。でもそれに馴染めない人は「一体自分はどの程度の距離感で社会と付き合いたいのか」を考えてみてください。

今の私が選んだ社会との距離感

私はIT業界に飛び込んでその後20年間しゃにむに働いてきました。そのかいあって多くのビジネスバックグラウンドも手に入れたし、それなりの評価とお金を得てきました。しかし、50歳を迎えようとするにあたって、無作為に社会との距離を詰める生き方をするのではなく、自分にとって心地いい距離感を測ることに重点を置いています。

ちなみに、ギンギンに社会にコミットしたい起業家などを否定するつもりはなくむしろ尊敬しています。私の性格にはそれが馴染んでいないというだけです。

私のミッションはカスタマーサクセスの考え方とプラクティスを世に広めることですが、そのHowについてはいろいろやり方があるでしょう。カスタマーサクセスの学習プログラムを作成して販売したり、仲間を募って現在の会社を大きくしたりすることもできるでしょう。もちろん私もそれらの道を考えたことがあります。

独立したてのころは、知人が役員に昇格したり、起業したり、イベントでバリバリ登壇しているのをSNSで見て「俺はこんな状況でいいのか?」と激しく自問したものです。しかし、いろいろ考えた結果「そんなに社会に過剰にコミットする生き方は自分には合わない…」という結論に今は達しています。

私がカスタマーサクセス支援をする中で知り得た知識をメディアやイベントで発信し、その中から自分なりにアレンジして事業活動に活かしてくれる人が現れちょっとずつ世の中が良くなっていく。この程度の社会との距離感でも自分は十分に幸せを感じれると思いました。なので私はこの社会との距離感をしばらく保ちたいと思っています。

実はこのことは誰でもできるコミットメントの方法ではないので、私は非常に恵まれているとも思っています。

働き方に迷っている皆さんに伝えたいこと

今回このような記事を書いたのは、ある後輩から「今の働き方は本当に自分が望んだものなのかわからなくなった」という相談をもらったのがきっかけでした。これは誰しもが直面する可能性のある悩みでしょう。

その相談の顛末はここでは語りませんが、その時私が感じていた上述のような理論をかみ砕いてその人に伝えました。それがその人のためになったかどうかはわかりませんが、「そんな人生のプロトコルがあるんですね…」と言っていたのは印象的でした。なので、もし同じようなモヤモヤ感を抱えている人がいるのであれば参考になるかなと思って記事化した次第です。

若い時は社会にコミットすることが若者の義務であるかのように強制されますが、「いやいや、皆さんのバックグラウンドと今の社会情勢を見た時、そんなに過剰に社会にコミットすることが必ずしも良いと言えないのでは」という考え方も忘れないでほしいです。

一方で、私は若い時に社会に過剰にコミットする生き方を送ってきました。それによって今のポジションを得られていますし、非常に満足した時期だったと思っていることを補足しておきます。

こんなことを書きながらも、数年後にはあるスタートアップに転職してバリバリやっているかもしれません。人生のどこに楽しみを見出すかは人生のフェーズによって変わるでしょう。この変化を楽しむことも人生の醍醐味の一つかもしれません。

社会との距離感をこれまで意識してこなかった人は一度考えてみてください。

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