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地域社会に溶け込んだ「人事」を考えてみます。
本記事でいう「町人事」とは、
地域活性化に役立つような
人事サービスを提供できる事業者、とします。

似たような事例、「町〇〇」と言えば、
「町中華」「町医者」の存在があります。
この二つと比較対照しながら、考えてみましょう。

①町中華

中華料理(中国料理)のお店。
美味しくて安い、どの町にも一軒はあります。
もちろん本格的で高価なお店もありますが、
大衆的でレトロなお店も、たくさんある。

その中でも「なぜこんなところに…」
「なぜずっとお店がやれているんだろう…」
と思うような、町に溶け込んだ中華料理店。
これを、町中華と呼びます。

ラーメン、チャーハン、餃子、麻婆豆腐…。
決して珍しくないラインナップ。
でも飽きない、常連も多い。
お財布にも心情的にもヤサシイ。
それが、町中華です。

②町医者

『ブラックジャック』は、町医者ではない。
『赤ひげ』とか『Dr.コトー診療所』とか、
町に溶け込んだ医者を、町医者と呼びます。

『白い巨塔』『ドクターX』は
大学病院の中で働く医者で、患者にはVIPも多い。
そういう人たちとは異なり、
あくまで町の中で、市井の人たちを対象に、
診察し、病気の悩みを救っていく。
それが町医者、なのではないでしょうか。

もちろん、その在り方は千差万別です。
開業医として自分の病院を大きくしていって
「町の名士」となる町医者もいれば、
あくまで一匹狼的にこじんまりと、
何でも診察します、というスタンスの
孤高の町医者もいることでしょう。

③町人事

この①町中華・②町医者に対して、
「町人事」という概念を考えてみます。

まず、町中華、町医者がすでに
「町に溶け込んでいる」認められた存在で
あるのに対し、
「町人事」は、まだ認められた存在とは
言い難い
ところがありますよね。

なぜなら「人事」とは、
ある企業・組織「専属」のものであり、
不特定多数の、個人相手のもの、
というとらえ方が、まだされていない。

まず、ここが違います。

ではいわゆる
「フリーのキャリアコンサルタント」などは
どうなのかと言いますと、
あくまで「キャリコン」であって、
町の、地域の「人事」とまでは
とらえられていない、
それが現状ではないでしょうか。

すなわち、個人のキャリアを支援する、
これが主目的であって、
「町の発展に尽くす」「人材を呼び込む」
その段階までに至った「人事サービス業者」は
そうそういない
ように思うのです。
都会発のコンサル集団、
中央から地方へ、ではなくて、
地方発、地元特化型の集団は…
(もちろん、少数ですが
いないわけではありません。ですが
全国津々浦々にいるわけでは、ない)。

では、官製の「ハローワーク」はどうなのか?
…確かに、比較的小さな町にもあり、
町に溶け込んで
仕事を仲介しているイメージはありますが、
「町人事」という概念からは
少し外れるように思います。

なぜなら、あくまで公的なサービスだから。
町の企業・組織が求人を出したものを
とりまとめて、必要とする求職者に対して
仲介することに留まり、
「自ら積極的に町の人事を行う」
「町の人材を豊かにし、育てていく」
という感じではないからです。
「失業者を減らす」というイメージです。
あくまで税金により運営されているため、
「セーフティネット」という側面が、強い。

なお、官製の仕事仲介組織には
「シルバー人材センター」がありますが、
高齢者の方を対象にしており
若い世代・中年世代対象では、ありません。

町中華、町医者が「個人」「ビジネス」の側面が
あるのに対して、
ハローワークやシルバー人材センターは、
「官庁」の一つであり
「ビジネス」を志向しているわけではないのです。
かといって「ビジネス」を行おうとする
個人的なキャリコンでは、
個人を顧客としたり、企業の研修をしたりする反面、
全体的な町の発展、町の人事、を行うという
地域活性化的なイメージは、そんなにありません。

…さて、ここまで、
①町中華、②町医者、③町人事を
対比する形で、それぞれの特徴を挙げて、
比較対照をしてきました。

では「町人事」は、成り立たないのでしょうか?
相当にスーパーマン、意欲に燃えるような
「人材」がいないと、地域に受け入れられ、
溶け込むことができないのか?

私は、そんなことはない、と思います。
ヒントはいくつかある。

①町中華は「中華料理の調理技術」により
不特定多数の人が持っているニーズに
答える形で、サービスを提供します。
②町医者は「医療技術」により
不特定多数の人が持っているニーズに
答える形で、サービスを提供します。

③町人事は「人事技術」「地域活性化技術」など
不特定多数の人が持っているニーズに
答える形で、サービスを提供できうる。
となれば、キャリアに悩む人、
地域活性化に悩む地域がたくさんある昨今、
成り立たないはずが、ない。


ただ、その形が、問題なのです。

現状では、かなり「属人的」であり、
そのサービスは千差万別です。
地域事情も、千差万別。
町中華、町医者ほどには
万人が納得するようなサービスが
受けられるというイメージが、わかない。
そもそも、「人事技術」を持っており、
かつ「地域活性化技術」にも通暁している
人がどれだけいるのか…?

どうすればいいのでしょう?

そのヒントの一つが「コンビニ」です。
コンビニは、各地の「パパママショップ」を
「フランチャイズ」する形で拡大しました。
すなわち本社の、優れた共通のサービスと商品を
担保する形で、各地の小売業者と
タッグを組んで、ネットワークに組み込んで、
全国各地に拡大していったのです。
いまや、どんな場所にも、コンビニがあります。

もう一つヒントを挙げれば「衛星授業の塾」
コンビニと同じく、フランチャイズによって、
各地の千差万別の個人塾などと提携し、
地方に居ながら都会的な
トップレベルの授業を受けられるようにしました。

このように「提携」し、
「共通のサービスの質」を担保することで
ネットワークを広げることができる。

ここに、一つの可能性があります。

これからは「町人事」が増えていき、
町中華、町医者のように
どんなに小さな町にもいるようになり、
地域に溶け込んだ「人事」サービス、
「人事」ビジネスを行っていく…。

そんな未来もある、とは思いませんか?

【以下に、参考になりそうな事例のリンクを貼ります】

Yumiko Murakamiさんの記事の内の言葉、
「まちの人事部」が
本記事の「町人事」に近いイメージです↓

長嶺 将也 さん・高崎 澄香 さんの
地域に根差したキャリアツーリズム事業、
「せんのみなと」はこちら↓

「せんのみなと」にパートナーが生まれ、
ネットワークが拡大していく、という記事はこちら↓

地域活性化×人事のサービスとしては
「人を起点として地域に事業を生み出す会社」
「株式会社さとゆめ」の事例が参考になります↓

また、地方発の人事的な機能も備えた
集団としては、
富山県の井波という町の
ジソウラボという事例があります↓

なお、手前味噌で恐縮ですが、ここ数年、
私は『人事屋シリーズ』という小説にて、
「地域や街に根差した人事サービス」の形
について、書いております
(ファンタジーな舞台のフィクションですが)。
よろしければぜひ↓

宜しければ、合わせてぜひどうぞ。

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