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スマホには「まみむめも」の力があります。

何でもできちゃう「魔力」がある。
手から離させない「魅力」がある。
その一方で、
いちど失えば「無力」になる…。
使い過ぎれば「目力(視力)」を失う…。

トータルで考えれば、
人間にとても大きな「問題解決力」
すなわち「も力」を与えてくれる
『魔法の板』だ、と言えるのではないか?

…例えば、50年ほど前の時代の人が、
タイムスリップして現代日本の
電車の中にやってきた!としましょう。

「みんな一様に『魔法の板』を見ている…!
ニュースや動画、それに、ゲームまで!」

わずか50年前、スマホはありませんでした。
ここ近年で一気に普及したんです。

…人類は、このスマホをはじめとして、
さまざまな電子機器を手にすることによって
「魔法」を手にしています。
その魔力は「電力」とも言い換えられる。
電力を自由自在に、細かに操ることにより、
人類は大きな力を手にしている…。

◆遠く離れた人と話す(音声)
◆遠い地の風景を見る(動画)
◆情報を一瞬で集める(文字)
◆風景をデータにする(撮影)…

『葬送のフリーレン』のような
大魔法使いが魔力を使って行うことを、
我々は電力によって行っている。

…ただ、魔法使い状態になったのは、
優れた電子部品を使えるようになってからです。
この電子部品に欠かせない素材のことを、
我々は『半導体』と呼んでいます。

本記事で書くのは、この半導体の歴史です。

「そもそもなぜ『半』導体なの?
ハーフサイズしか導かない、とか…?」

いえ、サイズではない。
性質が「中間」なんです。
「電気を通すか、通さないか」の中間。

この世には電気を通す「導体」と、
電気を通さない「絶縁体」があります。
電気を通すものは水や金属。
通さないものはゴムなど。

しかし半導体はどちらの性質も持っている。

折衷ではなく、どちらにもなれる。
「通すこともできる」し
「通さない(通しにくくする)こと」も
できる。
ゆえに「半」導体です。
0か1かのデジタル機器には欠かせない。

その歴史は、発明王エジソンの
時代にまでさかのぼります。
エジソンの発明の一つに
「白熱電球」があった。

1883年、彼は白熱電球の研究の過程で、
「フィラメントを金属箔で覆うと
金属箔とフィラメントとの間に
電流が流れる」
ことを発見しました。
『エジソン効果』とも呼ばれる現象。

「…ふーん、そうなんだ」

エジソンは、これを重視しません。
彼は科学法則を見つけることではなく、
道具の発明にこそ重きを置いていたから。

しかし、この現象を研究した人がいる。
フレミング(1849~1945)。
「長い指から電・磁・力」で覚える
『左手の法則』などで有名な物理学者!

彼は1904年、この現象の研究を行い、
『真空管』を生み出していきます。

真空管とは文字通り、
ガラスなどの容器の中に複数の電極を配置し、
中を「真空」にして
ガスや水銀などを入れたものです。
この状態で電極を高温にして、
エジソン効果によって電子を放出させる!
電子を制御することで
電力を大きくしたり変えたりできる部品です。

「…つまり、どういうこと?」

人類は「電力を細かく操る術」を身につけた。
魔力を操る術を身につけたようなもの!

電極の数で呼び名が代わります。
二極の管を「ダイオード」と呼ぶ。
三極ならトライオード。四極はテトロード。
ダイオード、とはギリシア語の「di」2と
英語のelectrode(電極)の語尾を
合わせてつくられた造語、なんです。

この真空管は、例えば、ラジオに使われた。

初期のラジオは鉱石を使っており、
「鉱石ラジオ」とも呼ばれましたが、
徐々に真空管を使ったラジオが普及した。

…ただ、真空管には欠点もあります。

◆高温が必要なので、消費電力が大きい
◆フィラメントを使うため、寿命が短い
◆ガラス等を使うため、小型化できない

黎明期のコンピュータは
めちゃめちゃ大きかった…
という話を聞いたことはありませんか?

例えば1946年にアメリカで作られた
電子計算機のENIAC(エニアック)には、
17,000本以上もの真空管が使われました。
真空管は小さくできない。ゆえに、
部屋中に並べないとできなかったんです。

「その部屋中のビッグサイズが、
スマホのようにスモールサイズになるには
どうすれば…」

そこで『半導体』なんです。

1947年のこと。
バーディーンとブラッデンという学者は、
高純度のゲルマニウム(半導体)に近づけて
2本の針を立て、片方に電流を流すと、
もう片方にも大きな電流が流れる!
という現象を発見しました。

彼らの上司、ショックレーという学者は
その現象をさらに研究、開発していきます。
真空管に代わる新しい電子部品を…!
transfer(伝達)とresistor(抵抗)から
この電子部品は
『トランジスタ』と名付けられます。
(注:名付け親はジョン・R・ピアース)

◆真空管は大きい、トランジスタは小さい
◆真空管は外枠と内部の電極から成るが、
トランジスタは主に半導体から成る部品
◆真空管は消費電力が多い、トランジスタは少ない
◆真空管は壊れやすい、トランジスタは壊れにくい

いいことずくめだ。ゆえに、
真空管は徐々に駆逐されていき、
トランジスタが使われるようになる。

…この半導体を使ったトランジスタが
さらに活用され、
魔法のような電子部品が生まれていくのです。

それが「集積回路」、いわゆる「IC」

シリコンなどの半導体を使ったチップの表面に、
複雑で小さな回路やトランジスタを配備。
関わる部品数が回路がどんどん増え、
どんどんサイズが小さくなるにつれて、
電力をより複雑細微に操ることができる…!

この部品は、電卓に使われました。
じきにコンピュータにも使われる。

Very Large Scale Integration、
「VLSI」という高機能の電子部品ができる。
Ultra-Large Scale Integration、
「ULSI」という部品も誕生…。

そう、スマホには、このウルトラ凄い
ULSIなどの超小型、超軽量、
超低消費電力で動く電子部品が
使われている、というわけなのです。

最後にまとめます。

本記事では『半導体』の歴史を
私なりにかいつまんで書きました。

◆1883年:「エジソン効果」の発見
◆1904年:フレミングの『真空管』
◆1951年:ショックレーたちの『トランジスタ』
※この電子部品に『半導体』素材が使われる
◆トランジスタを使った集積回路『IC』が誕生
◆VLSI、ULSIが生まれ、スマホなどに使われる …

読者の皆様は、手の中にあるスマホで
どんな魔法を使っていきますか?

…ただ、ぜひ、目を休めながらどうぞ。
「目力(視力)」を失わないように…。

※半導体を巡る現代の戦争を描いた、
クリス・ミラーさんの『半導体戦争』もぜひ↓

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~現代社会への分水嶺~』の記事はこちら↓

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