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突然ですが、地名クイズです! じゃじゃん!
次の三つの地名、何と読むでしょうか?

◆大角豆
◆随分附
◆木葉下

…三つすべてをスラスラと読めたなら、
あなたは素晴らしい地名博士か、もしくは
北関東あたりに在住の方、ではないかと…。

おっと、ちょっと待ってくださいよ。
ググったりタグったり
アレクサやChatGPTに聞いてみたりするのは。


まずは、ご自身の地名感覚、脳内地名倉庫に
問いかけてからにしていただきたい。

「ダ、ダイカクマメ?ですか?
ズイブンフ?
…キバシタ? かなあ?」

うん、それだと、クイズになりませんよね。
本記事では、このような難読地名を糸口に、
地名に潜むあれこれを、書いてみます。

◆大角豆

これは「つくば市」の地名の一つ。
(他の市町村にもあると思います)
「大角豆の交差点」というものが
常磐自動車道(高速道路)の
桜土浦インターの近くにあるのです。

大角豆、とは、インゲンマメに似た豆。

この豆は、「ササゲ」と読みます。
ちなみに、同じマメ科ではありますが、
インゲンマメは中南米原産で、
ササゲはインゲンマメより細長く
アフリカ原産だそうです。

ただし、ここの地名の場合は、
少し変化をして「ササギ」になります。
ササギの交差点。

ササギ…。ええ、ササギ。

いや、読まない、というか、読めない。
おそらく、この近くでたくさん
「大角豆」を栽培していたのでしょう。
この豆のようにでこぼこした土地だったから、
という説もあるそうです。

◆随分附

笠間市にある地名の一つ。
常磐高速道路の「友部ジャンクション」の
近くにあります。

随分。

…ズイブン、と読みますよね。
だから、これはズイブンフ!だ!
と読みたくなる気持ちは、よくわかります。

私もそうでした。

この地名、どうも「謎地名」のようでして、
昔から色々な学者先生が調べて
色々な説を唱えているそうですが、
なかなかはっきりしたことが、分からない。

その説の一つを紹介しますと。

『目下の者に自分の身分に随(したが)って、
そのつとめを果たすように申し付ける
という意味で、
『なふさつ』が転訛(てんか)したもの』

by角川日本地名大辞典(角川書店)

だそうです。

『随』行する、ずいこう、したがう。
「身分」の『分』。
この漢字を使った「なふさつ」という動詞…。

はい、答えを発表します。

随分附=ナムサンヅケ と読みます!

…随分で、ナムサン?
まさかのナムサン! それに、ヅケ!

いや、私も全く想像の斜め上を行っており
初めてこの読みを知った時に、
「日本は、広いな…」と思ったものです。

さあ、エンジンはあったまってきましたか?
最後の難問に、挑んでいただければ。

◆木葉下

もし小松左京さんのSF小説、
『日本沈没』を読んだことがある方は、
「あれだ!」とピンと来るかもしれない。
水戸市の北のほうの山間部にある地名!

『日本沈没』は、日本列島が次々と
海の中に没し、最後には消滅するという
けっこうショッキングな物語です。
(後に筒井康隆さんが『日本以外全部沈没』
というパロディ小説も書いています)
この『日本沈没』で、最後まで
沈没せずに残るのが「木葉下」なんです。

作者の小松左京さんは、
なぜこの「木葉下」を残したのか?

彼は、執筆時にSF作家仲間と、
大洗や那珂の原子力研究所に見学に行き、
水戸に馴染みがあった。
そこでこの地名を知り、
関東ローム層の端っこでもあったため、
「ここは最後まで残る!」と判断して
小説に書いたそうなんですよ。

この地名、本当に、読むのが難しい。

たぶん、想像の斜め上、どころか
宇宙に飛び出すレベル。
由来も謎で、様々な説が飛び交っており、
実はアイヌ語に由来するのではないか…
という説も、よくネットで出てきます。

「あの、ごたくはいいから、
早く答えを教えてよ!」

はい、少しだけお待ちくださいね。
その前に、ヒストジオ、歴史と地理らしく
地名について、書いておきます。

地名には、「想い」と「物語」が宿っています。

例えば「江戸」という地名。
これは「江」の「戸」ですから、
川の入り口、という意味があります。

事実、昔の江戸、徳川家康が来る前は
川の巣、今の利根川までも近くを流れていて、
湿地帯、ベッチョベチョの泥と沼だらけ、
という状態だったんです。

それを治水工事と干拓によって
世界有数の都市に作り替えたのが、
徳川家康と江戸幕府。
その流れを明治政府も受け継いで、
「東京」となり、現在につながります。

「川の入り口」から、「東」の「京」に!
もうそれを聞くだけで私は、
色んな歴史や地理を想像してしまうのです。

そう言えば「水戸」も、そうですよね。
これは「水」の「戸」ですから、
川や海の入り口、という意味。

日本三大庭園の一つ、水戸の偕楽園の近くには
「千波湖」という湖がありますが、この湖、
昔は今とは比べ物にならないくらい広かった。
高台の偕楽園から
「一面の水が眺められる」状態だった。

それを、治水工事や干拓で、変えた。
この意味で「江戸」と「水戸」の都市開発は
その名の如く、似通った歴史を歩んでいます。

(家康は自分の子どもを水戸に封じています)

最後に、まとめます。

読者の皆様の近くに難読地名はありますか?
その地名の由来は?
どんな作物が取れて、どんな人が住んで、
どんなストーリーを作ったのでしょう?

そんなことを考える時、

私たちは歴史と地理の上に
実は立っている
、ということを思い出すのです。

もしよろしければ、皆様の周りの
難読地名、本記事のコメントで
どうぞご紹介ください!





「あ、あれ、…ちょっと!
なんかいい感じにまとめられたんだけど、
答えを、書き忘れていませんか?
結局、『木葉下』はなんて読むの??

はい、答えはこちらをご参照ください↓

こういうのは、もったいぶったほうがいいのです。

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