満員電車は共有空間、マイカーは個室空間。
仮に、このように定義してみます。

電車は公共交通機関、乗り合いツール。
マナーや暗黙の了解があります。
音楽はイヤホンを使って聴く。

一方で、マイカーは、自分の所有物。
一国一城の主、俺がオキテ。
音楽も、車内に自由に流せばいい。

…かなり、違いがありますよね。

本記事では、満員電車とマイカーの比較から
色々と考えてみました。

まず、地理的に考えてみます。
それぞれ、どこで使われやすいのか?

◎地理的な違い

ステレオタイプ的に考えれば、
電車は電車網が発達した都会、
自動車は地方で使われがちです。

例えば、東京ではマイカーを所有するのは
とてもコストがかかること。
駐車場代が、べらぼうに高い。

となれば、無理にマイカーを所有せずとも
電車(あるいはバス)に乗って
通勤すればいいと考える。
そう考える人が多くて、人口も多いので、
満員電車になりがち。

一方で、地方では、駐車場は安い。
無料で使えることも多い。
その反面、電車網は発達しておらず、
「駅がない」ところも多い。

となれば、マイカーが必須になる。
一家族が複数の自動車を所有、
ということもざらにあります。

◆都会:満員電車
◆地方:マイカー

もちろんその「中間」も無数にありますが、
傾向としては、こう言える。

◎文化的な違い

次に、満員電車とマイカーでは
どんな文化的効果があるのかを考えます。

冒頭に書きましたように、
満員電車は共有空間、マイカーは個室空間。

となれば、
満員電車では「他者」複数人がおり、
「他者の目」がありますが、
マイカーでは「自分」一人だけが多い。
「他者の目」はあまり気にならない。

他者との接触、という点では
満員電車のほうが圧倒的に多い。
そもそも、ギュウギュウです。
マイカーではそういうことはない。
運転席に座り、自分なりに行動できる。

色々な人に「見られる」と同時に、
色々な人を「観察」できるのも満員電車。
ビジネスパーソン、学生、正体不明の人…。
さながら、人間の見本市。
マイカーでは、そんなことはありません。
多種多様な人を見かける機会が、少ない。

自由度も、圧倒的に違いますよね。

電車は、決められた時間に
決められた場所に移動します。
選択の余地はあまりない。
マイカーは、基本、自由です。
時間も場所も自分で決められます。
通勤途中にコンビニに寄ってもいい。

その代わり電車では、
自分で運転する必要がありません。
席に座ったまま、寝ててもいいんです。
自然と目的地に着きますから。
一方、マイカーの運転手は寝られない。
自分で行動しないと移動ができません。
事故の危険性もある。

◆電車:交流的、受動的、固定、気楽
◆自動車:孤立的、能動的、自由、責任

このような違いが考えられます。

◎年齢的な違い

利用者の年齢的な違いも考えてみましょう。

電車に乗るのは、赤ちゃんでもOK。
もちろん幼い場合には
保護者同伴で乗るでしょうけれども、
都会の電車では、小学生だけでも
普通に通学で乗っています。

それに対してマイカーの
「所有」や「運転」については、

保険をかけたり運転免許が必要だったり
財産、年齢、資格的な制限、がありますよね。
事故が起きる、事故を起こす、
そういった危険性が常にありますから。
基本、18歳未満の人は、マイカーを
自分だけでは所有して使えない。

ゆえに18歳未満は
徒歩、バス(電車)、自転車(原チャリ)、
そういったもので移動せざるを得ない。

逆に年齢の上限は(現在では)ありません。
地方に行けば、80代以上の方も
(健康であれば)普通に車を運転します。

◆電車:乗ることに年齢制限はない
◆自動車:所有や運転には制限あり

そう考えると電車は「門戸が広い乗り物」、
マイカーは「大人限定の乗り物」と言えます。

はい、ここまで、

◎地理的な違い
◎文化的な違い
◎年齢的な違い

という三つの指標から
満員電車(電車)とマイカー(自動車)を
比較しながら書いてみました。

もう一度、書いてみます。

◆都会:満員電車
◆地方:マイカー
◆電車:交流的、受動的、固定、気楽
◆自動車:孤立的、能動的、自由、責任
◆電車:乗ることに年齢制限はない
◆自動車:所有や運転には制限あり

これらをまとめれば、こう。

※電車:都会、交流、
 受動、固定、気楽、制限なし
※自動車:地方、孤立、
 能動、自由、責任、制限あり

どちらが良い悪いでは、ない。
中間も、無数にある。
ですが、こういう傾向は、ある。

…これらから導き出されることは?

交通機関というものはツールに過ぎませんが、
実は、自分の生活や考え方に、
大きく影響を及ぼすもの、でもあります。

小さい頃から(満員)電車に
接している人は、自然と
「都会、交流、受動、固定、気楽、制限なし」
という環境に慣れていることでしょう。

その一方で、マイカー文化に慣れていないと
「地方、孤立、能動、自由、責任、制限あり」
という環境を、
なかなかイメージできないかもしれない。

逆に、小さい頃からマイカーが基本で
(満員)電車に乗ったことがない人は、

「地方、孤立、能動、自由、責任、制限あり」
が普通で、
「都会、交流、受動、固定、気楽、制限なし」は
あまりイメージができないと思います。

見た目は、同じ人間なんです。
しかし、その触れてきたツールや、
環境によって、内面や常識が違う。
同じ人間とは思われないほどに…。

最後に、私の経験からまとめてみます。

私は、地方で生まれ育ちました。
18歳まで、マイカー文化にどっぷり。
(もちろん自分で所有・運転はしていません)

◆「地方、孤立、能動、自由、責任、制限あり」

ですので、初めての東京は、
「衝撃の異文化体験」でした。

「小さい小学生が一人で電車に! 凄い!」
「満員電車、本当に凄い人の数なんだ!」
「これ、ドラマやニュースで見たやつだ」
「数分おきに電車が来る…あり得ない…」

◆「都会、交流、受動、固定、気楽、制限なし」

という様子を目の当たりにして、
衝撃を受けたのです。
ですが、それを東京で過ごしてきた人に言うと、
「なぜ、そんなに驚くの?」と言われました。

…ただし逆に、満員電車文化に漬かった人が、
初めてマイカー文化に触れたら、

「一家族に数台の自動車!?」
「18歳で、すぐ免許?」
「80歳代でもマイカーは必需品なのか!」

と、衝撃を受けるかもしれない。

見た目は同じ人間であっても
その常識や内面は全く異なる。

だからこそ自分とは異なるものを、
意識的に学び、イメージし、経験して、
そういった「他所理解」「他者理解」を通して
「自分」の「常識」を裏から見てみることが
大事ではないか
、と思っています。

現在では、実際に現地に行けなくても
「SNS」などで色んな情報に
触れることもできますので…。
「二拠点生活」もしやすくなってますので…。

読者の皆様におかれましては、
どちらの文化が馴染み深いですか?

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