天守のジョウソウ_完成イラスト

白黒・昼夜・表裏・内外 ~自分史の使い分けについて~

「白歴史と黒歴史というけれど、他に表現はないものか?」
この記事では、対になる漢字で作られる二字熟語を取り上げ、それぞれの漢字に「〇歴史」とつけてみて、自分史の使い分けについて考察しました。

1、白と黒

白歴史=明るい歴史(公開して人に伝えていきたい歴史)
黒歴史=暗い歴史(非公開にして人には伝えたくない歴史)

私は以前のnote記事で、白歴史と黒歴史について触れました↓。

オセロやリバーシの例でもわかるように、白と黒とは対になる色。もちろん「紅白」もありますが、こうなると「源平合戦」が連想され、どちらが良い悪いではなくなりますね。「白黒」だと、何となく白=良い、黒=悪いというイメージがつくのが面白いところです。なお「赤と黒」となると…スタンダールの小説か、韓流ドラマになります(笑)。

ホワイト企業=環境などが「良い」企業
ブラック企業=環境などが「悪い」企業

ホワイトとブラック、とカタカナ英語にすると、真っ先に思い浮かぶのがこの言葉です。とはいえ、100%ホワイト、100%ブラックという企業は滅多になくて、だいたいがグレーとか、白と黒が点在しているとかの場合が多いように思いますが…。

グレー企業=ホワイトかブラックかが混じっている企業
パンダ企業=ホワイトな部署とブラックな部署がある企業
阪神ユニ企業=ホワイトなルートとブラックなルートが鮮明(縦縞)
オセロ企業=ホワイトかと思ったらブラックに変わる、その逆もあり
夜明け企業=ブラックだと思いきやホワイトに変わる企業
黄昏(たそがれ)企業=ホワイトだと思いきやブラックに変わる企業

多くの企業は、こんな感じではないかと思われます。

2、昼と夜

白と黒とでは、良い悪いのイメージがはっきり過ぎる感がありますので、他の言葉で探してみます。「夜明け」や「黄昏」という言葉が出ましたので、こういうのはどうでしょうか。

昼歴史=昼の歴史・明るい歴史・表に出やすい歴史・公的な歴史
夜歴史=夜の歴史・暗い歴史・表に出にくい歴史・プライベートな歴史

昼と夜。

人間は基本的に昼行性、夜は寝て昼は動く人が多い。しかし、夜勤の方など、夜をメインに活動する人もまた多いものです。昼と夜とでは、白と黒ほどはっきり良い悪いのイメージはつきませんが、何となく「夜の仕事」というと秘密めいたイメージがつくのが面白いところです。

クリエイターの方は、昼は外に出る仕事をして、人々の寝静まった夜に執筆に没頭する方も多いかもしれません(逆のケースもあるかもしれませんが…)。となると、「作品は夜に作られる」「歴史は夜に作られる」という表現もできるかと思います。こんな記事も書いてみました↓。

昼夜から連想して、「明暗」だとどうか。

明歴史=明るい歴史
暗歴史=暗~い歴史

明と暗だと、暗い=悪いイメージがよりついてしまいますね。

「光と闇」ではどうでしょうか。

光歴史=光が当たっている歴史
闇歴史=光が当たっていない歴史

うーん、「闇」という言葉がいかにも謎めいて悪めいて、「日本の闇を暴く!」とか「闇の世界の帝王」などのイメージがつきますね。人間は古来から「闇」に本能的な恐怖を感じて、「光」を追い求めてきた経緯がありますので…。こちらのnote記事でも題名に使ってみました↓。

闇にあえて光を当てていくことで、見えることもありますね。

3、表と裏

さてここまで、白と黒で「色」、昼と夜で「光」に目を向けてみましたが、単純に「表と裏」ならどうでしょうか。

表歴史=表面に出てきている歴史
裏歴史=裏面に隠れている歴史

「表裏一体」とは言いますが、どちらかというと裏は「隠れている」イメージがあります。「おもてに出ろ!」というと、みんなの見ている前で戦う感じがする。

なお、ダイアモンド・ユカイさんは、「ユカイな裏歴史」「裏歴史んとん協会」などで、知られざる歴史の話をしたりしています↓。

となるとやはり「裏」だと、「知られざる歴史」になりますね。歴史の表舞台・裏舞台という表現もありますし…。

4、内と外

では、場所つながりで、内と外ではどうでしょう。

内歴史=内面の歴史・内心・秘めた思い・インプット
外歴史=外面の歴史・言動・言語化した思い・アウトプット

こうなると「心」がキーワードになるような気がします。

内心と言動。心の中で何を思っているか。頭の中で何を考えているか。頭で考えて言語化して、それを書き言葉や言い言葉にしたり実際の動きにしたりすると「外」になります。そうせずに心の中に留めていると「中」になります。発想のためには、心の「底」まで深く沈み、それを「上がる」ことで具現化していくことが大事だ、という記事を書いたこともあります↓。

しかし、人間として、心で思って頭で考えて口や手足で言動することが多いのですが、これが全員、完全に一致していれば、わかりやすい世の中になるでしょう。しかし、人間も生き物ですから、外に出すと「アウト!」な考えもあります。誰しもが心のありのままに、本能のままに行動したら、世の中は弱肉強食、阿鼻叫喚、カオスの極みになってしまいます。

そこまで生々しい話でなくても、「空気を読んで」「裏腹」な行動をとってしまうことも多いと思います。といいますか、むしろ日々の生活では、そちらのほうが多いんじゃないでしょうか? 「慣習」「ルール」「法律」などにより、自分は良いけれど他人に迷惑をかける言動にはストップがかかります。他人の迷惑がかかるかどうかはわからないけれど、世の中の「常識」とは違う考えについては、自らフタをして「閉じ込めて」しまうことも多いでしょう。それが行き過ぎる組織などでは「同調圧力」となってしまうこともありますが…。

論理のみで考えを組み立てて、実際に言動に移す人を「ロジカルモンスター」と表現できます。先日の記事では、色々と書いてみました↓。

論理ではなく「感情」で実際に言動に移す人についても考えました↓。

「黒白」「昼夜」「表裏」に比べて、良い悪いのイメージがあまりつかないのが、この「内外」という言葉のように思います。

そこで、この「内外」という言葉を、「自分の歴史」を考える際に積極的に取り入れてみると、どうなるでしょうか?

5、内歴史と外歴史の使い分け

「自分の歴史」を考える際に、

「内=内心」と「外=言動」とが一致していたか?
「内歴史」と「外歴史」を、分けて書いてみてはどうか?
「外歴史」で「概略」、「内歴史」で「説明」してはどうか?

という視点を取り入れたとします。

するとまず、「外面的には見栄えがいい結果を入れておこう」という考えが生まれやすいのではないでしょうか。明確なのは、「〇〇高校に合格した」「〇〇という資格をとった」「〇〇という賞をもらった」などの、成功と思えるような「結果」ですね。

次に、その結果への「行動」を書く。「〇〇高校に合格するために、〇〇を行った」「〇〇という資格をとるために、〇〇という行動をとった」「〇〇いう賞は、〇〇という行動の結果でもらえたものだ」などですね。

では、その行動に駆り立てた「内心」はどうなのでしょうか? 「好きなあの子が行くと言ったから?」「人生をバラ色に変えたい、逆転したいと思ったから?」「とにかく形になるものが欲しかったから?」…。これはそれぞれにあります。結果や行動に比べて内心ですから、中には「人様に言えない」ような考えもあるでしょう。もしかしたら「偽りの内心」を書いた方がいいのかな?と思うものもあるかもしれません。

どうですか?

結果=良い結果を中心に書きたい
行動=その結果に行きついた理由を書きたい
内心=何となく変な考えは書きたくない

という考えに偏りませんか?

自分の歴史を書くということは、自分の内心を深掘りしていくことでもあります。もし、その目的が「他人に見せる」ということであれば、ついつい「白歴史」「昼歴史」「表歴史」ばかり書きたくなるのが心情です。

では、逆に書いてみたらどうでしょう?

結果=悪い結果をあえて書く
行動=結果に結びつかない迷走・試行錯誤を書く
内心=読んだ人がドン引きするような変な考えも書く

まさに「黒歴史」「夜歴史」「裏歴史」ですね…。

ですが、いささか逆説的になりますが、このような「飾らない歴史」から、自分の反省材料、行動軸、評価基準などが見えてくる、こともあります。もちろん、太宰治の「人間失格」のように、あまりに露悪的に書き過ぎると、「中二病かよ!」と赤面して自分で自分を張り倒したくなったり、自虐の悪循環に陥ったりしますので、自分のその時のメンタルの強弱と相談しながらが良いと思いますが…。

そろそろまとめましょう。

先日の記事で、私はProfieeというツールを紹介して、考察しました↓。

ここで「媒体による使い分け」「過程」について言及しました。

「詳しくは〇〇で!」で、他の媒体につなげるのです。
まずツイートで簡単な略歴。次にProfieeで他者の紹介も含めた時系列的な略歴。その上でnote記事などで書ききれなかった想いや、あえての苦労話、黒歴史なども書いてみる。そうすれば、一面的ではなく、重層的に、自分というものを理解をしてもらえるのではないでしょうか。
「過程こそが知りたい」
人や組織、活動や作品に興味が出れば出るほど、その「過程」「メイキング」に興味がわくものです。

「白歴史」ばかりだと、逆に目が疲れます。
「昼歴史」ばかりだと、アフターファイブは電池切れかと思われます。
「表歴史」ばかりだと、裏はどうなのかな?と勘繰られます。
「外歴史」ばかりだと、逆にその人の内面が気になります。

もちろん逆に「闇歴史」ばかりだと、暗黒面(ダークサイド)に陥り、「世界一有名な悪役」ダースベーダーのように思われる可能性もあります↓。

カレーライスには福神漬けが箸休め(スプーン休め?)になります。

白と黒、昼と夜、表と裏、外と内を意識して、媒体別に重層的に、それぞれの目的に合った自分史やプロフィールを作っていくと、より効果的ではないかと思った次第です。意識して使い分けるのと、無意識に偏ってしまうのとでは、雲泥の差がありますので…。

※なお、自分の歴史であれば、公開・非公開の主導権も自分にありますから、絶対非公開の「テンション上げる時に読む俺の栄光の歴史」「他人には絶対見せられないドン引き暗黒の歴史」を、密かに自分のためにだけに書くのもありだと思います。墓場まで持っていく、遺書として書いておく、そんな秘密の自分史も、あってよいじゃないですか。

6、しくじり先生

いかがでしたでしょうか?

この記事では、自分の歴史の使い分けについて深掘りしました

良ければ、夏目漱石の「こころ」の「先生」について書いたこちらの記事もぜひ。どう考えてもこの先生、「しくじり先生」ですよね…↓。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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