三者の視点・二月の勝者
一斉授業形式か、個別指導形式か?
塾選びに悩む保護者も、多い。
それぞれの判断はあるか、と思います。
正解は、ありません。
しかし、それぞれの特徴を確認し、
子どもに応じた指導をしてくれるか、
それを見極める過程は
省けないところかと思います。
本記事では、仮に「一斉VS個別」とを
対比させ、塾について考えてみました。
◆塾経営側の視点
まず、塾を「経営」する側の視点から。
何らかのビジネス、
人件費や授業料などが発生する以上、
経営側としては
お金のことを考えないといけない。
さて、塾の経費とは、なんでしょう?
◎人件費
◎家賃
◎教材費
これらがすぐに思い浮かびます。
人が人を教える以上、人件費はかかる。
教室があるなら、家賃はかかる。
教材もそろえる必要がある。
もちろん、塾によって千差万別です。
極端な話、いわゆる「個人塾」、
「塾長一人で従業員を雇わず」
「自宅で家賃を払う必要が無く」
「すべて口頭でテキストを使わず」
そんな塾なら、コストは抑えられます。
逆に、企業としての塾、
「従業員をたくさん雇い」
「駅前の教室などを借りて」
「テキストや教材を充実させる」
そんな塾であれば、コストはかかります。
当然、コストに見合った収入が無いと、
ビジネスとしては、成り立ちません。
そのため、経営側としては、
「月別固定収入」だけでなく、
「臨時収入」も得たい。
そこで行われるのが、
「夏期講習」などの期間限定講座オプション。
または「〇〇模試」「〇〇特別授業」などの
プラスアルファの臨時イベント。
デフォルトの授業・指導だけではなく、
こういうものも組み合わせて
収入増を図りたい、と考えるのは
経営側としては、至極当然です。
ただしその分、教える側には負担がかかる。
私もささやかながら経験がありますが、
朝8時に教壇に立ち、その十二時間後の
夜8時に教壇に立つ、というのは
けっこう堪えるものです。
その分、お手伝いスタッフを増やす…。
となると、人件費もまたかかってくる。
ましてや「〇〇合宿」などの
大がかりなイベントだと、
かなりの収入が見込めない限り、
経営側としては、難しいところですよね。
◆保護者側の視点
これらを踏まえつつ、今度は
保護者側の視点から見てみたいと思います。
「一斉は安い、個別は高い」
そんなイメージはありませんか?
単純に考えても、
一斉授業は文字通り「一斉に」指導を
行うので、効率が良さそう。
対して個別は子どもを
「個別に」しっかり見る分、
先生方の効率は悪いから、その分高い…。
そう考えるのは、よくわかります。
ただ、ここで
見過ごされがちな点がありまして。
◎「個別=誰がどのように教えるのか」
いわゆる「塾長」が教えてくれるのか?
それとも「学生バイト」が
未熟ながら教えているのか?
「個別」と言っても、本当に一対一?
それとも複数を一度に教えている?
常にそばについているの?
ある程度、自学で任せているの?
そのあたりは、把握しないといけない。
指導する人数が増えれば増えるほど、
塾長一人で指導できる範囲から
逸脱していきます。となれば、
バイトに任せる場面も多くなるかも…。
必ずしも「一斉=指導の密度が低い」
「個別=密度が高い」わけではない。
かつ、指導の密度が高い低いによって、
絶対に成果が違うかというとそうでもない。
つきっきりで指導されると、逆に
依存してしまうケースも、あります。
保護者から言えば、自分の子どもが
親には反抗するけれども
他の人のことはよく聞くとか、
男性や女性によって態度が違うとか、
教科によって好き嫌いがあるとか、
そういう特質もある程度
知っていると思います。
そこをいかにジャストフィットさせるか?
家計のお財布具合とも相談して…。
さらに「受験間近」ともなれば、
「直前講座は受けさせなきゃ!」
と、さらに出費がかさむ。
うん、悩ましいですね。
塾に「通わせる」デメリットのほうが
多いと判断するのであれば、
教育のデリバリーサービス、
「家庭教師」も選択肢に入るのかもしれません。
◆子ども側の視点
実際に指導を受けるのは子どもです。
塾に「イキイキと自分から行く」
子どももいる、とは思いますが、
「親が行けと言うから仕方なく行く」
そういう子どもも多いですよね。
学校の宿題に塾の宿題もプラス。
ゲームの時間は、減らされる…。
勉強ができるようになるのはいい。
志望校に行けるのはいい。けれど、
今の勉強が何の役に立つのか
よくわからない…。
そんな子どもも多いのです。
特にまだ小学生くらいですと。
受ける指導の負担もまた、
一斉か個別か、によって違います。
ストレスや重圧の感じ方も、全く違う。
塾内の人間関係も、あるかもしれない。
そんな中、自分のお金ではなく
原則、保護者のお金によって、
塾のサービスを受けるのが、本人。
…さて、どんな塾が望ましいのでしょうか?
以上、三つの視点から書きました。
◆塾経営側の視点
◆保護者側の視点
◆子ども側の視点
最後にまとめます。
仮に本記事では主に
「一斉VS個別」と対比させましたが、
最近はコロナ禍もあり、教育関連のIT環境は
飛躍的に発展しています。
「一斉かつ個別」というスタイルを取る
塾も増えてきているのです。
教材は「紙ベース」ではなく
「情報機器ベース」で組み合わせ
講座や授業動画をその子どもに合うよう
コーディネートしたり…。
昔ながらのスタイルのように、
必ずしも教室に子どもが通ってこなくても、
塾が成り立つ時代。
ただし、リアルに面と向かって
オフラインで話すことにより、
伝わることも、多々あるのも事実です。
…これって実は、今まさにSNSで
読者の皆様が経験していることと同じ、
ではないでしょうか?
オンラインとオフラインの取捨選択。
組み合わせ。
どこまで時間とお金をかけるか?
「一斉」である「公開の投稿」と
「個別」である「非公開のDM」。
「イベント」をどう組み合わせるのか…。
SNSで効果が上がる、上がらないが
異なるのと同じように、
塾で効果が上がる、上がらないのも
また異なるもの。
ただ、やりさえすれば、
やらせさえすればいいものでは、ない。
塾も保護者も子どもも、千差万別。
どう活用するかも、千差万別。
そんな観点で、塾のことを
考えてみてもいいのかな、と私は思います。
『二月の勝者』へのリンクを貼ります。
塾を考えるのに、すごく参考になる作品です。
(週刊雑誌の「スピリッツ」の連載版では
ついに「女子御三家」の合格発表が…!
(2022年10月末時点ですが))
なお、高瀬さんは
『中学受験をしようかなと思ったら読むマンガ』
という本の作画も担当されています。
中学受験をさせる保護者の方はもちろん、
中学受験をさせ「ない」保護者の方にこそ、
読んでいただきたい本です↓
ご参考までに、ぜひ!
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