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アフリカ大陸の最西端、セネガル
W杯でも、よく決勝トーナメントに
進出してくる強豪国です。

『Les lions de la Teranga,
Lions of Teranga』

直訳すれば「テランガのライオンたち」
セネガル代表には、こんな愛称があります。
テランガとは、現地語のウォルフ語で、

『助け合い、おもてなし、ホスピタリティ』

という意味があります。
セネガルを褒める時の美称。
日本で言うと「サムライ」みたいなもの。

セネガル代表のエンブレムには
ライオンが描かれている。
この「協力し合うライオンたち」の国
セネガルとはどんな国なのか?
本記事は、セネガルについてのお話です。

まず、地理的な場所から。
アフリカの最西端と書きましたが、
逆L字型、ひらがなの「つ」のような形の
アフリカ大陸の北の西の端。
ぽこっと大西洋に突き出ているあたり。

しかし、アフリカ大陸は
たくさん国がありますよね…。

そのうち、北部にある10の国を、
私は次のような語呂合わせで、
力技で覚えています。

アフリカ北部と言えばサハラ砂漠。
サハラ砂漠と言えばパリ・ダカール。
セネガルの首都はダカールで、
「ダカール・ラリー」の終着点なのですが、
そのイメージで考えました。

◆『エンジン リッチに あるぜ 六個も』
◆『集団で ちゃちゃっと 逃げる 守る』

…これだけだとなんのこっちゃなので、
順に説明します。

まず、アフリカの北東のほうに
「エジプト」がありますよね。
その西はリビア、チュニジア、アルジェリア。
モロッコの北は、ジブラルタル海峡。

◆『エンジン リッチに あるぜ 六個も』
→エジプト・リビア・チュニジア
アルジェリア・モロッコ の五か国です。

そして、でっかいサハラ砂漠があり、
エジプトの南には「スーダン」がある。
その西はチャド、ニジェール、マリ。
大西洋まで行けば、モーリタニア。

◆『集団で ちゃちゃっと 逃げる 守る』
→スーダン・チャド・ニジェール
マリ・モーリタニア の五か国です。

はい、セネガルは、この
モーリタニアの南にある国、なんです。
サハラ砂漠の南端の隣、海沿いの国。

「ほう、モーリタリア…。
どこかで聞いたことがあるような。
スーパーの魚売り場のあたりで」

このようにピンと来た方は、
なかなかの海産通です。
そう、日本人が好きな「たこ」は、
このモーリタニア産のものが
たくさん日本に輸出されて、流通している。

「…なんで、アフリカの西のたこが、
遠く日本まで輸出されているの?」

これを説明するには、
中村正明さん、という日本人のことを
知っておいたほうがいいですね。

1960年「アフリカの年」と呼ばれ、
この大陸に続々と
独立国が生まれた頃のこと。

世界で漁業指導を行っていた中村さんは、
モーリタニアに派遣されることになります。

モーリタニアは、イスラーム社会。
エビやカニやタコは食べません。
漁業は、盛んではありませんでした。
中村さん、悩む。
本格的な漁業を教えようにも、
その土台が無い。

ですが、実はこのあたりの大西洋、
寒流と暖流のぶつかる「潮目」でして、
とても良い漁場だったのです。
何とかして、漁業を教えたい!

そんなある日のこと、中村さんは
海岸に捨てられたタイヤの中に、
ある生き物が入っていることに気づきます。

「…これだ!」

そこには、生きたマダコが入っていました。
たこを食べる習慣がないため、
モーリタニアの海には
良質のたこがたくさん棲んでいたのです。

中村さんは、日本から
たこ壺を取り寄せます。
これなら素人でも簡単に漁ができる。
日本向けに輸出すれば
高値で買い取ってくれる…!

そんなこんなで、モーリタニアは
たこ漁に力を入れていきます。
たこ壺製造工場も誕生、
漁業以外の産業も生まれていった…。
今でも、ナカムラやマサアキという名前は、
モーリタニア人の間では
特別な響きがある、とのことです。

…その南隣にある、セネガルの海でも、
たこは、たくさん採られているのです。
近年では、漁業・海洋経済大臣が来日し、
セネガル産のたこを「セネタコ」と命名、
自らたこ焼きを食べてPR
していきました。

今はまだ、モーリタニアやモロッコ産の
たこのほうが多く流通していますが、
そのうちに「セネタコ」
日本のスーパーでもよく見かける
ようになる、かもしれませんね。

さて、そんな海沿いのセネガルですが、

元はフランスの植民地です。
ところが、ややこしいことに、
この地方を流れるガンビア川沿岸は、
イギリスの植民地でした。

ぜひ、地図を見てみてください。
「えっ?」という感じの位置関係。

ガンビア川近くだけガンビアという国。
その周辺をぐるりと
セネガルが囲んでいる感じ。

1960年、マリ連邦として
フランスから独立したセネガルは、
同年、マリからも分離独立します。
1965年、ガンビアもイギリスから独立。

ただ、セネガル側から言えば、
ガンビア川の沿岸だけが
違う国になっている形です。
ちょっと、やりにくい…。

「一緒にやっていきましょう」

1982年、セネガルとガンビアは
国家連合を形成しました。
人呼んで「セネガンビア国家連合」

…ただし、ガンビア側から言えば、
セネガルに吸収合併されたような
面白くない感じ
だったんです。
(日本の市町村合併でも
似たようなこと、ありますよね)

次第に二国の関係は悪化し、
わずか七年後、1989年には
国家連合を解消してしまいました。

そのため今でも、
ガンビア川沿岸だけガンビア、
その周りはセネガル、という
国の形が続いております。

地理と歴史を見たところで、
最後にまとめていきましょう。

このセネガルには、
二つの盛んなスポーツがあります。
一つは、もちろんサッカー。

娯楽が少ないセネガルでは
子どもたちはサッカーでよく遊びます。
必要なものはボールだけ。
砂地に裸足で延々サッカーをしたりする。
体幹も脚力も、強くなります。

テランガの精神で、協力して守る。
ボールを奪ったら速攻のカウンター!

セネガル代表、テランガのライオンたちは
そのほとんどが海外のチームで活躍した選手。
しかしその土台の多くは、セネガルの大地で
子どもの頃からボールを蹴り続けた時に
培われてきた
のではないでしょうか。

さて、もう一つの人気のスポーツは、
国技「セネガル相撲」です。

腰布とマウスピースだけを身に着けて戦う。
相手の膝か背中を地面に付ければ勝ち。
チャンピオンは「ロイ・ド・アリーナ」、
直訳すれば「闘技場の王」と呼ばれ、
国の英雄になります。

なお、セネガルの料理の主食としては
「コメ」がよく食べられている。

「コメを食べ、相撲が国技で、
サッカーが人気の国」
のセネガル…。
日本から、かなり遠い国ですが、
意外な共通点がありますよね。

ぜひ皆様も、W杯で代表を見たり、
スーパーでセネガル産たこを
見かけたりしたら、

その歴史と地理を
想像
してみてはいかがでしょう?

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