見出し画像

悲喜こもごものドラフト ~人材を引き出す~

2023年のドラフト会議は
10月26日(木)でした!
本記事では「ドラフト」について書きます。

ドラフトと言えばどうしても私は
プロ野球の「小池秀郎(ひでお)」投手が
8球団から指名された1990年の
ドラフト会議を思い浮かべてしまいます。
(ネタが古くてすみません)

西武、ヤクルト、阪神、ロッテ、
中日、広島、日本ハム、近鉄、という
1989年の野茂英雄投手に並ぶ8球団指名!

くじ引きでロッテが交渉権を得たんですが
小池投手は入団を拒否。
社会人野球に進んだんですよね…。
(その後、1992年のドラフト会議で
改めて近鉄から1位指名を受けて入団します)

子ども心に、8球団から指名を受けながら
拒否して、自分の選んだ道に
進むのはスゴい!と思った記憶があるんです。

…しかしながら「ドラフト」という言葉は
このプロ野球のドラフト会議「だけ」を
指す言葉ではありません。


『draft』という英単語の意味は以下の通り。

◆下絵、設計図、見取り図
◆下書き、原稿、草稿
◆(室内で感じる不快な)隙間風
◆(ストーブなどの)通気調節装置
◆(アメリカ英語)召集令
◆為替手形
◆ドラフトビール

下絵、下書き、隙間風、風の調整、
召集令、為替、ビール…?

なんか全く「ドラフト会議」とは
関係がなさそうな単語なんですけど…?!
(1位指名した球団と選手との間に
隙間風が吹くことはありそうですが)

「引く(dragana)こと」
がそもそものdraftの語源だそうです。
ラテン語では「trahere」、トラヘレ。
「tractor」(牽引車)とも通ずる。

…そう言えば他の英単語でも
マウスをdragする、「引きずる」とか、
draw、「絵を描く」「線を引く」とか、
そういう言葉がありますよね。

それらとも関連がある。
要は、何かを引く、引っ張る、
引き出して外に出す
、という意味です。

そう考えますと、
もやもやっとした頭の中のものを
「線を引く」ことであらわしていく、
これが「見取り図」や「下書き」に
つながっていきますね。

「隙間風」は穴から空気を「引き出す」。
「通気調節装置」も同じく。
「招集令」は多くの人々の中から
特定の人物を「引き出す」ことでしょう。
「為替手形」はお金を「引き出す」券。
「ビール」は、酒樽の中から
お酒を「引っ張り出す」ことになる。

うん、何となく苦しい連想もありますが、
「引き出す」が「ドラフト」ならば
わからなくもない
のではないでしょうか。

さて、問題はドラフト会議において、
各球団がどんな意味合いで
「引き出す」かどうか
です。

多くのプロ志望の人たちの中から
特定の人物を「引き出す」。
くじで当たりくじを「引き出す」。
しかし、ただそれだけでは
強いチームにはつながりません。

しっかりと将来のチーム構成の
「見取り図」をつくっているかどうか?
補強ポイントを見極めて
強くなるためのストーリーの
「下書き」ができているのかどうか?

当然ながら、一握りの即戦力で
活躍できる選手を除いて、
すぐに一年目から大活躍できる
選手と言うのは、まれな存在。

ふつうは、何年かかけてプロに慣れて、
それから活躍できるもの…。
そう、ドラフト会議=大活躍ではなく、
あくまで大活躍する「金の卵」を
引き出すような場
なのです。

何年か後に、この人材が
「チームに入ってよかったな…!」
あるいは
「数年前のドラフト会議は…うーん…」
と言われてしまうものなのです。

そう考えると、すごく難しいと思いませんか?

ましてや、必ず意中の選手や球団に
巡り合えるわけではなく、
競合して、入団できないこともある。

最下位の球団が頑張るのは当然として、
優勝した球団、2023年で言えば
阪神とオリックスでさえも、
数年後を見据えて、しっかりと
良い選手を選び出しておかなければならない。

選手側から言えば、
当然、自分の意中の球団は
あるとは思いますけれども、
必ず指名される、当たりになる、とも
限らないものです。

さて、今回のドラフト会議では、
どんな人間ドラマが
「引き出される」のでしょう?


最後に、まとめます。

本記事では「ドラフト」について
書いてみました。

なお、1990年にロッテから1位指名を受けた
小池投手は、かなり落胆したそうです。
なんで指名するのか、と。
(今のロッテならともかく、
1990年の頃は、圧倒的に
人気はセ・リーグが上でしたからね…。
ヤクルト、巨人、西武が意中だったとか)

(ここから引用)

『午後3時20分、小池は
チームメート10人に囲まれ
学生課を抜け出した。

下宿先である川崎市の関勝治さん
(亜大野球部OB会副会長)宅にも
帰らないまま。関さんには
「2、3日帰りません」と連絡してきた。

突如姿を消して、
ロッテ側からすれば連絡さえ
取れない事態になっていた。

午後8時前、それまで電話口に出ることさえ
拒否していた矢野総監督が、
ロッテ醍醐スカウト部長の電話を受けた。
が「今後も私は会うつもりはない」と
荒々しく語るだけだった。』

(引用終わり)

ちなみに、この年に
ヤクルトスワローズに3位で入団したのが、
亜大で同僚、二番手投手だった
高津臣吾投手なのでした。

(ここから引用)

『「小池と一緒なら本当に良かったのにな……」。
亜大の2番手投手、高津臣吾(4年=広島工)は、
ヤクルト3位指名に複雑な表情を浮かべた。

華やかにヤクルト、巨人、西武を
逆指名した小池に対して、
高津は神宮大会出場後
「取ってくれるなら、どこでも」と
全球団OKを打ち出していた。

皮肉なことに、その高津がヤクルトに入り、
ヤクルトを熱望した小池はロッテに。

高津にしてみれば晴れて
プロへの道が開けたわけだが、笑顔はない。
「本当なら素直に喜んでいいのでしょうが、
テレビに映っていた小池の
ことを思うと……」と目頭を押さえた。』

(引用終わり)

ぜひ、各球団・各選手に
素晴らしいマッチングが
生まれて欲しい
、と思います!

読者の皆様の印象に残っている
ドラフト会議は、いつのものですか?

よろしければサポートいただけますと、とても嬉しいです。クリエイター活動のために使わせていただきます!