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ロジカルとエモールのあぶり出し、半沢直樹と寅さんを添えて

ロジカル、論理的。理詰め。
エモール。エモーショナルの略。感情的。

このどちらが良いのか、というのは、
自分だったり、相手だったり、
その得意不得意や思考のスタイル、
それまで生きてきた環境による、と思います。

人間は五感を持ち、本能を持ち、
同時に、思考する理性的な生き物。


これが例えば昆虫ならば、
「飛んで火にいる夏の虫」ではないですが、
本能を研ぎ澄まし、
そのままに行動してしまいがち。
たとえ炎の中で焼け死んだとしても…。

しかし人間は、感じ、かつ、考える。
ロジカルとエモール。
どちらも併せ持つ。
人によって、その度合は千差万別。
それもまた、人間です。

ただ、自分がどちらか、というのは、
意外にもわかりにくいもの。

本記事は、この二つを対比させて書きます。
自分はどちら寄りなのか、について。

ロジカルな人とは?

◆「理屈っぽい」
◆「感情が少ない」
◆「これはこうだ、と白黒つけていきたい」

そんなイメージがありませんか?

エモールな人はどういう人でしょうか?

◆「喜怒哀楽が激しい」
◆「感情の起伏がある」
◆「直感的で、理屈じゃない」

そんなイメージではないですか?

まあでも、百パーセントのロジカルな人とか、
百パーセントのエモールな人は、
なかなかいません。
ロジカルモンスター(略してロジモン)
という表現はありますが、
人間である限り、感情はあるはず。
仮にエモモンでも、論理は少しは通じるはず。

わかりやすいように、具体的なキャラで
イメージをつけていきましょう。

『半沢直樹』を挙げます。

彼は銀行勤め、彼の銀行はしがらみだらけ。
しかし、彼は直言し、行動する。
曖昧模糊とした理屈の通らない部分に、
どんどん斬り込んでいきます。
身に降りかかった火の粉で黙って焼かれない。
パワハラ上司にも、屈しない。

ロジカルかエモールかと言えば、
間違いなく、ロジカルな人、でしょう。

しかし百パーセントなロジカルな人間か、
というとそうではありませんよね。
父親を、銀行が融資してくれなかったせいで
亡くしている、という怨念を抱えている。
それが、彼の行動の原動力の一つ。
エモールな面も、ある。

もう一人、『男はつらいよ』シリーズの
『寅さん』を挙げてみましょう。

寅さんは天衣無縫、
その感覚のおもむくままにやりたい放題。
日本全国を、旅して回っています。

ロジカルかエモールかと言えば、
間違いなくエモールな人。

しかし百パーセントなエモールな人間、
かというとそうではない。
寅さんの話す言葉には
(理屈の通らないこともありますが)
彼の感覚なりに、理路整然と話し、
人を妙に納得させることもあります。
そう、寅さんの中では、
「自分のロジック」が、できている。
その意味では、彼はロジカルとも言える。


二人の「キャラ」を挙げてみましたが、
「どちらか寄り」というものはあるにせよ、
両方を併せ持つ、これが人間。

…では、日本ではどちらが好まれるのか?

「半沢直樹」も「寅さん」も
どちらも、人気があります。
ただ、その人気の在り方には、違いがある。

半沢直樹は、自分たちができないことを
痛快無比にやってくれる、という面があります。
やられたらやり返す、倍返しだ。

裏を返せば、やり返せない人が多いのでしょう。
何らかの事情、しがらみにとらわれ、
役員や幹事長を土下座させたりはできない。
だからこそ、彼らをロジカルに追い詰める、
半沢直樹に、喝采を浴びせる。

寅さんは、どうか?

これもまた、自分たちができないことを
やってくれる、という憧れの具現化、の
ような面がありますよね。

自分の感覚で、気ままに生きている。
日本全国をフラフラしながら、
楽しそうに生きている。

「奴はいつまでもちゃんとしない」
と思いつつ、どこか、あこがれられている。
各マドンナに恋しては、いつもフラれる。
残念な人。
なのに、とても惹かれるキャラ。

…なかなかに、矛盾した話と思いませんか?

ロジカル寄りの半沢直樹も、
エモール寄りの寅さんも、
どちらも人気がある。なぜか?

読者の皆様は、
どちらのキャラがお好きですか?

この私は、と聞かれれば、
うーん、どちらも好き、ですね。
半沢直樹の不屈の精神には感嘆しますし、
寅さんの自由な精神にも、感嘆します。

ただ、人によっては、両方嫌い、とか、
こちらは好きだけどこちらは嫌い、
という好みも出てくるかな、と思います。

はい、ここまで私は、
創作されたキャラを挙げて、あえて対比して、
ロジカルとエモールの説明をしてきました。
いったん、まとめてみます。

◆人間には、ロジカルとエモールの両面がある
◆どちらも、人間である
◆どちらにも、人気がある

…そう考えた時、
どちらが良い悪い、とは一概に言い切れない。
しかし、これだけは言えるのではないか。

「ロジカル、エモール、どちらにしても
『振り切った』キャラや行動に、惹かれる」


なぜなら、大部分の人間は(私も含めて)
二人のように振り切れないから。
ロジカルに考えつつ、どこかエモール。
エモールに捉えつつも、どこかロジカルです。

悪く言えば「中途半端」なんです。
だからこそ「半端ない」キャラに「惹かれる」
極端な行為や物言いに、目や心を奪われる。

じゃあ、なぜ、人によって差が出るのか?
ロジカル寄り、エモール寄り、
好き嫌い、が出てくるのか?

それは、ある極端なキャラに触れることで、
自分が「あぶり出される」から。
比較を通して、自分がわかっていく。
他人のことは、よくわかるものですから。

…ここまで読んできた皆様は、
すでに、半沢直樹や寅さんと比較して、
自分というものがどちら寄りなのかが、
朧げにわかってきたのではないでしょうか?


最後にまとめます。

本記事では、ロジカルとエモールについて、
極端なキャラ、半沢直樹と寅さんを挙げて
少しだけ分析してみました。

いま、ロジカルに物事を進められない人は
「快刀乱麻を断つが如し」の
半沢直樹に惹かれることでしょう。
いま、エモールに物事を進められない人は
「情感と愛嬌たっぷりの憎めない存在」、
寅さんに惹かれることでしょう。

(その感じ方は、人それぞれにしても)

自分にない何か、
いかにもドラマ、というものを通して
人間は自分を顧みることができる。


そここそに「フィクション」、
つまり、創作の一つの意義があります。
俗に言う「キャラが立つ」というものです。
立ったキャラを見れば、
座っている自分がわかるんです。

土下座しているかもしれない自分も。

…もし、もう少しはっきりさせたい、
自分がどんな人間なのか、
どんな「キャラ」なのか、
ロジカルかエモールかがわからない人は、

次のお休みの日に
『半沢直樹』や『寅さん』のシリーズを見て、
つまり極端なキャラを味わって、

そこから感じるものを元に
自己分析をしてみてはいかがでしょうか?

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