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parallel(パラレル)とは、平行、交わらない直線。
二つの事柄が交わることなく存在すること。

…「パラレル○○」と言えば、
読者の皆様は、どんな言葉を思い浮かべますか?

◆「SFなどでよく聞くパラレルワールド」
◆「キャリア界隈でよく聞くパラレルキャリア」
◆「スキーが好きなのでパラレルターン」…

色々あるとは思いますが、
本記事では主に二つの
「パラレル○○」に絞って考えてみました。

≪パラレルワールド≫

「パラレルワールド」とは、
よく「SF」や『世にも奇妙な物語』などで
見られるような世界設定のひとつです。

ある世界(時空)から分岐し、
それに「並行」して存在する別の世界(時空)。

この設定においては、どちらかの世界が
他方の世界に従属、依存するものではなく、
それぞれが無関係に、並立的に存在しています。

…私も小説をお粗末ながら書いている身ですので、
パラレルワールドがいかに作品世界を作る上で
重宝するものか知っています。
つまり、パラレルワールドを設定することにより、
現実とは別の「あり得る世界」を描けるんですね。
「この物語はフィクションです」。
それは、架空のお話を展開する上で欠かせない。

「世界は一つではなく、
実は並行してたくさん存在するのだ」
という考え。

有名なゲームの『マインクラフト』などにも
すでに取り入れられていまして、
マイクラ上では、無数の
「○○ワールド」を作ることができます。

小説の世界では、最近流行している
「異世界転生モノ」や、
以前から流行してきた「架空戦記モノ」なども、
これに当てはまるでしょう。

…私はここに、
「単一であると思われてきた世界の問い直し」
という、文字通り、世界的な思想の潮流が
あるように思われるのです。

以前、いわゆる「冷戦構造」下において、
世界の捉え方は存外に単純なものでした。
「東」対「西」、あとは中立国などの例外。
対立する陣営は「敵」で、同じ陣営は「味方」。
白か黒か灰色か、そんなモノトーンの世界観です。

ところが「ソ連崩壊」「冷戦構造崩壊」によって、
世界というものはそんなに
単純なものではない、と皆が気づきます
(いまだに引きずっている国もありますが)。
実は国の数、人の数によって「世界」がある。
いや、一人の中にも無数の
カラフルな「世界」があり得る…。


まさに、パラレルワールドです。
マイクラや小説における複数世界の設定は、
世界的な構造の多様化に大きく影響を受けています。

以前に私は、ゲームの「FFⅣとロマサガ」
対比する形で、その自由度を比較しましたが↓

まさにその二つの作品が世に出たのは
1991~92年、冷戦構造が消失した頃…!
優れた作品というのは、世の中を先取りして
私たちに世の理を示してくれるもの、なのです。

≪パラレルキャリア≫

ここまでの流れを踏まえて、
「パラレルキャリア」について考えてみましょう。

この言葉は、かの有名な経営学者、
ピーター・ドラッカーさんが提唱した働き方です。
「キャリアを同時並行で複数持つ」こと。

でも「副業」とは、ちょっと違う。

副業は「本業」以外で収入を得ることが目的ですが、
パラレルキャリアにおいては、
ボランティアや趣味の活動などを含めて、
本業以外でも独立・平行した仕事をすることで、
「第二、第三のキャリア」を築くことを目指します。
そう、本業・副業という序列的なものではなく、
「複業」という、平行的で平等的な
複数の仕事を進めていくこと
を指すのです。

「中年世代の複業クリエイター」を自称する
私にとって、パラレルキャリアとは
まさにぴったりの言葉、世界設定語、と言えます。

かつて、冷戦構造下の
高度経済成長期・安定成長期の日本においては、
単一のキャリア観が主流となっていました。
一社専従、終身雇用、レールの上、車輪の下…。
そこから外れたアウトローは、
ヘルマン・ヘッセの描く『車輪の下』の如く
押しつぶされるべき「はぐれ者」になる…。

逆説的になりますが、
だからこそこの時代、パラレルワールドや
「あり得たかもしれない」世界を描写する
『ドラえもん』などのお話が
「夢物語」として人気を博した、とも言えましょう。

単一な世界観、キャリア観における
ガチガチな人間関係や環境…。
「永遠にいじめられる」存在であるのび太を
他のパラレル世界へといざなうべく
ドラえもんが奮闘する物語
、です。

しかしバブル崩壊後、夢物語であった
パラレルキャリア「こそ」が、逆に
スタンダートなものになりつつあります。

そう、一社専従、終身雇用を支えた
「会社はつぶれない」という観念こそが、
実は夢物語だったのです。

このあたりを一言で片づければ
「パラダイム・シフト」となるんでしょうけどね。
ねちっこく書けば、上記したような流れになります。

まさに、現代は『ドラえもん』が現実となった時代。
自分なりの「秘密道具」を用いて、
自分なりのパラレルでカラフルなキャリアを
選択して設定していく

それこそが主流となっている時代、なのです
(タケコプターはまだ実用化されていませんが、
無人のドローンは実用化されていますし…)。

≪まとめます≫

以上、本記事では
「パラレル」という言葉をとっかかりに、

パラレルワールド、パラレルキャリアについて
世界情勢、構造の変化を原材料に
ゲームや小説・漫画の事例のトッピングをかけて
書き出してみました。

ちなみに、オリンピックと時を同じくして
開催される「パラリンピック」も、
このパラレルという言葉に関係あるそうですよ。

元々は「下半身不随(paraplegia)」という言葉と
オリンピックとをかけて生み出した造語。
しかし1985年以降、下半身不随以外の選手も
参加するようになったため、
今では「パラレル」×「オリンピック」、つまり

◆複数・同時並行のオリンピックなんだよ!
◆人類の高みを目指すオリンピックと同時に存在する
 他の世界観によるスポーツの祭典だよ!

という位置づけに替わっているのです。

単一の世界観で他を塗りつぶす「勝利至上主義」に
アンチテーゼを提案するような
このパラレルな世界観、私は、好きです。

ワールドは、キャリアは、誠に多様なもの。

それぞれのワールド、それぞれのキャリアを
(もちろん主観的な好き嫌いがあり
人道的に許されざるものは認められませんが)
リスペクトし、想像し、共存する、
そういう姿勢が求められる時代
かな、と思います。

それとは真逆の排他的な「炎上騒ぎ」などを
見るにつけ、なおさらそう思うのです。

あの『ドラえもん』の「ジャイアン」だって、
通常版ではのび太をいじめる「暴君」ですが、
映画版では「頼もしい仲間」になるのですから…。
時と場合に応じて、人はいくらでも変わり得る。
これもジャイアン、あれもジャイアン、
パラレルジャイアン、なのです。

さて、読者の皆様の
パラレルなワールドやキャリアとしては
どんなものが考えられるでしょうか?

よろしければサポートいただけますと、とても嬉しいです。クリエイター活動のために使わせていただきます!