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NHKの大河ドラマは、戦国時代と幕末を
描いた作品が多い
、と言われています。

もっとも2022年の大河ドラマは
『鎌倉殿の13人』で平安末期~鎌倉時代、
これには当てはまらないのですけれど。
脚本を書いているのは三谷幸喜さん。
彼もまたこれまでに
『新選組!』と『真田丸』という作品で
幕末と戦国を題材にした大河ドラマを
つくっています。

なお、2023年の大河ドラマは
『リーガル・ハイ』などで有名な
古沢良太さんが脚本の
『どうする家康』、これもまた戦国ですね。

そもそも、大河ドラマの一作目が
『花の生涯』という作品でして、
幕末の「井伊直弼」を扱った作品でした。

幕末か、戦国か。
そういう二択時代があったので、
余計に『鎌倉殿の13人』の時代設定が
新鮮に見えてきます
(もちろん過去には『草燃える』という
同じ時代を描いた作品もありましたが…)。

ただ、平均視聴率的には、
幕末よりも戦国時代を扱った
作品のほうが、高い
そうですね。
『独眼竜政宗』とか『秀吉』などが
記憶にある方も多いかと思います。

なぜなのでしょうか?

その理由の一つに、
「幕末はわかりづらい」というのが
あるような気がします。

実際、ややこしく、難しいんですよ。
「開国」か「攘夷」か、という
対外政策だけならともかく、
「佐幕」か「尊王」か、という
国内政治の話も絡んできますから。
けっこう、ごちゃごちゃするんです。

あえて整理をしようとするならば、

「開国佐幕」、これは
条約を結んだ大老、
井伊直弼的な考えですよね。
幕府の下で、開国をしていく。

「尊王攘夷」、これは
それに対抗する考え方で
朝廷を尊び、外国を打ち払う。
新時代に向けて「勤王の志士」たちが
実際に動いていきました。

…ところが、実際に明治時代になると、
とても実力的に攘夷などできないと、
「文明開化」路線に行きまして、
いわば『尊王開国』とも
言うべき政策が取られました。

「尊王攘夷」を旗印に
頑張ってきた人たちからすれば、
「ちょ、待てよ」という感じですよね。
「なに、勝手に文明開化してんだ! 欧米か?!
攘夷のために頑張って来たんじゃないのか?」
という、一種の詐欺みたいな気分を
味わったんじゃないかな、と思います。
そういうのが、士族の反乱などにつながった。

ただし、欧米の文化が広まるにつれて、
「こりゃ攘夷、無理だわ」
世の中は徐々に納得していく…。
とてもおおまかなのですが、
幕末~明治初期の流れはこんな感じです。

ただ、そこに至るまでには
かなりの血が流れたのも事実。

ペリー来航、開国のあたりでは
外国人が「攘夷!」で何人も殺されていますし、
井伊直弼の安政の大獄では
有名な吉田松陰をはじめとして
何人もの人が獄死しています。

新選組隊士にはたくさんの「志士」が
やられたことでしょう。
幕府が倒れる時の「戊辰戦争」は言うに及ばず、
明治政府が成立した後も、
「士族の反乱」が頻発していきました。

そういう犠牲の元、
「尊王攘夷」で始まった明治維新はいつしか
「尊王開国」に「すり替わって」いき、
鹿鳴館でダンスを行うところまでいく
のです。

ここまで、「大河ドラマ」を皮切りに、
幕末~明治初期の思想の移り変わりを
おおまかに書いてみました。

さて、読者の皆様の会社や組織(団体)では
いかがでしょう?

何らかの「改革」は行われていますか?
それは、「敵を打ち払う」という
「攘夷」の気持ちで行われていますか?
それとも無難に、「開国」の気持ちで
行われているでしょうか?

既存の政権を維持する「佐幕」ですか?
それとも経営陣を一新するような
「尊王」的なものですか?

ガラリと変えるような改革のためには、
ものすごい怒り、憤り、悲しみ、
このままじゃダメだ的な、
酔うが如きエネルギー
が必要なものです。
幕末の「尊王攘夷」のように。

ただしそれだけでは、
ただの感情に任せての行動に終わり、
改革のあとが立ち行かなくなりがちです。
酔いは、いつかは醒めるもの。
明治政府の施策が「尊王開国」に
いつの間にかすり替わったように、
現実を見て、現実的な妥協をしていく、
そういった調整もまた、必要なのです。

「岩倉使節団」のように、実際に
「敵」を自分の目で視察することも必要。
観念的に考えれば考えるほど、
人は好戦的になる
ものですから…。

もし、明治時代になったのに
「尊王攘夷!」と叫んで
刀を振り回していたら、逮捕されます。

何かを変える時には、
内なるエネルギーは、必要不可欠。
それをどのように「昇華」して、
前向きに、次の時代に向けて、
「自分の行動」として表していくか?
批判に終わらず、自ら創設できるか?

「時代に取り残される者」に
ならないためには、
そういうことが大事だと、
改めて思っております。
情熱的に動きつつ、冷静に考える。
冷静に醒めながらも、情熱に酔っぱらう。


本記事のまとめとして、
司馬遼太郎さんの小説
『竜馬がゆく』で書かれたセリフで締めます。
実際の文章は「男子は…」で始まりますが
あえて「すべからく…」からの引用です。

(ここから引用)

『すべからく酒間で
独り醒めている必要がある。
しかし同時に、
大勢と一緒に酔態を呈しているべきだ。
でなければ、この世で大事業は成せぬ。』

(引用終わり)

さて、読者の皆様は、
何に酔い、何に動いていきますか?
『どうする〇〇』の○○に、
「自分」と入れることができますか?

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