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漫画『ドラえもん』を例に
立ち位置とストーリーを考察する。

①のび太
②ジャイアン
③ドラえもん

この三者が、軸である。
スネ夫やしずかちゃんがいなくても
この漫画は成り立つが、
この三者が全くいない話は
なかなか想像ができない、と思う。

①のび太:いじめられっ子
②ジャイアン:いじめっ子
③ドラえもん:①を助ける

3つの明確な立ち位置が前提にある。

ただ、この漫画の面白いところは
ドラえもんの道具によって
①のび太:いじめっ子
②ジャイアン:いじめられっ子
③ドラえもん:①を制する

と立ち位置が変わるところにある。

だいたいはのび太が
悪ノリし過ぎて道具を使い過ぎ
「ほうら、言わんこっちゃない」
みたいなオチで終わる。

偉大なる、様式美。

のび太が困難に陥らないと
話が始まらない。
のび太が悪ノリして
元の前提に戻らないと
話が終わらないのだ。

…しかし、読者の皆さんは
「いやいや、ドラえもんは
これだけじゃないでしょ」

と思うのでは。

そう、映画版はちょっと違う。

映画版のドラえもんでは、
仮想敵ジャイアンが
漢気(おとこぎ)にあふれた
素晴らしい仲間に変わるのだ。

なぜか?
それは、立ち位置を前提とした
ストーリーではなく、
ストーリーに応じて
立ち位置が変わるから。
組み立ての前提が、逆になるのだ。

映画版ドラえもんは
のび太が悪ノリし過ぎて道具を使い過ぎ
「ほうら、言わんこっちゃない」
みたいなオチの話ではない。

のび太が起承転結に従って
道具と仲間をうまく組み合わせて
ある問題を解決するストーリーだ。
そのためには
ジャイアンの立ち位置が
いつもと変わる。
変わらざるを、得ない
(ドラえもんは基本同じだが)。

①のび太:成長すべき主人公
②ジャイアン:①を助ける
③ドラえもん:①を助ける

…『ドラえもん』という作品の魅力は
◆いつもと変わらない日常
◆いつもとは異なる冒険譚

この2つを使い分けているところにも
あるのではないか?

ドラえもんが未来に帰る
「プチ最終回」的な回がある。

てんとう虫コミックスで言うと
6巻の最後に載っている。
『さようなら ドラえもん』という
伝説の回である。

ここでは、日常の終わりが示唆される。
…当然、立ち位置も、いつもと変わる。

①のび太:いじめられっ子→成長
②ジャイアン:いじめっ子→克服
③ドラえもん:(いなくなる)

(7巻では、しれっとドラえもんが
返ってくるので、またいつもの
立ち位置に戻るのだが)

…さて、ここまで
立ち位置とストーリーについて
ドラえもんを題材に考察してきたが、

読者の皆さんは、どうですか?
あなたの立ち位置と
ストーリーはいかがだろうか?

のび太? ジャイアン? ドラえもん?
…スネ夫? しずかちゃん?
もしかして、出木杉君?

今日という日を
どんなキャラ・立ち位置で過ごし
どんなストーリーを描くのかは
あなた次第である。

日常回にするのか?
映画版にするのか?
主人公のあなた次第、なのである。

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