銀行破綻は連鎖するのか?世間をにぎわす「ベイルイン」という株式市場の新テーマ
今回のテーマのご説明
昨今のシリコンバレー銀行・シグネチャー銀行・クレディスイスなどの大手銀行の信用不安で相場は大きく荒れています。その中でよく出てくる言葉の解説と、この金融不安の注目点を確認していきたいと思います。
まず今日のテーマの「ベイルイン」と「ベイルアウト」という言葉を聞いて説明できる人は多くはいないと思います。
何せ「ベイルイン」の歴史は浅く、リーマンショック以降にできた言葉です。
その反対語のベイルアウトはリーマンショックで実際大手銀行に米政府は行いました。
「ベイルアウト」という言葉で語るからややこしいですが、日本語に簡単に一言で説明すれば「公的資金注入」です。
日本でもかつてバブル崩壊したときに、巨額の不良債権を抱えた銀行15行に公的資金が注入されました。
最近この言葉がニュースでもよく聞かれます。
「too big to fail」「でかすぎてつぶせない。」
俗にいう「G-SIBs」と言われる(Global Systemically Important Banks)銀行はつぶしてしまえばその他の経済活動にネガティブに与える影響が多すぎるため、つぶせないのです。
日本で言えば、三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行になります。
つぶせないから公的資金注入をして銀行を助けるわけですが、ここにモラルハザードが発生してしまいます。
簡単に言えば、「別にリスク取って危ない経営や運用してもいいんじゃね?儲かったら万々歳!なんかあったらどうせ助けてくれるし!」となってしまうということです。そうすれば破綻リスク高くなるし、リスク資産を買いまくってバブルになる。
そしてリーマンショックでも公的資金注入されました。
その金はどこから出てくるか?
国民の税金から出てきます。
金融機関に努めている人たちに対する批判は当然あります。
「リーマンブラザーズなんて今までリスク取って儲けまくってたくさん給料もらっていたホワイトカラーたちだろ!俺たちより裕福だ!そんな奴らをなぜ国民の税金で助けなければならんのだ!」と。
至極当然です。
かくして、「ドッド・フランク法」が成立します。
これも簡単に言えば、リーマンショックは銀行がリスク取って調子乗って儲けようと何も考えずに経営、運用したから起こったんだ。お前らがモラルハザードにならないように、思いっきり規制を厳しくして、二度とつぶれないようにしてやる!という規制のための法律です。
とはいえ、締め付けたからと言って銀行が絶対潰れないとは言えません。
かつ、答えだけ言えば今回クレディスイスもシリコンバレー銀行もシグネチャー銀行もぶっ飛んだわけですから、ベイルアウトなくして大きすぎてつぶせないG-SIBsはどうやって助けるの?という話になります。
そしてドッド・フランク法もでき、2010年からはベイルアウトの反対の造語で「ベイルイン」という言葉が誕生しました。
ここからはタイトルにもした、ここからの相場の新テーマになるであろう「ベイルイン」についてお話をしていきます。
これを知らないままではここからの相場を乗り切ることができないと思います。
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