見出し画像

【ひすみ短歌365日】213日目~243日目 【まとめ】

◇はじめに

こんにちは。
今年の1月より「1日1題2首以上」お題に沿った短歌を詠むことを習慣に、日々短歌を作っています。
8か月を達成したのでまとめました~。
色々なお題で詠んでいるのでよかったら見てみてください~!

↓↓耳でも楽しめる短歌としてYouTubeもしています♪↓↓


◇短歌


213日目【暑い】2023.8.24

真四角の氷の角は丸くなりグラスは汗をただ受け止める

低温でじっくりと焼く太陽は人類丸ごと食う気であろう


214日目【孤独】2023.8.25

会場の賑わいのなか階段の裏で独りを作り出したい

孤独とは罪だと思うことなかれ 己だけ思うことの贅沢


215日目【恐怖】2023.8.26

恐怖とは命のふちに触れたとき己を守るための感情

幸せが続くと一歩が怖くなる 見えぬ奈落が待ってるようで


216日目【嫉妬】2023.8.27

墨汁が半紙に滲むより早く嫉妬は理性を黒く染めゆく

愛ゆえに嫉妬するとは言い訳で愛を感じる力がないのだ


217日目【芽】2023.8.28

理科室で芽吹いた命は透明な檻から数多の目に晒される

黒ずんだ壁の隅から芽が伸びて俺より家主面したツルだ

発芽したあなたは茎も葉もすぐに作ってしまう 吾は土の種


218日目【こたつ】2023.8.29

我が家の解体作業を見るような眼の猫がにゃあと鳴く昼

こたつから一歩も出ないためにする努力は厭わん出不精の性


219日目【アルバム】2023.8.30

忘れたいあの日に限って思い出させようとするのはなんでiPhone

アルバムを見返せるほど思入れも思い出もない学校生活


220日目【お金】2023.8.31

民の根から吸い上げたろう栄養は行方知れずの国の大木

キャッシュレス化してお金は実態より数字としての認識になる


221日目【楽譜】2023.9.1

読めなくとも可視化されてる旋律を眺めるだけで君が聴こえる

書き込みで余白の消えた楽譜だけは嘘をつかないステージの上


222日目【電話】2023.9.2

携帯の連絡先は中学のクラスメイトで時が止まった

無意識にワントーンあがる声色に我が余所行きの概念を知る


223日目【犬】2023.9.3

人間の寿命を分けて君たちと長くいられる未来がほしい

犬のごと君を誓って生きましょう 寝ても醒めても灰の空でも


224日目【編む】2023.9.4

心臓の糸事切れるその日までに自分の全てを編めるだろうか

毛糸玉は手袋になった新たなる形で生きる編むということ


225日目【金木犀】2023.9.5

せっかちな金木犀が商品の棚を一面オレンジにする

秋に咲かない花たちにこの花を教えたくって変えぬ香水


226日目【願う】2023.9.6

願うことは自分の力じゃ叶えられないと認めることと同義だ

前向きか後ろ向きかの違いしかない願いと呪いの境


227日目【煙草】2023.9.7

細長い煙にのせた命らはどれほど空に溜まったろうか

幼少の頃より母のにおいだった セブンスターだけ好きな銘柄


228日目【森】2023.9.8

生き死にのために森羅万象は意味らしき言い訳をしたがる

山は森 森は林で林は木の集まりで木にむける憧憬


229日目【ライブ】2023.9.9

君の声、君の言葉を浴びながら小さく君をなぞる唇

一瞬がたちまち過ぎてゆくことさえたった一瞬を共有している


230日目【天秤】2023.9.10

軸のない人の天秤 水平を知らず傾く音ばかり鳴る

比べたくないもの選びたくないもの私の手から秤に乗りたつ


231日目【虫】2023.9.11

耳元で喚き散らかす蚊のようなノイズは人も同じだけある

昼間にはセミの鳴き声 夕方は鈴虫の鳴く季節の隙間


232日目【人】2023.9.12

人の正は言葉の善悪より誰の口から発せられたかによる

友人と知人の基準の目盛りさえわかれば言い惑うこともない

身勝手さ ヒトは君主でありながら他の生き物を救わないのだ


233日目【夢】2023.9.13

夢のある話は痛む 僕のいるレールにはない話ばかりで

夢が過去をフラッシュバックさせてきて寝込みを襲う卑怯なやつだ


234日目【リモート】2023.9.14

名前だけ知ってる人が増えていくZoomの黒と白字の画面

一人きりは孤独ではない他の人に阻害されない効率がある


235日目【毛糸】2023.9.15

古傷が消えないように一度でもほつれた糸はもう戻らない

転がっていく毛糸玉の勢いに負けぬ時間の経過の仕方


236日目【オルゴール】2023.9.16

オルゴールアレンジメドレーしんみりと耳傾けて歯医者を待った

澄む音は情緒の鍵を持っていて透明色の涙を誘う


237日目【温泉】2023.9.17

炭酸の泡が肌にはりついて吾だけの命が全身にある

我だけで浸かる湯船は気持ちよく独裁主義の欠片と思う


238日目【魚】2023.9.18

深海は人間界の夜の街 人より遥か静かであるが

骨を取る技術のなくて実家から出たら食べられなくなる味だ


239日目【太陽】2023.9.19

影の方が僕よりずっと大きくて陽がのびしろを教えてくれた

 空と雲の隙間を縫った太陽のステンドグラス光る梅雨明け


240日目【銀木犀】2023.9.20

キスの距離で初めて香るあざとさに気づかず小雪の花に惹かれる

花の世も寺院の世界も華やかな金 厳かな銀の位置づけ


241日目【手袋】2023.9.21

指先が余る大人用手袋に子ども認定される成人

「手袋を買えよ」と私の手を包むあなたのせいで買えないのです


242日目【帰り道】2023.9.22

帰路に生き方を重ねる思春期をあえて避けるも思春期の道

変わらない帰りの景色 珍しい空の色さえ見覚えのある


243日目【テレビ】2023.9.23

最大の娯楽であったテレビはもう束縛のある不自由の位置

親世代は当たり前に言う「○○は何チャン」令和で途絶えるだろう


◇おわりに

YouTubeに音声付で投稿もしています♪
よかったら耳でも楽しんでみてください~!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?