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山口で支出の多いものを見てみよう!~チョコ・和菓子・まんじゅうetc~(家計調査2023速報!)

毎年この時期になるとニュースで話題となる総務省 家計調査。

このように、各地で「●●市は××の消費額日本一!」といったニュースが各地で話題になります。特に、ギョーザの消費額で日本一の座を争う戦いは、常連都市のまちおこしの情熱と相まって、毎年全国的なニュースとして注目を集めます。


山口市と家計調査

山口でも、2018年にチョコレートで全国1位になったことがあり、それを機にチョコレートでのまちおこしを狙う動きがあるとか…。

チョコフェス山口の案内ポスター(イベント公式Instagramより)

ただし、この全国1位は、よくニュースで取り上げられる「2人以上世帯の年間品目別消費支出額」ではなく「総世帯の支出額」(単身世帯も含む)でのこと。また、山口市のチョコレート支出が2018年に限り顕著な外れ値を示していた点にも留意が必要です。

それでも、山口市がチョコレート及びチョコレート菓子の消費で上位常連に名を連ねていることは事実です。1つのイベントとして楽しみたいですね!

なお、家計調査では、「チョコレート」と「チョコレート菓子」をチョコ含有量等によって別々に分類しています。どちらのカテゴリーも上位常連は馴染みの顔で、その理由を探る試みはあるようですが明確な結論には至っていない様子。チョコレートという身近なお菓子を深く掘り下げると、予想外の発見があるかもしれませんね。

そもそも家計調査とは?

総務省統計局が毎年行う基幹統計調査。全国168自治体の約8,000世帯が対象となっています。この調査は、サンプル数の少なさに留意する必要がありますが、日本の家計収支の実態を把握するための重要な基礎データとなっています。

今回扱う1世帯あたりの年間支出金額は、その対象が県庁所在地や政令指定都市に限られており、調査対象世帯も限定されているため、特に支出頻度が低い項目(家電製品や工事費用など)に関しては結果のばらつきが大きいことに注意が必要です。そのため、単にランキングを眺めるだけではなく、その地域で特定の品目がなぜ支持されているのか、その背景や文化に目を向けることが重要です。

山口市の上位品目はこれだ!

家計調査2023における山口市の上位品目を一覧化しました。筆者主観による抜粋版です(全品目は後半に記載します)

家計調査2023「1世帯当たり年間の支出金額 購入数量及び平均価格_2人以上世帯」より

先述した通り、上位ランクイン=その街の特徴と断定するのは少し早計です。特定の品目がその地域でなぜ支持されているのか、その背景や文化を理解することが重要です。以降記述する内容は、あくまで一つの示唆として受け取っていただけると嬉しいです。

① 上位品目には「海産物」が多い

あじ(3位)、干しのり(3位)、かまぼこ(4位)、ぶり(6位)、他の塩干し魚介(8位)など、海産物が比較的多い印象です。三方を海に囲まれた山口県の特徴が反映されているともいえそうです。一方で家計調査には他にも海産物系の品目が多数あるため、このデータだけをもって「他よりも海産物の消費が多い」とは言えません(実際、全魚介類の品目を合計したときの消費額順位は山口は下位でした)。毎年の傾向を読み解いていくことでどのような魚介が上位に入りやすいかなど、地域性が見えてくるかもしれません。

② 古都に続いて「和生菓子」が上位に

「他の和菓子」は、金沢市、奈良市、京都市に次いで山口市が4位に。上位3位まではいずれも古都として名高く、多くの観光客で賑わっています。山口市も、室町時代に西日本随一の繫栄を誇り独自の文化が花開いた都市です。「西の京」とも称される山口市で和生菓子が人気を集めているのは、その歴史的背景と独自の文化、それを生かした観光戦略が影響しているとも考えられます。

特に山口市の銘菓といえば外郎。外郎はまさに「和生菓子」に分類され、外郎の消費額が山口市を上位に押し上げている要因の一つかもしれません。

③実は上位常連「まんじゅう」

実は山口は「まんじゅう」の消費額でも上位常連です。和生菓子、饅頭、どちらも「西の京やまぐち」のイメージに合う品目ですね。なぜ消費額が多いかは定かではありませんが、市内には県内有数の温泉街である湯田温泉が所在していることも影響しているのか…?(温泉といえば饅頭…ちょっと安直…?)

今年は特にニューヨークタイムズの特集をきっかけに「西の京やまぐち」に注目が集まりそうです。これを機に、和生菓子やまんじゅうなど、伝統的な食文化・甘味への関心も高まり、より多くの人にその魅力が伝わることを期待したいですね。

④番外編:チョコの行方は…!

残念ながら昨年の調査結果ではチョコレート・チョコレート菓子は、今回ランキング化した上位8位までには入れませんでした。しかしチョコレートは13位、チョコレート菓子11位、合算で10位と、調査対象都市52都市の中では上位にランクインしていました!

家計調査2023「1世帯当たり年間の支出金額 購入数量及び平均価格_2人以上世帯」より

おわりに

今週、家計調査2023の結果が公表されたので、せっかくなので地元やまぐちにスポットライトを当ててみました。特に、今年はニューヨークタイムズの報道がやまぐちの観光シーンを大いに盛り上げてくれることが予想されます。山口には、大内文化や明治維新といった歴史に起因した観光資源が多数存在します。加えて温泉街や美味しいお酒、そして家計調査を通じて見えてきたチョコレートや和菓子などの甘い魅力もあります…。

ニューヨークタイムズの特集が報じられた際「なぜ山口が選ばれたのか?何もないのに」という市民の反応も各所で聞かれましたが、いやいやそんなことはない。歴史、温泉、酒、そして甘味。山口には観光資源が揃っているじゃないか!!


余談:上位8位に入った全品目を公開!

今回は、山口が上位8位に入った品目を抜粋して紹介しました。上位8位に入った品目をすべて一覧化したものをこちらに掲載しておきます!

家計調査2023「1世帯当たり年間の支出金額 購入数量及び平均価格_2人以上世帯」より

例えば、全品目一覧のTOPには「給排水関係工事費」が並んでいますが、こn品目は元々支出機会が低い項目と思われます(調査対象となった世帯がたまたまリフォームを行っていた可能性が考えられます)。そのため、抜粋版を作成する際は、この品目は取り除きました。

余談:他都市の上位品目も調べてみよう!

今回は山口の上位品目に関する家計調査の結果分析を行いましたが、元データから品目を一つずつ並べる作業は大変です。そこで、PythonとGoogleスプレッドシートを組み合わせて予め作業を仕組化しています。この方法なら、山口だけでなく他の都市の上位品目も簡単に調査できます。

詳細なコードはQiita記事にまとめてありますので、興味のある方はぜひ活用してみてください!

ではまた!

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