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『cocktail for grief』

火杓と申します。

2023.04.02(Sun)に新たなミニアルバムを配信Releaseしました。

火杓 3rd VOCALOID miniアルバム
『cocktail for grief』feat.miki

<収録曲>
①雑踏と花明り
②オーロラの終着点
③カクテルロールバック
④好きになった理由なんて
⑤ヴェノムパルサー
⑥金盞花が眩しい朝に

↓配信リンクはこちら↓

今回はこのアルバムのセルフライナーノーツを気ままに記していきます。

アルバムタイトル

直訳すると「悲しみの為の混合薬」。cocktailの部分はわざわざ日本語にしなくていいと思います。マッドサイエンティストみたいになっちゃうので(なるか?)。

griefという単語に対しては、悲しみだけではなく様々な負の感情を勝手に込めています。
要は、ネガティブな気持ちになった時にこのアルバムを浴びるように聴いて、ポジティブに切り替えるもよし、ネガのまま受け入れるもよし、全部忘れるもよし…好きにしていいよという意味ではないでしょうか。

曲作り計画メモに『カクテルロールバック』があったので、ここからもじって良さげなやつにしようと考え、候補を2~3転して本タイトルにいきつきました。

収録楽曲

①雑踏と花明り

曲作りの起点は
・楽器はギターベースドラムのみで、キラキラさせない
・都会の桜を引き合いに大人や社会の汚さと美しさを描く
だったのですが、最終的にはバンドマンの葛藤を描写した普通のギターロックになりました。

一体何に影響されたのでしょうか?創作をしていると不思議なこともあるものです。

作曲環境が変わったことで「もっとバンドサウンドに寄せた曲も作れるのでは?」ということで、実験も兼ねてやってみました。
僕はギターやベースに関して<実際に人間が弾けるライン>というものを理解しておりませんので、特に右耳で鳴ってるフレーズは力学的に弾けるのか、誰かに試してほしいなと思ってます(弾けるなら弾いてみろみたいな煽りではなく、純粋に)。

僕自身バンドマンを名乗っていた時期もあり、且つ今じゃ作曲して発信までしてるもんで、テーマに沿った言葉選びにはあまり苦労しなかったです。
普段作詞に自信は無いですがこの曲はそこそこよくできたと思います。

曲の構成に工夫があるとすれば、ちょいちょい6/8拍子を混ぜている、コードのエモさを出すためにm7をm9に変換する箇所が多い…とかですかね。
特にイントロで6/8拍子だったフレーズを間奏で4/4拍子に変換させるのは、性癖が出てて個人的推しポイントです。

②オーロラの終着点

僕はいつかオーロラをこの目で見てみたいと思っていて。

でも結構なお金と苦労を積まないといけないから、余程特別な時でないと動かないでしょう。見なきゃ死ぬわけでもあるまいし。
ただ、どうせ死ぬなら一度は見てからがいいので、その内生きるのに疲れたらパスポート取って人知れず北の果てに行って、綺麗なものに心を奪われながら眠るのもロマンチックだな…という着想から生まれた曲です。

曲の構想は最初から決まっていて、ピアノやストリングスがピカピカ鳴っている「好きを詰め込んだパワーポップ」を目指し、狙い通りに仕上がりました。

作曲環境を変えて新年一発目の曲ということもあり気合を入れて作りました。別に売れなくていいけど、振り返った時に胸を張って「これが火杓の音楽のリスタートだ」と言えるものにしたかった。歌詞は全然暗いけど。

お気に入りはイントロ及びアウトロです。またその内ストリングスが主人公の曲を作りたいな。

③カクテルロールバック

お酒は家でそこそこ嗜む程度です。特に目的をもって飲むわけでもなく、何なら飲みながら友達と通話してゲームするもんでオシャレさがありません。

ええ、本当は間接照明を焚いた部屋の片隅でカクテルを飲みながら、深夜ラジオを嗜むシャレオツな生活に憧れています。

管理できないし深夜ラジオは聴かないので実現しないんですけどね。

この曲はアルバムタイトルにも紐づいていてリードトラック面してますが、一番地味な曲だなと感じています。
それは意図的なもので、これを聴きながら深夜に晩酌できるような、落ち着いた曲を目指した結果です。もしかしたらこういうのが一番好きって人もいるのではないでしょうか。
(残念ながらMV作成予定は無し。知る人ぞ知る曲ということで、サブスクでたくさん聴いてくれぃ)

歌詞については、アルバム曲の中でも一番前向きだなと思います。
前向きというか、外野の声なんかどこ吹く風で自分のやりたいようにやって、結果が良けりゃ文句言うなってスタンスが最高にロックです。

何気にギターの古臭い音作りが気に入ってます。

④好きになった理由なんて

この記事を書いている現在、おそらく火杓史上唯一、曲名がそのまま歌詞に出てくる曲です。

歌詞考えるの苦手なくせして自分ルールを色々と敷いているこの火杓ですが、こればかりはちょっとだけルールを逸脱し、解釈の余地をなるべく与えずに<誰が聴いてもラブソング>だと思えるものを作りました。
その上で「主人公の心境は如何に」等を考えてもらえれば、と。

アレンジもメロディも変化球なし、歌詞はなるべく甘酸っぱく、切り取るシーンは告白のみ…というある意味で制限の多い中で生まれた曲でした。
いい曲を目指して作るのが主軸なので照れとか恥ずかしさはあまり無かったです。俯瞰したら結構小っ恥ずかしいことやってんなとは思うけども。

わかりやすいものは受け入れやすいのかどうなのか、色んな良い反響をいただきました。ありがてぇ。

ちなみにこの曲を作っているときに読んでいた漫画はこれ↓

ラブコメはいいぞ!

⑤ヴェノムパルサー

この曲については↑で書いてるのでちょっと違う切り口の話。

アルバムにまとめる上で、この曲の扱いが一番大変なのではと危惧していました。
純粋に古い作曲環境で出来たものだからクオリティの統一感もないし、テーマが怒りに振り切ってるから悪目立ちもするし、どうしてもバランスが整わないんですよね。

とはいえ曲自体はかっこいいし、収録しないと変にあぶれちゃって可哀そうだし…と悩んだ結果、「まーこれはこれでありだよね」という結論に行きつきました。有体に言って諦めました。

テーマはさておき、Track4のある種平和的な雰囲気を一旦木っ端みじんにして、Track6をより聴きやすく引き立たせる役割を担ってもらいました。
狙い通りになってるのかわかりませんが、ミニアルバムにおいておそらく最も聞かれづらいであろう5曲目にこういうフックを持ってくることで、きっと作品が締まっただろうと信じたいですね。

⑥金盞花が眩しい朝に

当初はアルバム制作の計画に全く無い曲でした。

ただ、製作期間中に立て続けに心を抉られる良くない報せを受け、何かに昇華しないとやりきれなくて、急遽作ることになりました。
アルバムタイトルの方が先に決まってたのですが、結果的に収録曲としてのシナジーは随一となり、正直複雑な思いもあります。

テーマだったり歌詞だったりは物凄く暗いけど、それだけだと聴いててしんどくなってしまうので、音楽的にもしっかり心に刺さるように構成を組み立てていきました。
コードはどことなく明るさを残してみて、それが切なさにつながってメロディが映えるように、とかね。

頭からストリングス等たくさんの楽器を足そうとしていたものの、結局はギター1本で弾き語りをしているところに他の楽器が重なっていくイメージに落ち着きました。
そしてラスサビ直後のギターソロに、感情のすべてを込めました。聴いてて泣いてしまうほどに。

今は「生きている」というより「偶々死んでいないだけ」なんだよなと、後ろ向きの悟りを胸に抱えながら日々を過ごしています。
できればもう誰も死んでほしくないけど、人間として暮らしている以上ついて回る可能性のある出来事でもあって、怯えつつもどこかで予防線を張って心を保つように心掛けていたり。

年をとるとこの辺の感覚が鈍るのかと思ってたけど全然そんなことはないし、ならば生きづらかろうがちゃんと持ってないといけないものなんだと思ってます。

終わりに

Trailerも置いておきますね。

ミニアルバムを作るのが楽しい理由としては、
・曲数が少ないのでパッケージ化までの期間を短くできる
・コンセプチュアルなものを作りやすい

というのが挙げられて、あとはフルかミニかに関わらず曲順を考えるのが楽しいので、今年はとにかくミニアルバムを出し続けるのもいいなと思ってます。

今回の作品はこれからの火杓の音楽の起点になります。
今の環境でどんどん曲を作って、どんどん知ってもらえる機会を創って、結果あわよくば火杓の音楽を好きになってくれたら嬉しい。

では、次の記事でまたお会いしましょう。

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