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服部国際奨学財団 創立15周年記念式典 【服部奨学生レポート】

服部国際奨学財団は、2023年11月で創立15周年を迎えました。その節目を祝して、2023年11月25日、名古屋市中村区・名古屋マリオットアソシアホテルにて「服部国際奨学財団創立15周年記念講演会」併催「2023年秋季服部奨学金授与式・2023年度服部奨学生研究発表会」が開催されました。

記念講演会では、講師として、宇宙飛行士の毛利衛氏をお招きし「宇宙の地球人としての私たち」と題してご講演いただきました。講演会を振り返り、第13期奨学生・岡本すず菜さん(東京大学 大学院工学系研究科 修士課程 航空宇宙工学専攻)が執筆したレポート記事をご覧ください。


自己紹介

初めまして。本記事を担当させていただく13期奨学生の岡本すず菜です。高校生のとき、宇宙から帰還したスペースシャトルを見て、宇宙に行きたいという人類の熱い想いに感動しました。それをきっかけに航空宇宙工学を志し、学士・修士課程ともに専攻しています。

当日の流れ

式典当日は、下記のような流れで進行しました。なかでも本記事では、1992年と2000年にスペースシャトルに搭乗した、宇宙飛行士の毛利衛氏による特別講演についてまとめたいと思います。

式典当日の奨学生サポートスタッフ
  • 第一部

    • 来賓、役員紹介・理事長挨拶

    • 創立15周年記念 毛利衛氏講演会

  • 昼食懇親会

  • 第二部

    • 秋季服部奨学金授与式

    • 服部奨学生研究発表会

      • 第14期服部奨学生 毛利築さん:廃水処理技術の今と微生物燃料電池 〜人々に必要不可欠な『水』のはなし〜

      • 第15期服部奨学生 竹下琴里さん:地球環境と私たち 〜学びのセーフティネット作り~

    • 服部奨学生 メンター制度及びイベント班の活動報告

毛利衛氏講演「宇宙の地球人としての私たち」

毛利氏の講演では、国際宇宙ステーションでの実験や立体地図の製作など、宇宙飛行士のミッションとして取り組んだ活動について、ビデオを交えた紹介がありました。

また、人類としての進歩に焦点を当てたお話も多くありました。人類の能力や技術が向上していくことは、他の人にとっても喜びになるということです。大谷翔平選手の話題も登場し、彼の活躍を皆が喜ぶ理由の1つとして、未だ誰も達成していない所業を成し遂げているからと話されていました。そして私たち奨学生にも、自分は他人とは違うのだから、誰もやっていない挑戦をして新しい世界にしていってほしいとメッセージを残してくださりました。

記念講演ポスター

講演会に参加して

宇宙が好きな人の多くにとって、宇宙飛行士は憧れの存在だと思います。私もそんな一人であり、本講演会は学びと喜びの連続でした。その中でも大きく印象に残った2点について詳しく書きたいと思います。

1点目は、宇宙開発と他分野との関わりについてです。宇宙には、他分野と協力できるポテンシャルがたくさんあり、相乗効果が最も望まれる結果です。宇宙から観測した温度変動のデータを、将来の農地の選定に活かす例が講演会でも挙がりました。宇宙をどう活用していくのか何が宇宙で活きるのか、宇宙開発を持続的に盛り上げるために考え続けなければならない問いだと改めて実感しました。

この日の午後、毛利築さんの研究発表を聞きながらふと、この微生物燃料電池を使って宇宙の水循環を改善できれば、将来の人類の宇宙移住時に役立つのではないかというアイデアが頭をよぎりました。他分野との協力は、宇宙分野だけを見ていても決して生まれません。これほど多様なバックグラウンドを持つ奨学生たちとの繋がりのありがたさを感じると共に、今後も大切にしていきたいと思った瞬間でした。

2点目は、ポジティブシンキングについてです。私は留学を経験してから、日本のメンタルヘルスの遅れに興味を持つようになりました。そこで、究極の閉鎖環境でプレッシャーを感じながら仕事をする宇宙飛行士の方に、メンタルマネジメントのコツを聞いてみたいと思っていました。毛利氏の回答は、適材適所なのだから心配性な人も必要だし、無理して変える必要はないというものでした。このような発想の転換は私にはなく、宇宙飛行士に選出される方の考え方に大変驚かされました。

毛利氏が宇宙に行った頃、宇宙飛行士の仕事は国際宇宙ステーションの建設が多かったそうです。しかし、毛利氏は大学で理学の研究を行なっていたため、科学的な実験がしたいと考えており、実際そのようなミッションを多く割り当てられたそうです。ポジティブさがラッキーを引き寄せるのかなと感じました。 

質疑応答では、たくさんの参加奨学生から質問が寄せられました

最後に

本講演会では、奨学生を代表して毛利氏の案内係をさせていただきました。勉強内容や就職についてなど優しく声をかけてくださり、その人柄に感銘を受けると共に、憧れの存在とお話ができたとても思い出に残る時間にもなりました。私も、将来はそんなパワーを与えられるような人になりたいと思いました。

4月には、7年間という長い大学生活を終え、高校生の頃からの夢を叶えてJAXAに勤務します。思う存分航空宇宙工学を学び、留学も経験し、充実した学びの時間を過ごせたのは、服部国際奨学財団をはじめとする皆さまのご支援のおかげであることを胸に刻み、頑張っていきたいと思います。


服部国際奨学財団では、国籍・専門分野を問わず、社会的課題に強い関心と問題意識を持ち、その解決を目指した学修・研究に取り組む学生、また、経済的理由により修学が困難な学生に対して、月額10万円の給付型奨学金による支援を行っています。新規奨学生募集情報は、noteブログ・公式HPで随時公開いたします。

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