【後編】動機械担当者が抱える悩み。さらに4つに深掘りしました
前回の記事では、同機械担当者が抱える悩みの前編として「動機械と静機械のちがい」と「動機械担当者の1番の悩み」をお伝えしました。
今回はそのつづきになりますので、ぜひまずは前編を読んでいただけるとうれしいです。主にプラント業界を知らない人向けに執筆しております。
前編:動機械担当者が抱える悩み。静機械との違いと根本的な悩みとは
後編の今回は、動機械担当者の悩みを派生してさらに「別角度から見える5つの悩み」をお伝えします。
前提として:動機械担当者はお客様です
本題に入る前に、まずは前提情報を。「動機械担当者」というワードが冒頭から多発していますが、柳井工業のお客様のお話です。
あえてクライアントさまの問題を客観的な視点で書くことで、プラント業界の課題の1つをみなさんにお伝えできるかなと思いました。
1. 若手が育たず人材不足が加速する
このnoteでは「プラント業界は常に人材不足…」ということを、さまざまな角度でお伝えしてきました。主に職人目線での記事でした。
●関連:プラント業界の闇①どうして働く人の収入が増えないのか?業界のからくりと闇。
動機械担当者でも職人と同じく、人材不足がつづいています。
前編で書きましたが、静機械担当者に比べて責任が重いのにも関わらず、評価がされにくいのです。
おそらく、静機械の方が稼げるので売上だけでみれば「より会社に貢献している」という判断になるからだと思います。理不尽ですよね…。
負担が多く辞めてしまうので、そのしわ寄せが若手に来ます。なので、ただでさえ仕事量が多いのにより広範囲で担わないといけないので、いつまでたっても仕事が終わらないのです。
2.仕事が終わらないのに「残業するな」と言われる
最近では「働き方改革」が浸透し、会社も就業時間にはシビアになってきました。もちろんいい側面が多いと思うのですが、動機械担当者にはむしろ逆効果。
仕事が多く定時では終わらない量なのにもかかわらず、「残業するな」と上層部に怒られてしまうそうです。
ただでさえ繊細な動機械。1つの機械に対しての時間を充てられずが雑になり、故障の原因になってしまいます。
もしも故障やトラブルが起これば、動機械担当者の責任。過小評価に繋がり、昇給にもほど遠くなります。
3.「協力会社(施工会社)」が毎回変わり会社全体のレベルが下がる
動機械担当のクライアントは協力会社(施工会社)。各企業毎でかけられる予算が異なるのですが、必ず4社前後の施工会社に見積書を出して、その内容をもとに競売をします。
予算も限られているので、やはり「安くそれなりにやってくれる会社」が選ばれやすくなります。
つまり、前回の協力会社が今回の協力会社、というわけではないのです。
そのため、新たに契約をした協力会社が0から動機械を知っていく必要があるので、動機械担当者が毎回指導者となります。教える手間が増えるので、激務から解放されません…。
また、協力会社側では「次はどうせ違う企業だろ…」となってしまうため、残念ながら、雑な仕事をされるケースも多いです。
整備も報告書のレベルも雑なこともあり、肌感覚ですが、社内のメンテナンスレベルが下がっている気がします。
4.頑張りではなく資格とゴマすりが評価される
プラント業界は古きよき的なスタンスなので、なかなか評価基準が柔軟に変わりません。
・国家資格を持つ人が有利
・会社に利益を多く貢献した人が有利
・社内政治が上手な人が有利
これまで、仕事の出来不出来よりも、より多くの国家資格を持つ方が評価されました。飲み会にきちんと参加して、先輩を気持ちよくできる部下が重宝されました。
若い方だと「そんなの古くない?」と思われるかもしれませんが、プラント業界ではまだまだ根強いています。
動機械は静機械よりも受注単価が低く、取得できる国家資格が少ないので、どうしても評価がされにくいのが現状です。気の毒だなと思います……。
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前編と後編に分けて、主に「動機械担当者の悩み」をお伝えしてきました。少しでも今の現状に気付けていただけるとうれしいです。
「もっともっと、プラント業界が働きやすい環境になってほしい」。この願いで、noteで発信しています。
柳井工業でできることを、もっともっと模索できればと思います。
前編:動機械担当者が抱える悩み。静機械との違いと根本的な悩みとは
取材・文/ヌイ(@nui_nounai)
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