なんとEPC事業が失敗に?失敗から学んだ教訓と今後の展望
最近、柳井工業は失敗をしてしまいました。
とはいえ、学びがとてもあったいい機会。せっかくなので、備忘録として残していければな、と。
前々から伝えていた「EPC事業」がうまくいかなかったんですよ……。
人材のミスマッチによりプロジェクトが頓挫
EPC事業プロジェクトは、お客さま(以下、A社)から「太陽光発電所を低コストで建設してほしい」と依頼を受けたことがはじまりでした。
A社は太陽光発電所の建設経験があり、発電所を建設する権利が与えられた土地もすでに所有していたのです。
A社にとって太陽光発電所を建設すること自体は容易でした。しかし、建設のコスト面で課題を抱えていたのです。
そこでA社が「低コストで太陽光発電所を作れないか?」と、柳井工業に相談してくださったのです。
しかし、当時の柳井工業には、太陽光発電所の建設に必要な土木工事業の建設業許可がありませんでした。
そこで、資格を持った人材(以下、Xさん)を、新たに迎え入れることにしたのです。
XさんがいればA社の望むコストダウンが叶いますし、柳井工業にとっても新たに太陽光発電所建設の実績ができる。
そのような期待を寄せ、Xさんを採用したのでした。
あれれ……専門家じゃなかったの?
滑り出しは順調のように聞こえるかもしれません。しかしここで、思わぬ落とし穴があったとは……。
私たちがXさんに期待していたのは、「太陽光発電所を安く建設すること」。
ただ蓋を開けてみると、XさんはA社がもともと他社に依頼していた金額と同額以上でしか建設できなかったのです。
理由は、Xさんは自分で太陽光発電所を建てているのではなく、他の業者に一任していたからです。(こんな大切なことを、知らなかったんですよ……。当然、確認していなかった私の責任でもありますが)。
太陽光発電所の建設には、造成や杭打ちなどのさまざまな工程があり、すべての工程で専門家が異なります。
他の業者に一任すると、その業者がさらにそれぞれの専門業者に依頼するため、余分なマージンが発生してしまうんですよね。
建設コストを削減するのであれば、それぞれの専門家に直接依頼しなければいけない。
建設費用がかさんだことで、柳井工業とA社との間にはどんどん溝が生まれました。
このままではA社からの信頼を失い、仕事を依頼してもらえなくなる––。最終的にはXさんが柳井工業から去り、このプロジェクトは失敗に終わりました。
オンライン時代、コミュニケーション不足による落とし穴
ここからは、再発防止を考えたいと思います。今回、失敗の要因は柳井工業・A社とXさんとの認識違いから生じたと考えています。
私たちは、とにかく太陽光発電所の建設コストを下げてほしかった。一方で、Xさんの目的は「太陽光発電所を作ること」のみ。
私たちが何を望んでいるのかを、Xさんに伝わっていなかったのです。完全に、コミュニケーション不足でしたね。
「Xさんをどういう目的で雇用したのか?」を、しつこいくらいにお伝えしておくべきでした。
それから、面接時だけでなく、採用後も積極的にコミュニケーションをとるべきだったと反省しています。
当時、なかなか関係者で集まる機会がなかったんです。基本はチャットで、ときどきオンライン通話でのやりとりで済ませていました。
顔を合わせる機会が少なかった分、価値観のすり合わせが疎かになってしまったのです。
失敗を活かし、再スタート
一連の出来事を通して、EPC事業が簡単ではないと痛感。
太陽光発電所の建設経験者のほとんどが、業者に一任してしまう方ばかりなんです。
造成から杭打ちまでゼロから経験してきた人でないと、今回のようにコストを削減するのは難しい。
また、単に太陽光発電所を建設するだけでは、A社にとって柳井工業に依頼する意味がなくなってしまいます。この先のことを、より考えないといけませんね。
ここで少し、柳井工業の展望について触れさせてください。
実は最近、FIT(※)の案件が少なくなってきたため、今後は非FIT案件でEPC事業を進めていきます。
非FIT案件では国による電気買取の保障がありません。販売先を自分で見つけなければならないのです。
その販売先を探したいと考えていたとき、非FIT開発会社の実務経験を持つ人に出会いました。まさかこんなところで、転機が起こるとは……。
EPC事業を低コストで実施できる新たな人材として、A社と共同でYさんを雇うことに。
もちろん、失敗の要因であった“コミュニケーション不足”と“ミスマッチの防止''を二度と繰り返さないよう、努めていきます。
直近、採用面接ではYさんと直接お会いして、入念に面接。対面で実施することでより細かな意向をすり合わせできたと感じました。
Yさんは経験豊富な上に、コスト意識も高い。A社や柳井工業の意向とマッチしていると確信。
紆余曲折ありましたが、今後は事業をより良い方向に発展させていきたいと思います。
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