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”どんぶり勘定”がひどかったプラント業界、20年間かけて矯正しました
「旧態依然」という言葉がぴったりなプラント業界。
そんな業界ですが、20年もの年月をかけて、少しずつ確実に好転していきました。うれしくなったので、筆を取ろうと思います。
ひとことでお伝えするなら、”コスト”にシビアになったんです。
「必要であれば1億円を、不要なら1円も使わない」を徹底するように。
経営者であればあたりまえですが、かつてのプラント業界には通用しなかったんですよね……。
お金を溶かしていた、おそろしい時代があった
かつてのプラント業界はどんぶり勘定でした。なかでも、1980〜1990年頃はひどかった。
バブル期に向かっていたこともあり、売上は右肩上がり。プラントオーナーは、メーカー・施工会社から言い渡される金額を、なにも疑わずに支払っていました。
「高いけどしゃーないか。景気もいいし払ってやるぞ!」と、大盤振る舞い。お金を必要以上に溶かしていました。
ここだけの話ですが、2022年の相場の約4倍を払っていたんです……恐ろしいですよね。
そんなプラント業界もバブルを経てからは、売上ががくんと下がっていきました。
「もっとお金をたいせつにしていれば……」と嘆いた社長をたくさん見てきています。
すべては”相手任せな姿勢”が招いてしまった
何がいちばんの原因だったのでしょうか?━━個人的には”相手任せな態度”や”鵜呑みな姿勢”が、よくなかったんだと思います。
部品の価格や人件費に、どれくらいの費用がかかっているのか?を把握していなかったんです。
それでも、旧態依然としていたこの業界は、メーカー・施工会社に丸投げ状態━━「これまでずっと任せてきたし、いまさら自分たちで巻き取るのもな〜〜」といった感じです。
……そんな姿勢をつづけていくとダメになります。必要以上に払いつづけると、プラントの存続が危うくなってしまうんです。
ここから心機一転、たゆまぬ努力を約20年間、積み重ねていきました。
今日も話が長くなりましたが、ここからが本題です。
リスク承知で、実験的に”分解”をしていた
ずっと丸投げ状態だったプラントオーナーでしたが、まずは「自分で調べる」を徹底。
”プラントの部品はメーカーにしか聞くしかないという風潮”に、メスを入れはじめたんです。ただしくは、目を背けていたことにきちんと向き合うようになりました。
どうやって知識を身に付けたのか?━━地道に泥臭く、自分たちの手を動かしながら習得していきました。
プラントだとわかりづらいと思うので、”車”に置きかえて考えてみましょう。
例えるなら「車のエンジン」を知るために、わざわざエンジンの部品をぜんぶ分解して、どんな役割を担っているのか?を確かめたんです。
ときにはリスクも伴います。
知識が未熟で相談できない環境のなかで、手探りで進めていく。分解しても、もとに戻らない可能性もある。
それでも、「自分たちが知らなければいけない」という信念でやっていました。
失敗やお金の損失はあったと思いますが、その対価として、メーカーや施工会社に頼らずに「プラントの仕組み」を知れるようになりました。
この過程を経て、見積りの交渉ができるように。結果的に、より安くメンテナンスをお願いできるようになったんです。
メーカーや施工会社は、ほんとうに損なのか?
これまでの話は、プラントの”オーナー”の話でした。
順番が前後になってしまいましたが、前提として、柳井工業はプラント”施工会社”です。
オーナーがプラントに詳しくなってしまうと、施工会社にとっては痛手です。「この施工は工数がかからないので、もう少し安くできますよね?」と交渉されてしまうからです。
それでも私は、肯定的にとらえています。
つい最近まで、「お願いしたいのに、予算がなくて頼めない」という状況がつづいていました。
そんななか、プラントオーナーが「もっと手軽にお願いする方法」を模索して努力した結果、無理のない範囲で工事・メンテナンスをお願いできるように。
一見、柳井工業にとっては損かもしれません。
ただ、メンテナンスの習慣化が浸透すれば、いま以上の依頼がくるようになるので「売上の変動は少ないだろうと感じています。というよりも、信じたいです(笑)。
だからこそ、これからもっと大切になるのは「誠実さ」です。
お金儲けばかりに目を向けるのではなく、いかに”気持ちのいい関係性”を築けるかが、ずっとずっとたいせつになってくると思いますよ。
柳井工業が”警鐘”を。嫌われ役だっていい
同時に、柳井工業があるべき姿について、もう少し内省してみました。
最近の柳井工業は、新規事業として「太陽光発電」と「太陽光EPC事業」にも取り組んでいます。(以下のnoteで詳述しています)。
興味深いことに、EPC事業でも”どんぶり勘定現象”が起こっているんです。
いまは世界中で”脱炭素”の流れが来ています。
そのため、再生可能エネルギーである”太陽光発電”に携わっている会社には、国や世界が手厚くサポートしてくれています。
見方を変えると、かつてのプラント業界のように、恵まれた環境に胡坐をかいている人・会社がたくさん存在していると同義です。
このままいくと、きっと痛い目にあいます。
だからこそ柳井工業は、「もっとお金にシビアになりましょう」と”警鐘”を鳴らす存在でありたいです。
ときには、嫌われ役を買ったっていい。
弊社のビジョンである「関わる業界を”より”クリーンする」を念頭に、現状に向き合いたいと思います。
取材・文/ヌイ(@nui_nounai)
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