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プラント業界の闇③:支店による「多重下請け構造」

これまで、「プラント業界がよくならない理由」をお伝えしてきました。これからも連載という形で、実態を発信していきます。

第1回:プラント業界のからくりと闇
第2回:下請け企業の劣悪環境

今回も派生させ、「支店による二重取り構造」に焦点をあてます。少し複雑なので、図も用意しました。

もしあなたがプラント業界の人であれば、「やっぱり闇だよね...」と共感していただけたり、「そんな実態あるなんて知らなかった...」と新発見になるかもしれません。

まずは前提情報から進めていきましょう。

おさらい:プラント業界は「多重下請け構造」

第一回のnoteでも書いたのですが、プラント業界は人を集めるために、数々の協力会社から人材を募っています。

つまり、多重下請け構造となっているのです。

二重取りなし

1. A社がお客さまから受注をした
2. 人手が足りないので、B社へ人員を募集する
3. B社(協力会社)でも人手が足りないので、C社へ人員を募集する
4. C社(協力会社)でも人手が足りないので、D社へ人員を募集する

※詳しく知りたい方は、1回目の記事をご覧ください。


こちらの構造はご理解いただけましたか?それでは、今回の本題に移りましょう。


二重取り構造をするA社。それに気づかないお客様

今回の本題は「支店による二重取り構造」です。まずは図解で仕組みの説明をいたします。

二重取り構造PNG

注目してほしいのは「A社の支店が介入している」ことです。つまり、A社による「二重取り」が起っています。

先ほどの「おさらい」で紹介した時、A社からD社まではすべて別企業でした。基本は、別会社で依頼するのがマナーです。

では、どうしてA社(一次受け)とB社(二次受け)の間に、A社の支店が入るのか。大きく2つの理由が考えられます。

1. 同じ会社なので情報共有がしやすくスケジュールが組みやすい
2. A社全体で売上目標がある(未達の場合なんとかして達成したい)

1の情報共有がスムーズな点は、やはり大きいみたいです。支店のスケジュール感を掴めるので、指示も連携もしやすい。

2の問題は、結構深刻。A社もA社の支店も、それぞれ売上目標を持って仕事をしています。そのため、支店はA社にお願いをしてマージンを取ることもある現状です。B社の間に入る支店ですが、いつもならB社が担っている業務内容です。

さらに気の毒で恐ろしいのは、A社に依頼したお客様はこの実態に気づいていないこと。

先ほどの図で言えば、本店が支店に500万円を上乗せして請求しています。つまり、お客様は知らずにA社のグループ会社へ、想定よりも500万円多く支払っているのです。


柳井工業は、少しずつこのからくりをぶっ壊しています

プラント

ここで私たちのお話をさせていただきます。

二重構造の取っ払うために、柳井工業は「必ずスケジュールを確保するので、支店を挟まないようにしてほしい」と、率直にA社に提案しました。

この件で、とある一次受け企業の支店には嫌われ、取引がなくなりました...。ただ、それでも良かったと思っています。

支店の二重取り構造を取っ払うことで、お客様は余計なマージンを取られませんし、A社の売上もぐっと上がりました。三方よしが叶ったのです。

・・・

今後も、「二重取り構造」をすこしずつ壊していきたいです。そのためには、まずはこうして現状発信をすることから始まると考えています。

今までのnoteにも「プラント業界の闇」について触れてきています。今後も連載で綴っていくので、気になる方はぜひ下記でご覧ください。

第1回:プラント業界のからくりと闇
第2回:下請け企業の劣悪環境


取材 / 文:ヌイ(@nui_nounai

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