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「名言との対話」5月23日。ジョシュア・レダーバーグ「この星を支配し続ける人類を脅かす最大の敵はウイルスである」

ジョシュア・レダーバーグ(Joshua Lederberg, 1925年5月23日 - 2008年2月2日)は、アメリカ合衆国の分子生物学者で、遺伝学、人工知能、宇宙開発の研究者。

15歳でニューヨークにある名門高校を卒業し、1941年にはコロンビア大学に入学し、動物学を専攻し生化学や遺伝学の実験を行った。学士号の取得と軍役を兼ねて、1943年から軍の病院で衛生兵として働き、海兵の血液や排泄物中のマラリアの検査を行い、1944年に医学士号を取得した。
コロンビア大学医科大学院で実験医学の研究を始め、大腸菌は有性生殖期に入ると、接合を通じて遺伝情報を交換することを明らかにした。大腸菌の染色体のマッピングの研究で、1947年にイェール大学より博士号を取得した。

ウィスコンシン大学マディソン校の遺伝学の助手となり、1957年には医学遺伝学部門を設立した。1958年にノーベル生理学・医学賞を受賞後、スタンフォード大学に移り、遺伝学部門を創設した。

1957年のスプートニクの打ち上げの際には、宇宙探査の生物学にあたえるインパクトについて考え、全米科学アカデミーに宛てた手紙の中で地球外起源の細菌が宇宙船に乗って地球にやってきた場合、未曾有の病気が発生する可能性について言及した。また逆に、地球から発射される人工衛星や探査船に付着する微生物によって地球外生命が脅かされる可能性についても警告した。彼が主張する宇宙生物学は、NASAの生物学における役割を拡大した。1960年代、エキスパートシステムのDENDRALを開発した。1978年に彼はロックフェラー大学の総長になり、1990年までつとめている。

アメリカ政府の科学アドバイザーを長年務め、1950年には大統領の科学顧問になった。1979年には防衛科学委員会の委員になり、ジミー・カーター大統領直属のガン対策委員会の委員長となった。1989年にアメリカ国家科学賞を受賞し、1994年には湾岸戦争症候群を研究する部局の責任者となった。2006年、大統領自由勲章を受章した。
私生活では、1946年にフェローの学生だったエスターと結婚し、共同研究を行ったが、1966年に離婚している。女性科学者は、何世紀にもわたって不遇であり業績は夫や同僚の手柄となっている。革新的な業績を残したにも関わらず、不当な扱いを受けた女性研究者としてエスターも紹介されている。

「百年に一度と言われるウイルス禍の日本、中国、世界。再び「あのとき」を体験し、検証し、本質を抉る全く新しいノンフィクション」である門田隆将の『疫病2020』は、「この星を支配し続ける人類を脅かす最大の敵はウイルスである」というジョシュア・レダーバーグの言葉から始まっている。

微生物やウィルスの視点から、人体の小宇宙から天体の大宇宙までを視野に置いたジョシュア・レダーバーグの業績は大きい。宇宙時代を迎える人類の最大の敵はウィルスであったか。コロナ禍による第三次世界大戦下にあるという認識だけではなく、地球という星とそこに住む人類の運命をウイルスが握っているという視界も必要な時代になったようだ。

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