あたしとサンボマスター

勤しむ夜の灯りの下では
遠くから音楽が流れる
ひと気のない店舗の
退屈を紛らす音楽たち

阿呆らしく性を嘆く
駄目なアイドルポップスとか
高い声で日常を卑下する
孤高のスローバラードとか

そいつらに混じる聞き覚えある声
この声が歌った歌をあたしは聴いた
曲名は思い出せない
フレーズも思い出せない

しかし確かにこの声を聴いたのだ
高いんだか低いんだか
うまいんだか下手なんだか
それとなく年齢を感じる歌声
希望も人生もひっくるめたラブソング

そして曲が移り変わる
変遷の狭間で気づくのだった
あ、っと。

Writer of Wide Scence