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This is 演歌第七世代

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This is 演歌第七世代

さてさて、きのうは「これが演歌だ」という古典的なスタンダードどころを30曲まとめてド〜ンと聴いたわけですけど、記事のおしまいで軽く触れておきましたように、2010年代以後、演歌のヴォーカル・スタイルも時代にあわせてアップデートされるようになっています。

それがいはゆる「演歌第七世代」。これについては以前くわしく書いたことがあるので、具体的な歌唱特性や活動様式など、ぜひそちらをご一読いただきたいと思います。岩佐美咲をその先駆けと位置づけた内容です。

具体的にどんなもんなの?どういった歌なのかちょっと聴いてみたいんだけど?というみなさんのために編んでおいたプレイリストがいちばん上でリンクを貼った「This is 演歌第七世代」というわけです。全14曲、約58分。

演歌第七世代の代表的名曲は、中澤卓也(1995〜)の「青いダイヤモンド」(2017)だとぼくは思っていて、これは曲も最高だし、さわやかメロウな声の質といいソフトでありながら強さも感じる歌いまわしのチャーミングさといい、歌手として間違いなく次世代の日本歌謡界を背負って立つ資質の持ち主が卓也です。

「青いダイヤモンド」はマジ曲がこれ以上ないほどすばらしいんですよね(田尾将実作曲)。さわやかで涼しげな調子、しかもサビ部分で軽く効いているグルーヴィなラテン・ビート香味がえもいわれぬ快感で、もうたまりません。パッと青空が開けたような爽快感とノリのよさがただよい、卓也の甘くソフトなミラクル・ヴォイスでとろけてしまいます。もうこればっかり聴いてしまう。

第七世代の先駆とぼくは考えている美咲と、そんな卓也を三曲づつ選び、そのほかはこの分野で名前が一般的にあがる歌手たちを一曲づつ入れておきました。似たようなスタイルを持つ若手演歌歌手はたくさんいて、あきらかに演歌新世代という潮流があるのを感じさせるんですが、キリがないので代表的な存在だけに限定しました。

例外は二曲入れた辰巳ゆうと。第七世代的なあっさり淡白で薄味の演歌は代表曲「誘われてエデン」で味わえますが、今2022年の新曲「雪月花」にはやや驚くかもしれません。まるで50年くらい時代をさかのぼったような、浪曲ベースの古典演歌そのもので、こりゃいったいどうしたんでしょう。

ゆうとだけでなく、氷川きよしその他の新曲にも同様の古典回帰傾向がみられますし、どうもひょっとしたら今年以後こうしたレトロでクラシカルな演歌復興がこの世界のニュー・トレンドになっていくのかも?という可能性の兆候を感じないでもありません。もうしばらく観察してみないとなんともいえませんけども。

ともあれ、ここ数年ほどで大きくなった「第七世代」に代表される演歌界の新潮流、これが確固たるものになってきたというのは、だれも無視できないしっかりした事実に違いありません。これで、ファン層が固定的で高齢化している演歌が、若年ファンを獲得できるでしょうか。

(written 2022.4.6)

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