見出し画像

サービスの作り方 - Feasibility

<フィージビリティ - 技術的に可能かどうか?>

課題を解決するにあたって、次は技術的に可能かどうかを考えます。

1. そもそも技術的な可能かどうかを調べる
2. 実現するための技術的なインフラが整っているかを考える
3. 実装する技術者が十分にいるかどうかを考える
4. 設計、実装してくれる技術者が夢中になれる技術かどうかを考える

誰も聞いたことのない技術を開発するわけではないので、技術的には全く余裕だろうと思っていました。だてにIT業界に20年いるわけではないので実装技術などは分かっているはずでした。。。

でも、なかなかどうして簡単ではないですね。

1. そもそも技術的な可能かどうかを調べる

1.1.  スマホとクラウドサービスだけで高精度なものを作れるか?
1.2. ロケーションサービス機能
1.3. AIチャットボット機能
1.4. ターゲット(ペルソナ)のユーザーさんが良いと思ってくれるUI

この4つを考えてみました。

1.1.  スマホとクラウドサービスだけで高精度なものを作れるか?
まず、今回の我々のmeanはコンシューマユーザーさんに使っていただいてナンボなのですが、専用デバイスを作った方が精度の高いサービスを提供できるはず。クライアントサイドで最初に考えるべきは

・スマホだけで提供できる方がリーチできるユーザー数が多い
・デバイスを作ったほうが精度の高いデータが取れる

という2択でしたが、今の段階ではデバイスを作ると

・時間がかかる。(すぐにリリースしたい)
・準備の時間
・技適やら、CEやらの認証を取るのが大変
・ガジェットエンジニアがまわりにあまりいない
・お金がたくさん掛かる
・ユーザーさんにデバイスを買ってもらわないといけないので、利用のハードルが上がる。TAMが小さくなる。

などのリスクがありましたので、今のところは精度は一旦スマホで出来ることを極限まで高めてやっていくという方向にしました。

スマホも日本を始めとした先進国のマーケットでの共感を得たいと考えましたので、調査の結果iPhoneオンリーにしました。アンドロイドのマーケットも捨てがたいのですが、スピードを最優先に考えました。

Total Addressable Marketは調査の結果、グローバル全体で以下のおそらく1億人くらいのマーケットになりそうです。

・iPhoneだけの先進国市場
・アンドロイドは先送り
・デバイスは先送り

1.2. ロケーションサービス機能

また、ファンダメンタルなiPhoneアプリ部分、ロケーションサービスについてですが、ここは協業しているアルディートさんがガッツリ北海道の開発メンバー中心に開発をしてくれました。

ロケーションサービスなんてGoogle Maps使ってれば簡単じゃんと思っていたのですが、散歩の軌跡、クルマや電車の高速移動対応、電波が切れたときなどの異常系処理は非常に大変でした。また

1.3. AIチャットボット機能

meanの最大のウリのポイントである「AIチャットボット」の機能はCTOの小栗とCDOの菊野が私のしつこいお願いに負けてすぐにプロトタイプを作ってくれました。

・形態素解析
・ルールエンジン
・コーパス
・データ収集

は正直なかなか大変ではありますが、この領域の研究を重ねてきていましたので短期でプロトを作り続けて2ヶ月弱で1stバージョンの完成に至りました。おそるべしdotDの中の人。

1.4. ターゲット(ペルソナ)のユーザーさんが良いと思ってくれるUI

世界観、ブランディング、見栄えのするUIなどに関してはカクシンさんにおまかせしています。ここは実装技術にも気を使いながら、毎週1回から2回のサイクルで

ワークショップ

プロト作成

ワークショップ

というサイクルをグルグル回しながら週次でどんどん改善を繰り返していきました。Look and feelに関する経験が少ないdotDメンバーに足りなかったUXのテクノロジーはProto typingで繰り返していく事が出来ました。

出来上がったUIはペルソナ相当のテストユーザーさんにすべて見ていただき、その中からすべて選んでもらっています。正直私が選んだものはほとんどないですね。。。笑

2. 実現するための技術的、現実的なインフラが整っているかを考える

今、先進国で一般的に利用されているiPhoneはiPhone SE以降のようです。仮説は90%以上のユーザーは最新か1つ前のiOSを利用しているようです。ですのでそれをベースにしたサービス開発を考えていきます。

採用したもの
・iPhone, iOS
・SWIFT
 →エンジニアはたくさんいる
・Deploy Gate
 →App Storeに上げなくてもテスト配信が出来る
・Google Mapsを使ってもそんなにお金はかからない
 →お金がかかりすぎたらOpen Street Mapに移行
 →MapBoxは面白そうだが、まだ少し先かも
・Open Wether Mapで天候や気温の情報はほとんど無料で利用可能
・国や自治体が無償提供している公園などのスポットデータ
 →あとはユーザーさんにスポットデータは作ってもらえるようにする
・Google Firebase
 →機能的に圧倒的。
・Elastic Search, MySQL
・AWS Lambda, EC2, S3
 →エンジニアの数とドキュメントの数は圧倒的。。。
・Twitterの会話データ(無償で落とせる範囲数十万件)
・認証はLINE認証とFacebook認証
 →自分たちで個人情報やパスワードを管理しなくても良いのはすごくありがたい。
・LINE@
 →問い合わせ対応はこれが一番ラク
・Sketch
 →UIのプロトは使い勝手とパフォーマンスでデザイン、開発メンバーのおすすめをそのまま採用。将来的にはXDになるかもしれませんが、今のところはSketchが一番良さそうですね。

ペンディングにしたもの
・SAP S/4 HANA
 →まだ早い。。。当面はFreeeかマネフォ。SAPに営業に来てもらえるようになりたいです。
・Google, FourSquareなどのロケーションAPIサービス
 →問い合わせごとのAPI課金なので無償アプリでは現実的に不可能
・商用DB(OLTP)
 →これまで自分が慣れ親しんできた高速化、暗号化やクラスタリングの技術は非常に効果的ではありますが、まだ早い。。。金が足りない。
 →性能的にも今の数十万、数百万のケタのデータであればMySQLで問題なし。数億、数十億のケタになったら色々考えます。
・商用DB(DWH)
 →まだOLTPを直接叩いても問題ないので、今のところは大丈夫。将来的にお金が出来たらAWS Red ShiftとかGoogle BigQuery、SAP CPを検討
・ベンダー製のチャットボット
 →SAP, Google, AWS共にトランザクション課金のため、エンタメ要素の強いmeanでは高すぎて手が出ない。結果自分たちで作ったアルゴリズムとデータで結果的には相当高い精度まで持ってこれたみたいです。

このあたりで気が付いたことなのですが、最初無償に近い金額で始めたサービスって

・ドキュメントがものすごい充実している
・Developer Marketingをしっかりやっている
・将来的には高くなる

というのが共通項なんですよね。

3. 実装する技術者が十分にいるかどうかを考える

UX / UI
正直あまり人がマーケットにもいないみたいです。特にデザイナーさんという職種は何を作るかをはっきり指示してくれれば作りますよという方だとサービス開発はおまかせできないのが難しいところです。

今回はカクシンさんというパートナーが素晴らしいメンバーのアサインをしてくれたので出来ましたが、

・世界観
・ペルソナ
・ジャーニー
・共感
・プロトタイピング

と言ったところを共有しながら進めていけるチームが望ましいと思いました。

iPhone / Swift
ここはまあ、沢山いそうです。ただし、B2Bの経験者は集めやすいのですが、B2Cの経験者(世界観とかを考えたUI作りを経験したことのある人)は正直見つけにくいのが実情です。

クラウドサイドエンジニア
AWS、Lambda、Elastic Searchなどの技術はWebで調べれば日本語情報もたくさん出てきますので、ここは比較的人口が多そうだなと思います。

AIアーキテクト
これは本当にいない。マジでいない。これは実際に留学とか大学で勉強した人間を仲間になってもらって、実験を繰り返していくしかないですね。あとは見つけるのが非常に困難です。外資系ベンダーさんの中では研修とか受けて潜在的には出来る可能性がある方もいるかもしれませんが、なかなか外からは分からない。

いずれにしても、日本人は品質意識が高いのでプロトタイピングをしっかり回していくとすごく良いものが出来るということを実感。

その1へ |  次はまた今後

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?