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【なぜ伝統音楽NFTなのか?】Part2.邦楽再生の方法を本気で考えてみる

解決策を本気で考えてみる

前回の記事では、邦楽が抱える問題点をずらっーと挙げ、『このままではお先真っ暗』ということを書きました。

(前回の記事はこちらです)
↓↓↓

だいぶどよーんとした雰囲気になりましたが(書いていて鬱になりそうだった)、大事なのはここからです。

これらの問題を解決するのに有効な策は何か?

これを論じるのが、この記事の目的になります。

早速、本題に入りたいところですが、その前に重要な『前提』について触れておきます。

僕は、解決策を考える大前提として、

「問題解決の方法は複数あり、それらの解決策を最も適した人が実行することが最も重要である。」

と考えています。

圧倒的に優れた一発逆転の策があると考えるのではなく(あったら教えていただきたい)、地道で多角的なアプローチの積み重ねによってコツコツと改善していくしかない、というのが僕の考えです。

そして、それぞれのアプローチを『最も適した人』が実行することで、最大の効果を発揮することが重要だと思っています。

邦楽に対して問題意識を持ち、本気で改善に向けてアクションを起こす人は、残念ながら少ないのが現状です。

故に、少ないリソースで最大の効果を発揮する組み合わせを明確にしておくことは『何をするか』と同じくらい重要になってくると思います。

ということでこの記事では、現時点で邦楽に携わる人々が実際に実行している主な解決策を、

パターン別に分類

した上で、

どのような特性を持つ人が実行すると最大の結果が生まれるか

ということとセットで考察します。

その上で、自分の立ち位置を明確にし、最終的にCryptoWagakkiというプロジェクトを通して何をやっていくかという話に繋げていきます。

少し遠回りのように見えますが、まず現状を知っておくことは後々とても重要になってきます。

早速いきましょう!

*あくまで大まかな分類なので、実際に行われている邦楽関係者の活動全てがいずれかに当てはまるということではないことをご理解ください。(例えば、2つのカテゴリーの中間的な活動をしている方もいますし、1人で複数のアプローチを掛け持ちしている方も大勢います。)

1.楽器の演奏者を増やす

Part.1でも触れたように、現時点での正攻法であり王道です。

僕の母も地元愛知県で、小学生や中学生向けに箏の体験会を開くなどの活動を積極的に行っています。

実は今回この記事を書くにあたり、母に連絡し、実際に活動をしてどうか、こと細かに聞いてみました。

...結論からいうと、「かなり難しい」とのことです。

具体的には、以下のような問題点が挙がりました。

  • 子供たちにはダンスなど、より現代的で気軽に始められる他のアクティビティの方が人気である。

  • 一時期、教育現場が伝統音楽をプッシュした時代もあったが、学生の学力低下などの問題が出てきたことで時間を削られてしまった。

  • 昔の価値観では、女性が邦楽器を習うことに花嫁修行的な立ち位置があったが、価値観の変化でそのような需要が大きく減った。

  • 今はインターネットを通じて、時間を潰せる魅力的なコンテンツに無料もしくは安価でいくらでもアクセスできる

一言でいうならば、『時代の流れ』のあおりを受けているということでしょう。

Part.1では、主に『大きな視点』で少子化や不景気などの問題を分析しましたが、より『小さな視点』で見てみると、他にも様々な問題が邦楽界に降り掛かっていることがわかります。

ぼやっとした所感ですが、これは邦楽という限られた範囲で解決できる問題ではなく、地方創生とかもう少し大きな括りで考える必要があるのかなあと個人的には思っております。

ぜひ、邦楽に限らず地域に根ざした伝統文化活動をされている方で、「こんなことをやったら上手くいったよ」という方法がありましたらご共有いただけると嬉しいです。

さて、この方法に向いているのは、地域に根ざした演奏活動をしている演奏家・指導者です。

緊急事態宣言時では「リモートお稽古」なども行われましたが、やはり「楽器の指導」や「合奏」を前提にしている以上、限界があります。

この施策は、物理的な距離の近い「地域コミュニティ」などで行われる必要があります。

僕自身はというと、地元を離れていることもあり、こういった活動には携われていません。

発信を通じて情報の中継点になる、といった協力はするつもりですが、基本的にはCryptoWagakkiがカバーする領域ではないと考えています。

長所 : 現在の業界構造においては最も効果の高い施策である
短所 : 時代や価値観の変化により、難易度がどんどん上がっている
向いている人 : 地域のコミュニティに根ざした演奏家・指導者

2.一般の邦楽ファンを増やす

ここでは『邦楽ファン』を広い意味で解釈し、「邦楽器が使用されている音楽の愛好家」と定義します。

これはここ10年くらいで、ソーシャルメディアの発達とともに出てきた新たな希望です。

多くの人に馴染みのある『ポピュラー要素』や『洋楽的要素』を積極的に取り入れた音楽コンテンツを、インターネットやSNSを通して発信することで、日常的に邦楽と接点がなかった人にも邦楽の音色を届ける、というのがこの方法の特徴です。

僕より上の世代の方々だと、「SNSをフル活用している」という方は少ない印象ですが、宣伝や告知などにはソーシャルメディアが使われています。

これを完璧に成功させたのが、言わずと知れた『和楽器バンド』です。

この方法の最大の利点は、「楽器演奏者を増やさないと成り立たない」という構造的な問題を解決する可能性を秘めているということです。

実際、和楽器バンドのファンの方は、邦楽器経験者ではない方も非常に多いです。

さらにすごいのは、和楽器バンドをきっかけに邦楽そのものに興味を持ち、実際に邦楽器を始めるファンの方までいる、ということです。

結果的に「1」で述べた「楽器の演奏者を増やす」ことにも繋がっており、ものすごい相乗効果を生んでいます。

他にもう少し身近な例を挙げると、SNSでの『弾いてみた』があります。

J-POPやボカロなど、主に若い世代に人気の曲を邦楽器でカバーすることで、YouTubeやTikTokなどで多くのフォロワーを獲得している方がいます。

YouTubeのコメント欄などを見ると、確かに邦楽経験者の方は依然として多い印象があるものの、それ以外の方にもそれなりに届いているように見えます。

このように大きな可能性を秘めており、実際に成功例も生まれているこの施策ですが、1つ最大の欠点があります。

個人(あるいはグループ)の資質に大きく依存するため、再現性がほとんどないことです。

これができるのは(変化を生むだけのインパクトのある結果を出せるのは)、一部のスター性もしくはエンターテインメント性のある演奏家だけです。

僕も一時期、YouTubeにカバー動画をたくさん投稿していた時期がありましたが、思ったような成果を出すことはできませんでした。

よってこの領域に関しても、CryptoWagakkiでは(少なくとも初期段階では)あまりタッチしないつもりでいます。

ただ、全く注力をしないかというとそのつもりはなく、少しだけ可能性を感じているところがあります。

和楽器バンドはロックミュージックを邦楽器と掛け合わせることで、オーディエンスを広げることに成功しました。

それと似たようなことを、別の文脈でも仕掛けてみようとは思っています。(とはいえ、正直あまり勝算はないので、『うまくいったらラッキー』くらいで考えています。)

長所 : 邦楽の構造的な問題を改善できるだけでなく、邦楽器演奏者を増やすことにもつながる
短所 : 個人の資質に大きく依存するため、再現性がほとんどない
向いている人 : スター性またはエンターテインメント性のある演奏家

3.外部からの依頼を増やす

実はプロジェクトを始める前、僕が一番注力していたのがこれです。

僕は元々バンドマンでドラマーだったこともあり、クリック(メトロノーム)に合わせてレコーディングをしたり、ポップスっぽい「ノリ」を出すのは比較的得意でした。

DAWを使った音楽制作や、ある程度のエンジニアリングの知識・経験もあったので、自分の能力を活かせる場所だと感じ、レーベルや作曲家等からゲーム音楽やバンド音楽などのレコーディング依頼を受けたり、音楽を必要とする非音楽家のクライアントからの楽曲制作依頼(和風系)を受けたりしていました。

楽曲制作やレコーディングの仕事は、多くがポップスやロックの文脈で行われる。

このモデルが他と異なる点は、必要とされる→呼ばれる という順序で物事が進むということです。まず需要が先に来るのです。

ということで、この方法で邦楽市場を拡大しようとするならば、そもそもの需要を増やさなければなりません。

つまり、邦楽器の演奏を必要としている行政・企業・作曲家などに働きかけ、邦楽器を「使ってもらう」必要があります。

「元々必要ならばとっくに使ってもらっている」はずなので、今よりも需要を増やすのに必要なのは「新規開拓」です。

ここには少し可能性を感じています。

詳しくはPart.3の記事で書きますが、NFTをはじめとするweb3の領域では新たな「邦楽器への需要」が確実に生まれているという実感があります。

CryptoWagakkiでは、この分野の開拓を積極的に行っていくつもりです。

ただし注意しなければならないのは、こういったいわゆる『クライアントワーク』は、それ自体が大きな変化を生むわけではない、ということです。

例えば、僕が頑張って新規クライアントをたくさん獲得したところで、得をするのは僕だけです。

報酬を受け取った僕が、より良い仕事をするため楽器を新調したり、メンテナンスに出したり... それで楽器屋さんにお金が落ちる、ということはありますが、それが業界全体の大きなプラスになるかというと、ちょっと物足りないです。

では、このアプローチにおける本当の『果実』は何か?

それは、携わった大元のコンテンツが多くの人に見られることで、間接的に邦楽器のサウンドがその人たちに届くことです。

ここまできて初めて、邦楽という市場の拡大に寄与することができます。

わかりやすい例として、NARUTOや鬼滅の刃などのアニメのヒットを挙げることができます。

こういった和の世界観をベースとしたアニメのサントラ(BGM)には、邦楽器がけっこう使われます。

結果として、アニメの大ヒットと共に『アニメBGMとしての邦楽器サウンド』が全世界に輸出されました。

このように、上手くいけば国内外問わず、ものすごい数の人に邦楽器の音色を届けることができます。

ただ、アニメのサントラを好きになった人が、それをきっかけに日本の邦楽まで手を伸ばしてくれるかというと… 少し距離が遠すぎる気はします。

当たり前ですが、こういったコンテンツは邦楽界への貢献を目的として作られているわけではないので、邦楽界側から何かを『仕掛ける』などの工夫が必要です。

とはいえ、スケールが大きく夢のある施策であることは間違いないと思います。

問題点は、やはり大元のコンテンツの人気に依存していることでしょうか。

アニメなりゲームなり、何かしらのヒットコンテンツに必要とされなければ成り立たないので、再現性に乏しいです。

また、どんなに人気の作品でもブームというものはあり、持続性がそれほど期待できません。(例えばアニメの放映が終わった後はどうしてもサントラを聴いてもらう機会が減ってしまう、など。)

以上を踏まえて総合的に見ると、うまくいったときの効果は高いが、コントロールできない要素が多すぎる印象があります。

よってこの解決策は、あくまでもスポットの飛び道具的な位置付けが良いかと思っています。

チャンスがあれば積極的に攻めるべきですが、メインの施策にはあまり向かないでしょう。

長所 : コンテンツがヒットすれば膨大な数の人の耳に届く
短所 : コンテンツの人気に依存するため再現性と持続性がない
向いている人 : 現代的な音楽感覚のある演奏家

解決策は1つではなく、優劣はない

以上3つが、現時点で効果を生んでいる主な解決策になります。

あくまで「際立った特徴」に基づく分類なので、全ての活動がキレイにどこかに当てはまる…というわけではないですが、整理としては一旦これで終えておきます。

今回、わざわざこんな面倒な分類をした理由は2つあります。

1つは、何かアクションを起こす人(自分も含む)が戦略立案をする際の道しるべになること。

そして2つ目は、

各々のアプローチにそれぞれ、貢献の仕方、実施される場所、向いている人などの違いがあり、そのどれもが、邦楽の再生・発展に貢献でき、そこに優劣はない、ということを強調するためです。

もう少し直接的な言い方をすれば、味方同士で潰し合うのをできるだけ防ぐためです。

冒頭にも述べましたが、現在邦楽のために具体的なアクションを起こす人は非常に少ないのが現状です。

よって、最も避けなければならないことは、『違ったアプローチを取っている人同士がお互いを批判し、同士討ちを始めること』です。

はっきり言って、今の邦楽界に身内で喧嘩をしている余裕は一ミリもありません。

ただでさえ人手が足りていないのに、貴重な時間と労力を味方を倒すために使っていては、発展どころか確実に衰退を加速することになります。

身内で争うデメリットはそれだけではありません。

何かと内輪揉めをしたり、派閥のようなものがある業界からは、優秀な人材がどんどん離れていきます。

ここで言う「人材」には『技術を継承する若い世代』という意味もありますが、僕はもう少し広い意味で捉えています。

詳しくはどこか別の記事でまとめようと思っていますが、邦楽に限らず伝統産業において、もっと広い分野での『プロフェッショナル人材』の必要性は今後、間違いなく上がっていくと考えています。

具体的には、経営者・マーケター・事業開発(いわゆるBizDev)、アートディレクター、エンジニア、デザイナーなどです。

こういった人たちが、力を発揮したいと思えるような業界でなければ、衰退を免れるのは非常に難しいでしょう。

こういった発信を続けることで、優秀なビジネスパーソン・クリエイター・エンジニアの方々に、「解決する価値のある課題」として伝統産業の問題を捉えてもらうことも、非常に重要です。

話がそれましたが、今回あえてバッサリとしたカテゴリー分けを行ったのには、こういった理由があります。

このことで、各人が別の持ち場を担当しており、背中を互いに預け合う同士であるという認識が少しでも広がることを目指しています。

で、CryptoWagakkiはどうするの?

前置きが長くなりましたが、いよいよ(ようやく)本題に入っていきます。

次回の記事「Part.3」では、邦楽業界にいる僕が、NFTやweb3というものを見たとき、どのような可能性を見出すことができるのか「邦楽業界におけるNFTの有用性」について書きます。

そしてラストの「Part.4」では、CryptoWagakkiが軸として掲げる具体策の1つをお話しします。

お時間があるときにでも、ゆっくりご覧いただけたら嬉しいです。

Part.3に続く…

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