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大学教員・研究者になるには

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卒業研究・修論研究を経て研究者になろうと考えている方々向けの記事を集めていきます。大学教員・企業研究者など。
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#博士後期課程

【大学教員公募】若手のチャンス時期

9月に入り、学生は夏休み真っ盛り、教員は研究・雑務真っ盛り、そして公募戦士は大方中休みの時期です。公募戦線の前半戦がほぼ終了したといってよいでしょう。 多くの若手研究者が一次選考のお祈りレターorメールをもらい、沈んでいることと思います。以前の記事でも書いたことがありますが、前半戦のほとんどが計画人事であり、経験豊富で(割と若めな)現職の教員がポストを奪っていきます。このため、若手や常勤経験のない公募戦士の多くが前半戦で散っていくのです。私が自分の公募戦線を振り返り、誰が着任

【大学教員公募】選考を通過しない人の特徴

 最近、研究者間の対面での交流がようやく復活しつつあり、私と同世代(20代、30代前半)の若手と語り合う機会が増えてきました。結婚や子育てといった研究外の話からアカデミックな話まで、色々なことを話しますが、一番盛り上がるネタはやはり大学教員公募に関する話でしょうか。採用から1~3年ほどしか経っていない、あるいは公募戦線真っ最中の人がほとんどである若手ならではの話題だと思います。  話していれば、悲しいかな、選考を通過しポストを掴んだ人と、なかなか選考に通過しない人の差が見えて

【若手の方へ】研究者の道と恋愛

研究者の道を目指す・博士課程に進む人向けの記事を見ると、大方、「研究以外のものを捨てる覚悟を持て」的な脅し文句を見つける。 ・同級生が人並みの給料をもらって出世していく中、むしろお金を払う側の学生を続けていかなければならない ・結婚はあきらめた方が良い ・ポストは保証されていない ・孤独 等々。 間違いではない。が、個人的には、捨てて捨てて研究者を目指すよりも、欲しいもの全て手に入れて研究者になっていく人の方が心惹かれる。金の問題も改めて書こうと思うが、本記事では博士課程

大学教員になるためにすべきこと:公募の書類作成、面接、模擬授業に向けて(更新用)※2023年4月3日更新

 私が執筆した中で最も閲覧数が伸びているのは、大学・研究関連の記事です。大学教員公募に関する有料記事へのアクセスも伸びています。ご購入いただいた方、感謝申し上げます。  本記事は、1か月に1度くらいを目途に更新しつつ、私が執筆してきた大学教員公募、学振、研究関連の記事の道案内的な役割を目指すものです。トップに固定しているのは、こうした理由からです。  最後の部分では、私が公募戦線で戦うにあたり、特に参考にさせていただいた記事を紹介させていただきます。公募は、学問分野によって状

【生々しい話】大学教員になれるか、なれないかー両者を比較ー

大学・研究業界の生々しい話、現実について綴ります。大学教員を目指して奮闘中の公募戦士にはなんとしても戦線を勝ち抜いていただきたく、研究者としての一歩を踏み出した院生の皆さんにはやがて直面する現実への備えをしていただきたく、研究者を志す学部生・中高生には覚悟を固めるために現実をお見せしたく、錯綜する気持ちを正直に本稿に込めます。自分の体験談と、身近にいた(いる)方のかなり生々しいお話しです。 モチベーションを是非上げていただきたく、今回は大学教員に「なれた」後の話から始めます

第5章 「好きなことを仕事に」上級編−アカデミックポストを獲得する(3)大学専任教員を目指した就職活動

大学院博士後期課程3年次には、修了後の進路を決めるため、博士論文の執筆と並行して「就職活動」を進めることになります。 大学専任教員を目指した就職活動は多くの場合、"研究者・研究支援者・技術者等の研究人材のキャリア形成・能力開発を情報面から支援する研究人材のためのポータルサイト"J-RECINを通じて公募情報を探すことから始まります。 J-RECINでは、「キーワード」「研究分野」「職種」「複数条件」のタブから公募情報を検索することが可能です。 たとえば、観光学分野の教員

論文博士のススメ#1. Introduction

 日本には、2種類の博士がいます。課程博士と論文博士です。2つの取得方法があるともいえます(厳密に言えば、もう1つ、功績を上げた人に授与される名誉博士というものもありますが、ここでは扱いません。)。「日本には」と書いたのは、欧米では課程博士が一般的であるからです。よって、日本は少し例外的であると言えます。  課程博士と論文博士も、名称を名乗る際には同じ博士であることに変わりはありませんが、それぞれメリットとデメリットがあります。  このNoteでは、その知られざるメリット