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大学教員・研究者になるには

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卒業研究・修論研究を経て研究者になろうと考えている方々向けの記事を集めていきます。大学教員・企業研究者など。
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#学振

大学教員になりたい人へ Vol.2 ー日本学術振興会特別研究員に採用されると有利になる?ー

今回は大学教員になりたい人への第2弾になります。第1弾についてはこちらから確認してください。 さて、今回は大学教員になりたい人は日本学術振興会特別研究員になることを目指すべきかどうかという話です。ご存じの方には日本学術振興会特別研究員という長い名称よりも学振という略称の方が馴染みが深いと思います。 よく院生に聞かれるのは「学振になった方が就職に有利なのでしょうか?」という問いです。過去に私も学振だったことがあるので色々と聞かれることも多いのでしょう。今回はこの問いに対する私

【大学教員公募】選考を通過しない人の特徴

 最近、研究者間の対面での交流がようやく復活しつつあり、私と同世代(20代、30代前半)の若手と語り合う機会が増えてきました。結婚や子育てといった研究外の話からアカデミックな話まで、色々なことを話しますが、一番盛り上がるネタはやはり大学教員公募に関する話でしょうか。採用から1~3年ほどしか経っていない、あるいは公募戦線真っ最中の人がほとんどである若手ならではの話題だと思います。  話していれば、悲しいかな、選考を通過しポストを掴んだ人と、なかなか選考に通過しない人の差が見えて

申請書を書きたくない気持ちとの折り合い

2022年5月27日に筑波大学人文社会系の所属教員向けに「申請書を書きたくない気持ちとの折り合い」というトークをしました。これは同組織が行なっている科研費セミナーの一環です。それなりに役に立つ話だと思いますので、当日使ったスライドに簡単に補足する形で公開します。 なぜ「書類を書きたくない気持ち」と向き合うのか?科研費獲得セミナーというと「やりたい研究をするために科研費を取りましょう。」「わかりやすい書類を書いて忙しい審査員に理解してもらえるようにしましょう。」「大学は予算が

大学教員になるためにすべきこと:公募の書類作成、面接、模擬授業に向けて(更新用)※2023年4月3日更新

 私が執筆した中で最も閲覧数が伸びているのは、大学・研究関連の記事です。大学教員公募に関する有料記事へのアクセスも伸びています。ご購入いただいた方、感謝申し上げます。  本記事は、1か月に1度くらいを目途に更新しつつ、私が執筆してきた大学教員公募、学振、研究関連の記事の道案内的な役割を目指すものです。トップに固定しているのは、こうした理由からです。  最後の部分では、私が公募戦線で戦うにあたり、特に参考にさせていただいた記事を紹介させていただきます。公募は、学問分野によって状

【学部生向け】研究者を目指す方へ

本記事は、研究者を志す主に大学1~4年生に向けたものです。人生の10歳ほど先輩からの小うるさいメッセージとしてお読み流しください。 私自身、研究者として身を立てようとぼんやり思ったのは大学4年生の頃、より現実的に考え出したのはM1の頃でした。今覚えば、大学1~3年ともったいない時間の使い方をしてしまったと後悔しています。 「研究者になりたい」という志を持つのは、早ければ早いほどいい。研究者は自身の専攻に特化したスペシャリストであると思われがちですが、浅く果てしなく幅広い知

学部・修士・博士における「研究」の違いから見た博士に進学する理由と注意点

あくまで個人の見解ですけど、落ちこぼれ博士だった私の中ではこんな感じ。 前置きまず、ざっくりだけど、情報系の研究は以下のような作業から成り立っている。実験系だと、装置の使い方なども入ってくると思うが、情報系で必要となるプログラミングは学部1〜2年で学んでいるのでスキップ。 知識獲得:文献調査を通じて、過去にどんな研究がなされていたのかを網羅的に調べる。特に最新の動向を把握していないと、最後に学術的価値のない研究だね、と言われてしまう確率が高くなる。 課題発見:1で広く文

研究者の登竜門、学振に関する知見を共有 採用編

今思えばよく通ったなぁ。借金地獄に落ちるところだった。 まぁ側から見れば、借金地獄の方が面白かったのかもしれないけど。 はじめにこんにちわ。ぴくむんです。 私は、 小さい頃から実生活で役に立たない学問ばかり教えられる。 「現代社会でダイレクトに役に立つ学問がない」 研究は、勉強の醍醐味であるのに大多数の人がやっていない。 「大多数の人は研究をする機会がない」 ことに対して疑問を覚えていました。そこで、 国なんてあてにせずに 自分の力で「実生活に直接役に立つ学問の確立」

学振申請書を書くときに意識すべきポイントまとめ

こんにちは。東京大学の山野弘樹です。 本日お伝えするのは、「学振申請書を書くときに意識すべきポイントとは?」という内容です。(本音を言うと、「“絶対に”意識すべきポイント」と書きたかったくらいです。) 学振の「情報格差」問題正直なところ、学振は本当に「情報格差」が凄まじいことになっていて、某大学教授も「受かりやすい申請書の書き方(フォーマット)を知っているか否かだ」、「私が一筆入れるだけで採択率は大きく変わる」と述べておられたように、「知っていること」が絶対的に有利な世界

論文博士のススメ#2_生涯収入と研究者としての持続性について

 論文博士のススメ#1. Introductionでは、博士には課程博士と論文博士の2種類あり、その難易度や取得必要年数、その他の重要なポイントにて比較を行いました。#2では、課程博士と論文博士の生涯収入についてシミュレーションし(グラフに図化しています)、研究の持続性について触れます。シミュレートした条件は以下の4条件です。今後、アカデミアへ就職したケースも比較していきたいと思いますが、今回は企業に就職したケースを比較します。 累積収入(~30歳まで) 恐らく生涯年収は

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