hisashi ikegami 池上久

30年以上日本とアメリカの大手外食企業の役員や社長・会長を勤めた経験を踏まえて、企画や…

hisashi ikegami 池上久

30年以上日本とアメリカの大手外食企業の役員や社長・会長を勤めた経験を踏まえて、企画や経営への心構えやそのノウハウなどについて書いています。特に企業の企画部門に携わる方々の参考になれば幸いです。

最近の記事

「アメリカでのビジネス、考え方の違い」  その4「訴訟」「契約」

仕事の流儀#4 「アメリカでのビジネス」の4回目はこれまでアメリカでビジネスをしてきたときに起こった仕事の上での注意点のあれこれをお話ししたいと思います。 〔4〕訴訟との戦い〈ビックポケットは不利〉 アメリカでのビジネスは訴訟との戦いでもあります。以前友人のアメリカ人の弁護士と会食をしているとき「君が〇〇〇$出せば何でも訴訟してあげるよ」と冗談のように話していました。彼の名誉のために言っておきますが、彼は決してアメリカによくいる何でも訴訟を起こすような悪徳弁護士ではあり

    • アメリカでのビジネス、考え方の違い その3「アメリカ人との交渉術」

      仕事の流儀 #3 私はこれまでのビジネスの中で色々な国の人々と契約や提携を成立させるために様々な交渉を行ってきました。「アメリカのビジネス」3回目の今回はアメリカ人との交渉に関するあれこれをお話ししたいと思います。 〔3〕アメリカ人との交渉術 〈交渉は初手が大切〉 そもそも利害関係の異なる他者と交渉することは日本でも骨の折れる仕事です。その上交渉相手が外国人となると一段とハードルが高くなります。なぜなら言語の障壁があることは当たり前として、ビジネスの慣習や交渉手法、

      • アメリカでのビジネス、考え方の違い その2「 レイオフについて」

        仕事の流儀#2  私は以前アメリカ西海岸に100店舗ほどある日系外食企業のCEOを務めていたことがあります。その時実際に体験した日本とアメリカでのビジネスのしかたの違いやアメリカ人の考え方の違いについて話していきたいと思います。第2回目は「レイオフ」の実際についてです。 〔2〕レイオフ 2022年11月から2023年の3月にかけてアマゾンとメタが計48,000名の大量解雇(レイオフ)を行いました。その規模の大きさと厳しくてドライな経営手段に驚かれた方も多いと思います。今回

        • アメリカでのビジネス、考え方の違い その1 「差別について」

          仕事の流儀 #1 私は以前アメリカ西海岸に100店舗ほどある日系外食企業のCEOを務めていたことがあります。今回はその時実際に体験した日本とアメリカでのビジネスの違いやアメリカ人の考え方の違いについて話していきたいと思います。 〔1〕 差別について  最近では日本でもLGBTへの差別の問題がよく話題にされるようになりましたが、アメリカの場合、差別の問題の前提として、まず人種差別という問題があります。この人種差別という問題はアメリカが建国以来抱えてきた歴史的な背景がある

        「アメリカでのビジネス、考え方の違い」  その4「訴訟」「契約」

          事業戦略の作り方 第10回 番外編

          企画の心得#19 「事業スタート後の仕事の進め方」 これまで事業戦略の策定に関わる様々な内容をプレゼンの流れに沿って、9回に分け説明してきました。今回は「番外編」として、いよいよ事業計画が確定し「X day」を迎えた後、実際に仕事を進めていく上でのポイントを説明していきます。皆さんが行う事業の内容自体は業種・業態によって様々ですので、今回は一般的によく使われている手法を以下の4つの流れごとに紹介していきます。 (1)個別目標の設定手法  ・・KGI、KFS、KPI、SMAR

          事業戦略の作り方 第10回 番外編

          事業戦略の作り方 第9回

          企画の心得 #18 「事業戦略の策定ガイド」 No.9 5⃣ スケジュールの作成  これまで事業戦略の策定に関わる様々な内容をプレゼンの流れに沿って説明してきましたが、最後の重要なポイントは「スケジュールの作成」です。ここではなぜスケジュールの作成が重要であり、どのようなポイントに留意すればよいのかを説明していきます。 〔スケジュール作成のポイント.1〕         『まず「X day」を設定する』  まず「X day」をいつにするか、「X day」の設定のタイミ

          事業戦略の作り方 第9回

          事業戦略の作り方 第8回

          企画の心得 #17 「事業戦略の策定ガイド」 No.84⃣ 事業計画の構築(4)資金計画  これまで4回にわたり事業計画の作成に関わる「商品戦略」「販売戦略」「損益計画」について様々な分析手法の例をあげてご説明してきました。 今回は「資金計画」に関する主要項目のポイントについてご説明していきます。 まず資金の調達にはいくつもの方法がありますが、そのそれぞれに特徴やメリット・デメリットがありますのでよく比較検討する必要があります。また当然のことですが事業にどれくらいの資金が

          事業戦略の作り方 第8回

          事業戦略の作り方 第7回

          企画の心得 #16 「事業戦略の策定ガイド」 No.7 4⃣ 事業計画の構築 (3)損益計画  これまで事業計画の作成に関わる「商品戦略」「販売戦略」について様々な分析手法の例をあげてご説明してきました。今回は実際に「損益計画」を作成していくにあたって主要項目の重要なポイントや注意点などについてご説明していきます。 〔利益の構造〕 「損益計算書」の上で利益とは上の表にあるように5つの利益によって構成されています。この詳細については企画人の皆さんにあえて詳しく説明を加

          事業戦略の作り方 第7回

          事業戦略の作り方 第6回

          企画の心得 #15 「事業戦略の策定ガイド」 No.6 4⃣事業計画の構築 (2)販売戦略 その2  前回までは事業計画作成の基本の流れである「何を」「誰に」「どうやって」売っていくかの中の「何を」「誰に」についていくつかの例を挙げてご説明しました。 今回は「販売戦略」の第2弾として「どうやって」についてご説明します。 〔販売戦略の手法〕  これまで「事業戦略の策定ガイド」の第2回で「PEST分析」「市場環境分析」「SWOT分析」「3C分析」、第4回で「PSM分析

          事業戦略の作り方 第6回

          事業戦略の作り方 第5回

          企画の心得#14 「事業戦略の策定ガイド」 No.5 4⃣事業計画の構築 (2)販売戦略  前回は事業計画作成の基本の流れである「何を」「誰に」「どうやって」売っていくかの中の「何を」にあたる商品戦略についていくつかの例を挙げてご説明しました。  今回は「誰に」にあたる販売戦略についてご説明します。 販売戦略とは、顧客のニーズを把握し新しいニーズを開拓することによって自社の商品やサービスを販売する方法や経路を構築していく戦略のことです。そのためにはまず市場の中でどの分

          事業戦略の作り方 第5回

          事業戦略の作り方 第4回

          企画の心得 #13 「事業戦略の策定ガイド」No.4 4⃣事業計画の構築  今回から具体的な事業計画を構築していくためにはどのような手法を用いるのが有効なのか、参考例を挙げて説明していきたいと思います。 今回は事業計画の柱となる戦略として (1) 商品戦略 (2) 販売戦略 (3) 損益計画 (4) 資金計画 を取り上げます。 この4つの戦略がいかにしっかりと構築出来ているかが事業計画作成の重要なポイントになります。もちろんそれ以外にも、人事・採用・教育・組織・生

          事業戦略の作り方 第4回

          事業戦略の作り方 第3回

          企画の心得#12 「事業戦略の策定ガイド」 No.3 3⃣経営計画の設定 「ビジョンの策定」「事業コンセプトの決定」の次は「経営目標の設定」が必要になります。経営目標の数値自体は、事業コンセプトを決定していく過程のマーケット分析の中で、その領域のマーケットポテンシャルや自社が目指す規模感が自ずと見えてくるものと思われます。しかし実際は、経営目標の中でも売上高・支店数・利益高・投資額などの具体的な数字で表される目標は、全員で共通の認識ができる絶対的なものだけに、事業計画を作

          事業戦略の作り方 第3回

          事業戦略の作り方 第2回

          企画の心得#11 『事業戦略の策定ガイド』 No,22⃣ 事業コンセプトの決定  前節の「1⃣ ビジョンの策定」では、「何のためにその企業や事業を行うのか」という理念やビジョンをどう考えるか、そしてそれをどう広めていくかを説明しました。 ビジョンが定まったら次に「事業コンセプト」を決定していきます。そのためにはまず様々なマーケット環境の分析手法を用いて、現状自分たちが置かれている社会での立ち位置を確認し、今後どの様なことが見込まれるか推測してみることから始めます。 その上で

          事業戦略の作り方 第2回

          事業戦略の作り方  第1回

          企画の心得#10 『事業戦略策定ガイド』  企画の業務の中でも特に重要な役割の一つに、事業戦略の構築と新規事業の提案があります。これらの戦略の策定に関しては世の中に一定の手順や様々な分析手法が存在しています。今回はマーケティングの世界で一般的に使われている様々な手法を各段階に沿って出来るだけ多く取り入れた『事業戦略の策定ガイド』を作成しました。内容量が多いため段階ごとに数回に分けて記載します。ただしこれらの分析手法はその全部を取り入れようとするとかえってわかりにくくなってし

          事業戦略の作り方  第1回

          「平等」という考え方

          企画の心得#9 「平等」の使い方 「平等」もしくは「公平」という言葉の響きには、それを使えば全てが正しいような勘違いをさせる魔力があります。しかし「平等」の使い方を間違えると、とんでもない「不平等」を引き起こすことになります。  2008年サブプライム・リーマンショックと続いたアメリカの大不況の時、私はアメリカのレストランチェーンのCEOをしていました。店舗数100店舗、フルタイム社員(日本の正社員)200余名、パートタイム社員(日本のパート・アルバイト)2,000余名の

          「平等」という考え方

          『正確』『迅速』『客観性』

          企画の心得#8 企画人が心得ておいて欲しいこと  企画書や報告書を作る際(特に報告書の場合)、企画人として心得ておいて欲しいことが3つあります。  一つ目は、扱う数値や内容は常に「正確」であること。 至極当たり前のことですが、これが最も大切で何より優先すべきことです。どんなに仕事が早くても、どんなにわかりやすい資料になっていても、その数値が正しくなければかえって間違った結論を導き出す危険があります。企画部門が提出する報告書は、経営幹部が最終判断を下す際の重要な判断材料になり

          『正確』『迅速』『客観性』