飲食店で学ぶプロダクトへコミットするということ
ここ最近何人かの人に話をしてみたら、割と反応が良かったので、それについてここにメモしておきます。
ここ最近私はプロダクトエンジニアという言葉をよく使うようになりました。まだ浸透し切っているわけではないので、求人票はフロントエンドやバックエンドというワーディングを使っていますが、いずれ変えたいなと思っています。
プロダクトエンジニアとは、今までフロントエンドやバックエンド、そこを両方やるフルスタックなどある領域に対して区切り線のようなものがありましたが、これを取っ払って、「プロダクトにコミットするエンジニア」というニュアンスがあります。
つまり、自分はフロントエンドのエンジニアだからバックエンドはやりません、や、PM は不在なので、PM への問い合わせは自分の仕事ではありませんのようなある種割り切られたボーダーのようなものがない世界線です。
これはデザイナーも同じかなと思います。なので、プロダクトデザイナーという感じです。
hacomono さんの記事に書かれていたのは以下です。まさしくこの通りだと思いました。
このプロダクトにコミットするというニュアンスを、飲食店で例えてみます。
私がまた次回も行きたくなる飲食店は、
ホールとキッチンと分かれていても、自分が入店した時に、お店の奥のキッチンから、たとえ料理をしていたとしても、「いらっしゃいませ〜」と聞こえてきたり、退店するときに「また来てくださいね〜」と言ってくれる店です。
また、「すいません〜」と注文をしようとしたが、ホールが忙しくて対応できていない時に、キッチンの方から「すいません、少しお待ちください〜」とホールの人の代わりに言ってくれるお店です。
さらに、料理をキッチンの人が持ってきてくれる時もあります。ホールが忙しいのを察したら、すぐに自分が動くマインドです。
このようにホールとキッチンを割り切っていないお店は、キッチンがホールに意識を向けており、お店にコミットしている感じがあります。
ゴール設定は、「料理を作る」ではなく「お客さんに美味しいものを」提供する、になっていそうな感じがします。
プロダクトで表現すると、「プルリクエストを出す」がゴールではなく、「ユーザー体験をより良くしたい」「便利に使ってもらいたい」がゴールになっている状態です。
こういう意識でいると、たとえば、 PM が不在だが、お客さんから問い合わせが来たら、一次受けとして、「すいません、今 PM が不在なので、後ほどご連絡させていただきます」のように、返すことができる。この一言だけで良いと思っています。これをエンジニアがやってもデザイナーがやってもいいのだと思っています。ルールとして必ず CS や PM が対応し、それ以外の人はしてはいけないというのがあるのなら話は別ですが。
こういうユーザー対応は PM の仕事と割り切っている人は、 Slack で通知が来てもある種「見えない」ようにしている気がします。見ようとしてないから見えないのです。
でも、プロダクトにコミットするのなら、見えるようになり、対応ができます。
アラートもそうですし、インシデント対応も同じです。自分がそれにダイレクトに対応できなくても、何か起きた時に声をあげて、 Slack で周知して、メンバーを集めてもいいし、 PM にすぐに連絡してもいいし、ビデオ会議が始まったら、画面共有をしたり議事録をとったりしてもいいのです。
とにかく傍観せず、その時に自分に何ができるのかを考えて、コミットするのです。
注文した料理が間違っており、「すいません、チャーハンではなく五目チャーハンを頼んだんですけど〜」とホールでお客さんが言っていたら、ホールに人がいなければ、キッチンから行くべきです。
プルリクエストを出す(料理を作る)のも大事ですが、重要なのはゴール設定されている内容です。(ここではユーザー体験)
ここがずれてしまうと、そのプロダクトのメンバーはみんな違う方向を見ることになり、なんであの人はインシデントが起きても、誰かが対応するのを待っているんだろう、と士気が下がってしまいます。
私は本屋業という小売業をやっているので、この辺りがある程度腹落ちしています。
全ての対応は私しかいないので、私が全てやります。お客さんからのメール対応や、発送の手違いの対応。仕入れ、梱包、全てです。
なので、何か起きたら、自分で全てやるので、誰かがやってくれるとかはありません。
自分が個人で作ったアプリで何か障害が発生したら、真っ先に対応をすると思います。使ってくれているお客さんのために本気になると思います。
なので、こういった話を本当に腹落ちさせるなら、自分の事業ドメインを持つと良いと思います。私の場合は、本屋業です。
会社に属して、その会社のドメインに心底コミットすることは、なかなか難しいですが、少し出資していると脳をバグらせてプロダクトに向き合うと、ユーザー側に本気で何か答えたい、答えてあげたいと思えるかもしれません。
プロダクトにコミットすることは、とても難しいですが、これからの時代はおそらくこっちがとても重要なマインドセットになっていくと考えています。
エンジニアもデザイナーも PjM も PdM もみんなでインシデント対応していくというのが大事なんじゃないかと思った年末です。
じゃあの。