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おめでたいこと


妊娠

いわゆるライフイベントで、おめでたいこととされるもの。
でも私にとっては、嬉しいだけのものじゃなかった。それなりに葛藤もあるし、覚悟も決めなきゃいけない。
いままでの遊び仲間に手放しに言われる「おめでとう」が、「おめでとう(でももう一緒に遊べないね)」に聞こえる。そのたびにつらい。ありがとうって心から言えない。
すると、こどもがほしくて、でもできなくて悩んでる人もいるのに何を宣ってるんだと、私の中の道徳心が説教してくる。本当に申し訳ない。

たぶんいま人生の岐路に立っている。

いままでも人並みに人生の岐路はあった。受験とか、就職とか。でもそれって、期限と方向性は決まってた。岐路ではあるけど、「進学しなきゃ」「就職しなきゃ」という大目標は揺るがない。
でも、今回は違う。妊娠のタイミングはわりと自分で選べるし、しないという選択もある。正解はない。

20代後半。趣味を楽しむためにお金を稼いで、満喫する日々。
仕事も頼られる立場になってきて、やりがいも出てきた。

あ、もうすぐ30歳。

こども、つくるならそろそろだよな。
そんなことはわかってる。
結婚は何歳でもできるけど、妊娠は適齢期がある。生き物なんだから当然のこと。適齢期を過ぎるほど、あらゆるリスクが高くなることは周知の事実。

でももしこどもができたら、
ライブハウスにはなかなか行けないよね?
当分お酒飲めないよね?
海外旅行も行けないよね?
飲み会にも行けないよね?
育休って私が取るんだよね?稼げなくなるよね?お金いままでみたいに使えないよね?

え、ちょっと無理。まだ待ってよ。

こどもが嫌いなわけじゃない。
こどもがほしくないわけじゃない。
こどもはいらないって言えるほどのやりたいこともない。

生物学的に考えればとっくに「適齢期」だし、ほしいと思ってできるものでもないのに、贅沢な悩みだと思う。

...それで?じゃあもう少し後回しにする?まだこのまま今を楽しむ?

いやでももう30だし…
年重ねるほど妊娠も出産も大変になるし…

はい、無限ループ。

でも、授かった。
実際、胎動を感じて我が子を想像すれば幸福感につつまれるし、家族が増える喜びはある。
お酒も飲めないしライブもいけないのはつらい。表立って言えることではないけれど、これは私の事実なんだ。

おめでとうと言ってくれる友達たちよ、
ありがとう、でも私は君たちのこともうらやましいよ。
ないものねだりなのわかってるし、大きな声で言えないけど、仕事も遊びも思いっきりしたいよ。

間違いなくおめでたいけれど、おめでたいとも限らない。
でも腹の中で暴れてるきみに、産まれたことを後悔させないようにする。そのモチベーションだけで、なんとかするしかない。

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