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【会いたい人を、撮りに行く。_#012】キャスティング・ディレクター、高久明子さん

ひさびさに会いに行ってきました♪


映画やドラマやCMで、撮影準備過程で重要なプロセスのひとつが、ロケハン(ロケ地探しね!)と並んで、「キャスティング」である。
「キャスティング」というのは、脚本に適した役者やモデルを選出する仕事であり、メインタレントのように最初から出演者が決まっている場合以外は、役者やモデルに詳しいキャスティング・ディレクターが、候補を挙げてオーディションを組んでくれるのが通常である。

CM制作会社のプロダクションマネージャーとして、日々忙しく働いていた頃、うちの会社では、特に2人のキャスティング・ディレクターに仕事を頼むことが多かった。
彼女たち同士は、同業であり、考えようによってはライバル同士なんだろうけど、不思議とお互いに仲が良かった。オーディションや撮影現場でしょっちゅう会っている俺たちとも仲良くしていて、仕事終わりでゴハンにもよく行った。

ある日、そのキャスティング・ディレクター2人と、うちの社員3人でゴハンを食べていた時、
「小田原にスパウザていう大きな温泉宿泊施設ができたらしく、温水プールもあってとても良いらしい!」
という話が出た。
「いいね、行ってみたいね!」
「行こう行こう、温泉一泊旅行だ!」
「今度みんなで行こうね!」

と、その日はひとしきり盛り上がった。

翌日、会社に一枚のFAXがカタカタと入った。
「新宿発、ロマンスカーで行く小田原の旅♨ 一泊二日、スパウザ泊」
というタイトルの日程表であった。

それは、キャスティングの高久明子さん事務所からのFAXであった。
高久さんは、俺たちの間では「明子姉さん」と呼ばれる、親分肌のキップのいい女性であった。
そして、話が早くめちゃ行動力のある人であったのだ。
そういえば、仕事でもキャストや段取りやスケジュールとかを、グイグイ進めていく推進力を持っていたな。

そんな明子姉さんには社交辞令やその場限りの適当な相槌とかは通じない。
「いいね、行こう!」となったら行くのである。
「またいつか」は今月中のことであり、
「近いうちに」は来週くらいのことなのである!

…ということで、食事会にいた計5人は、問答無用で翌週末にロマンスカーに乗って小田原に行くことになった。
もちろん、もう一人のキャスティング・ディレクターの山内雅子さんも一緒である。

温泉やプールを堪能し、夜はBBQをたらふく食い、カラオケをして、最後は部屋飲みまでして、スパウザを存分に楽しんだ。
こういうことを実行できるのは、明子姉のような人のお陰である。

スパウザのプールにて(たぶん1999年、コッシー撮?)


帰り際、海辺の観光地によくある「アジの干物セット」を、明子姉さんは購入した。
そして俺たちに向かって笑顔でこう言った。

「アジの干物美味しそうね。
アジの干物といえば朝ごはんよね。
土曜日の朝、ウチに集合よ!」

土曜日、俺たちは朝8時に明子姉宅に集合した。
俺と先輩一人は仕事で徹夜になってしまい、会社からタクシーで駆け付けた。
たまたま明子姉の近所に住んでいた会社の後輩も呼び出したら、寝起きで状況がよく分からないまま俺たちと一緒にアジの干物の朝ごはんを食べていた。
雅子さんは、なぜか同じアパートに住む女の子を連れてきていて、その子は「今日はこれから仕事です」と言っていたのに、俺たちと一緒にビールを飲んでいた。

この時食べたアジの干物の美味さが、ある意味人生最高レベルかもしれない。
今も時折思い出される。

2019年には、久々に大人数が招集されました!(ユゴシ撮)


…そんな感じで、とても推進力のある明子姉さん。
いまも突然の招集をかけてくれるお陰で、ちょくちょく仲間内で集まるきっかけを作ってくれます。

なんかもう、親戚みたいな感じで、明子姉さんが「従兄妹の中の長姉」って感じです。
ジイサン・バアサンになっても、ちょいちょい招集してね。
よろしくお願い致します♪