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一万円札は紙やすり

ふと昔のことを思い出しました。

少し前までの"昔のこと"といえば、学生時代や子供の頃のことでした。
しかし今や、記憶の中の昔の自分が今の自分と変わらない見た目をしています。歳をとったものです。

3.4年前、ちょうどコロナが流行る寸前からコロナ直後の私はといえば、尿路結石の結晶くらい尖っていました。

人と違うことがしたい。常識に抗いたい。自分の輪郭を確立させたい。そんな事を本気で考えていました。

イタくてキモい、今思えばありきたりな尖り方です。

その頃の私はソーラン節を再解釈したり、15日間何もない空間に自分を監禁したり、白衣の団体で渋谷を闊歩したり。

今思えば青春だなと思うようなことばかりしていました。

2023年、26歳の俺に辟易します。

当時と比べれば丸く、柔らかく、つまらなくなったと言わざるを得ません。
これが「あの頃は良かった」とささやくおじさんの初期症状なのでしょう。

さて、私はなぜこんな事になっているのか?

結論から言うと、たぶん金です。金が人を丸くさせるのだと私は思います。

これは金が出来たからだとか、金稼ぎを奔走するようになったからだとか、そういう話ではありません。

この資本主義社会において、金はルールブックです。
金を手にした時点で、そのルールに基づいた行動をし始めます。

金から目を逸らせば尖り続けられますが、金はそれを許しません。逃げども逃げどもまわり込まれて、気づけば手元にいたりする。

手元の金は私の友人のように振る舞います。友人が自分の元から去っていくとやっぱり悲しく、気づけば友人に嫌われないように立ち居振舞っている自分がいます。

私は友人に翻弄され、友人のルールを飲み込み、友人のわがままを聞き、友人の為に生き始めました。

友人がいなければ生活もままならず、友人がいないと焦り、友人を探して街を駆け回る。

気がつけば、ユーザー数ぶっちぎり世界一の最高のゲームに知らぬ間にどっぷりハマり、攻略サイトに書かれている人と同じ行動をはじめて、定石を学び、社会と同化してログインボーナスをもらう。

そうして人は丸くなるのでしょう。

ごめんな22歳の俺、26歳の私は写真が上手くて、アイデアが出せて、月に4本コントを作るマシーンに成り下がってしまったよ。

尖りたい気持ちはあるんだ、でもゲームがクリアできない。
もしかしたらゲームをクリアした時に、また尖れるかもしれないね。

今度バージョンアップで新しいラスボスが追加されるらしいよ、渋沢栄一っていうんだってさ。

倒せる気がしねぇ

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