【119日目】さかさまが鳴る
限界を迎えて膝をついたアスファルトには、昨日の余韻がひたひたに浸ったまんまの水たまりと汚らしく反射した今日の空が消えかかっていた。
前提の否定と、将来の不安が入り混じった文章を適当に、本当に適当に紡ぐこの時間は別に何かすごいものでも僕の人生を大きく変えているわけでもなく(気づいてないだけかもしれないが)、それでもなんだかんだチクタクと時計が進んでいくみたいに止まりはしない。
遠くで禁止音が鳴ったので、窓を開いてみた。
ところで禁止音って言葉が存在するかは知らないから、これはフィクションで、なかなか見ることのない青い炎みたいなことだけれど。いや青い炎じゃ結構な確率で見るだろ、というのはまあいいとして。
コンタクトも外してしまって、眼鏡もちょっと手元にないからだいぶ視界はぼやけて勝手にセルフで玉ボケを作り出してる。網膜が。
遠足で上った思い出の山の影が一層濃くなって夜にたたずんでいるのは何となくわかる。
行ったり来たりしながらの人生で、普段からそんな感じだけど、どうしようもないこともどうにかできるかもしれないことも、なんとなく飛び越えて生きようと思ってる。
これ以上何も見えないや、と思って(本当は色々見えるんだろうけど、今日は無理)窓を閉めると、ここでも反射する世界。
物語の中で彼あるいは彼女は、何を思っただろう。
消えかかってる命の中でも、何かは誰かは心に映るんだと気づけただろうか。
2021/5/2/19:29 ヒサノエイ
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