【九十四日目】雲散霧消
書きたいことは、思いついたそばから逃げてゆく。
それはそれは面白いくらいに逃げてゆくので、彼らは腕のいい脱獄犯か何かなのだろう。
もしくは、僕という牢獄の設備の問題かもしれない。
いや、むしろそっちの確率の方が高そうだ。
それにしても、「いいこと」の逃走成功率は異常に高い。
これはいい思い付きだ、とかこれはいい言葉遊びだ、なんて思ったら最後。
あっという間にそいつらは足を生やし、羽をはばたかせて逃げていってしまう。
たいていどうでもいい思い付きとかはどんくさかったり、そもそも逃げようとしていないもんだから、いつでも働かせられる。
でもやはり彼らじゃあたどりつけないところに手が届く、そんな「いいこと」は魅力的なのだ。
2021/4/7/22:17 ヒサノエイ
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