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【116日目】君の話

真っ白な夕景に少しのオレンジが重なっている。

一日中青空に嫌われた日、くじら雲がつるんとした体躯をみせつける。

これは、昨日の夕方の話。

「別れた」っていう君の話を噂で聞いた僕が、自転車で近所を走り回ったとき、遠くから焼き芋のトラックが走ってきたから少し路肩に避けて、なんとなく見上げた空の話。ちなみにトラックの話は嘘。

目を閉じるとサブリミナル的に君の笑顔が瞼に浮かんでは消えてゆく。

あの時、「君が」としっかり伝えられていたら、暮れてゆく空と、下校を促すチャイムを言い訳にしていなかったら。

今頃、水溜りを蹴りつけながら、目の前に広がる無限とも思える空虚な空気を歪な音で震わせてない。

ああ、抒情が過ぎるよ。

そんな着飾るなんて、未来に自分二倍になって帰ってくることを知らないね?反省しなさい少しは。

君の話に戻ると、今日はもう疲れそうだからやめておこう。

とりあえず言っておきたいのは、すべて幻想だということ。

あの日「君が」と僕が言っていたかもしれないし、そうではなかったかもしれないし、そもそも僕らは出会ってすらいなかったのかもしれないということ。

2021/4/29/21:22 ヒサノエイ


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