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「ごめんね」が言えなくて。

「ぶ〜、ぶ〜…」ほっぺたを膨らませ、くちびるをきゅっと結んだ娘が、私の方を見ながらぶ〜ぶぶ〜と声ではない音をたてている。

5歳の娘さーちゃんは「ごめんね」と言うのが苦手。

昨夜いっしよにお風呂に入っているときのこと。冷たい水はかけないでねと言っている私に、ついふざけて水をかけてしまい、「かけないでって言ってるやん〜!」と言われたとたん、それまで笑顔だったさーちゃんの顔が、しまった!という表情に変わった。

その場で「あ、ごめん!」と軽く言えばいいだけなのに、さーちゃんはいつもごめんが言えず、でも悪いことをしてしまったという自覚はあり、どんどんと機嫌が悪くなっていく。

「何か伝えたいことがあるなら聞くよ?」と言っても、だんまりを決め込み、ぶ〜ぶ〜と音を立てるだけ。

何度か同じやり取りを繰り返し、しまいに私が疲れて「もう、いいわ〜」となるのが毎度のパターンだ。

本人が謝りたいなと思っていないのに、無理やり「ごめん」と言わせるのは違うと思っているし、そのまま放っておいてもいいのかもしれないけれど、昨日はお風呂をあがったあとも、ふくれっ面。

本当は謝りたいんだろうなぁ…。こんなモヤモヤした気持ちで寝るのは気分良くないないよね。と思い、もう一度声をかけてみた。

「さーちゃん、何か言いたいことがあるんじゃないの?」

ようやく、さーちゃんがこくんとうなずく。

「言いたいこと、自分で言える?」

さーちゃんは、ぶんぶんと首を横に振る。

「…う〜ん、お風呂でママに冷たい水かけちゃったから、ごめんねって言いたかったのかな?」

そう言うと、さーちゃんはひっくひっくと泣き出し、首を縦にふった。

やっぱり、ごめんねが言いたかったんだ。

誰にだって、ついやってしまうこと、悪気はなかったけど相手の気を悪くしてしまうことはある。やってしまったことは仕方ないから、あ、やっちゃった!と気づいたその場で「ごめんね。」と言えることはすごく大事だと思う。

プライドなのか、ごめんと言ってしまうと自分がが悪者になる気するのか、勇気が出ないのか。さーちゃんがごめんを言えない理由はわからないけど、あ、悪かったなと思ったら、すぐに「ごめんん」って言ったらいいんやよ。こんなに泣くまでひとりで苦しくならなくていいんやからね。

どこまで伝わったかわからないけど、泣いているさーちゃんにそんな話しをした。

自分で「ごめん」は言えなかったけど、その気持ちを伝えられたさーちゃんは、すっきりした表情に。

さーちゃん、少しずつ「ごめんね」が言えるようなっていこうね!

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