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大学時代、抑うつ状態になってわかったこと

大学生の時、抑うつ状態になったことがある。ついでに言えば最近もあまり調子が良くないので、過去の体験を棚卸しすることで今の自分を励まそうと思って書く。生きにくさを感じているという人、頑張りすぎてしまう人の励みになれば幸いである。

あらかじめ断っておきたいが、私はうつ病の診断を受けたわけではない。たしかに症状の程度からみてもうつ病ではないと思う。しかし、その時期の前後と比べると明らかに気分の落ち込みがあったと感じており、ここではその状態を抑うつ状態と書く。

1. 抑うつ状態になった経緯

楽しかったはずの部活動に行けなくなり、毎週見てたアニメも見るのが面倒になった。DTMもしなくなった。かろうじて講義には行けたが、必要最低限の活動以外の時間は何もする気が起きず、布団に横たわっていた。

主な原因は、部活動での人間関係だった。代替わりで先輩がいなくなったり役職が変わったことで人間関係のバランスが変化し、つらいと感じる場面が増えた。

もちろん、原因は一つだけではない。部活動ではコンクールに向けて雰囲気が厳しくなり、自分としても責任を持って取り組もうとしていた。それと同時に自分の実力不足と、なかなか上達できないもどかしさも感じていた。また、新歓の時期に差し掛かっており、慌ただしく過ごしていた。
学業面では研究室配属を控えており、選択を迫られていた。研究室を決めるということは卒業研究から大学院での生活までの数年間所属するコミュニティを選ぶということであり、当然ながら就職など進路にも関わってくる。少なからずストレスを感じていた。

当時、「主に部活のせいで気分が落ち込んでいる」という自覚はあったが、しばらくは我慢していた。ところが、ある日突然部活に全く行けなくなった。確か新歓合宿までは参加したけど、そこで燃え尽きてしまったのかもしれない。今から思えば、新歓の時期の約1ヶ月間が気分の落ち込みが特にひどかった。

練習に行かなくなった日のことを覚えている。練習日の放課後に「行きたくない」と思い、気づいたら練習場所に行かずに帰っていた。一応、仲の良い先輩と同期には「精神的に参ったのでしばらく行けません。また行けるようになったら連絡します」みたいな内容をLINEで送った。これは偉い。

それまでは気分が落ち込んでいても行けばなんとか楽しめていたのだが、本当に無理なときは本当に無理になるんだなあと思った。

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2. 抑うつ状態を自覚してからの対処

部活に行けなくなって、自分は「うつ」の状態なんだろうなと思った。そして、部活に復帰するために、なんとか精神状態を改善させる必要があると思った。部活をやめてしまう選択肢もあるとは思うが、私の場合はまだまだ部活でやりたいことがあった。それに、「高校からはじめた合唱をこんなところで辞めてしまっては、コンプレックスである歌を克服できないままになってしまう、それは嫌だ」という考えがあった。こんな考えをしているから抑うつ状態になりやすいのだと思う。

実は、抑うつ状態になったのはこのときが最初ではないと思う。高校時代にも学校を休みがちになったことがあった。確か月曜日は2週に1回くらい休んだ気がする。本当に朝起きられなくなった。その経験から、自分は精神的に不安定になりやすいという自覚があった。

部活に行けなくなった私がとった行動は、大学のカウンセリングを受けることだった(正確には予約をとった)。その発想が出てきたのは、高校時代からの友人が大学のカウンセリングを利用している話を聞いていたからだ。もしも身近な人たちがメンタルつよつよ人間ばかりだったら、自分の状態に気づくのが遅かったかもしれないし、どう対処していいかわからずに布団に包まる毎日だったかもしれない。

大体どこの大学でも同じだと思うが、私の通っていた大学では心理カウンセラーまたは精神科医との面談ができる。私の場合は精神科医の先生との面談を希望して予約した。予約は3週間くらい先しか空いていなかったと思う。空き具合は時期にもよると思うが、思ったより予約が取りづらいのだなと感じた。学生数に対する担当医師の数を考えればそんなものかもしれない。無料で受けられるだけでもありがたい。

心理カウンセラーがいいのか、精神科医がいいのかは場合によると思う。決定的な違いは、投薬治療ができるかどうかだ。私の場合は、明らかに意欲減退を感じ、話を聞いてもらってどうにかなる気がしなかったので、投薬してもらえる精神科医の先生を選んだ。以前カウンセリングを受けた際に担当してもらったカウンセラーと相性が悪かったという記憶もこの判断を手助けした。どのように選択すべきか、私は専門的なことはよくわからないのであしからず。

初回の診察では50分程度の面談を通して症状やその原因について話をした。確か、何かしらのメモを持っていったと思う。初対面の先生に対して冷静に思っていることを伝えるのはなかなか難しいので、自分の症状についてメモを書いて持参することをおすすめする。抗不安薬と睡眠障害改善剤を頓服薬として処方してもらい、次回診察の予約をとって終了した。精神科医だと次回以降は診察時間が短くなるのが一般的だと思うが、私の場合は次回以降の診察でも調子に応じて20〜40分程度面談をしてくれた。

今から思うと、部活を離れてから初回診察までの3週間で症状はゆるやかな回復傾向にあったと思う。少なくとも悪化はしていなかった。ただ、そこそこの責任を放ったらかしてきた部活に戻らなければということと、以前は気にしていなかった学部の同期との人間関係に悩むようになっていた。週明けとか、行事とか、不安が強くなる日に合わせて処方された薬を飲むことで乗り切った。

その後、ゆるやかな投薬治療を続けながら部活にも復帰した。役職をこなし、精力的に活動した。たまに不安・緊張でつらいときは、相変わらず薬を飲んだ。気分が落ち込んでも、墜落するところまではいかなくなった。

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3. 抑うつ状態になってわかったこと

投薬治療を始めてから、だいたい1ヶ月に1回(症状が良くなってからは2-3ヶ月に1回)のペースで診察を受け、近況を報告した。元々の原因が解決しても、不安の種は次から次に現れるのでそれらに対処をし続けた。

元来色々と気にしすぎる質だったが、少しずつ適当な考え方ができるようになったと思う。無事に部活動を引退まで活動することができ、大学も卒業できた。

なんとか抑うつ状態を切り抜けた経験から、わかったことを列挙していく。


1)気分の落ち込みを我慢しすぎると、悪化して尾を引いてしまう。

ちょっと気分が落ち込むということは、誰にでもあることだと思う。でも、気分が落ち込む出来事が立て続けに起きたり、落ち込む度合いが大きくなってきたりして、それでも我慢してしまうと取り返しのつかないほど悪化してしまう。

実際、この抑うつ状態を経験してから、それ以前と比べてストレスへの対処の仕方に変化があったと感じている。以前はストレスに対して反発し、活力に変換できていたように思うが、今はその「心の弾力」のようなものがない。ストレスを受けると、一旦ぺちゃっと潰れてからストレス源を迂回するような感じになった。これがいいか悪いかはともかく、以前とは変わったなあと感じる。

気分の落ち込みに対して、ある程度の我慢は必要だと思う。落ち込んだ気分を適切に回復させる術は身につけておかないと大変だ。でも、我慢のし過ぎで潰れてしまっては生活に支障をきたす。「趣味に対してやる気がなくなった」「不眠・食欲不振の傾向がある」などメンタルに異常を感じたら、原因となるものから逃げるかカウンセリング等を受けて、早急に回復に努めてほしい。


2)大学のカウンセリングはもっとカジュアルに利用していい。

大学生がメンタルを壊す機会は結構多いように思う。大学入学で初めて一人暮らしをしたり、交友関係が広くなってお酒の付き合いをしたり、自律的に学習をしなければならなかったり、高校生までとは環境が大きく変わる。

大体の大学であれば、学生が無料で相談できる場所が存在する。「学生相談室」とか名称はいろいろだと思うが、心理カウンセラーの方と面談できたり、精神科医の診察を受けることができる。

症状によっては病院に紹介状を書いてもらうこともできるし、私のようにゆるやかな投薬治療なら学内で無料で続けてもらうこともできる(と思う)。

カウンセリングに行くとなると抵抗があるかもしれないが、大学が用意したものなので学生が利用するのは当然の権利だ。心配事があるときや不安に苛まれた時、ちょっとでもカウンセリングという選択肢が脳裏をよぎったら遠慮せずに利用するのがいいと思う。自分のメンタルを守れるのは自分だけなので、くれぐれも自分に無理な我慢はさせないようにしよう。


3)思ったよりも自分のことを心配してくれる人がいる。

部活を1ヶ月半ほど休んで復帰したら、いろいろな先輩や同期が声をかけてくれた。そんなに心配してくれてるとは思わなかったので、嬉しかった。心配をかけるようないなくなり方をしたのが良くないのかもしれないけど。

世の中は敵ばかりではないし、普段は敵でも味方でもないけど弱ってるときは味方してくれる、という人は案外多いのだなと感じた。


4)抑うつ状態のときは、頭の回転が遅い。

一番ひどい時、部活には行かなかったけど講義には行っていた。試験を受けたりレポートを書いたりした。そんな中、不安感が強いときは勉強に集中できないと感じた。

研究室配属に向けて研究室の志望順を決めなければならなかったが、なんかもう面倒くさかったしどう判断していいかわからなかった。講義を聞いて興味のある分野だったのと、教授が格好良かったという理由で第一志望の研究室を決め、その研究室だけ見学に行った。結果としてすんなり希望が通ったからいいけど、冷静に考えたらもう少し先輩との人間関係とか実際の研究テーマとか聞いてからのほうが良かったと思う。まともに判断する力が低下していたように感じる。

うつ病には「頭の回転が遅くなる」という症状もあるらしく、実感としてもそのとおりだと思う。

うつ病になると、会話や本などの内容が頭に入ってこないことがあります
https://utsu.ne.jp/depression/mind/

ただ、私は元々優柔不断だし、本当に抑うつ状態のせいか?と言われると断言はできません。


5)世の中、案外テキトーに生きても大丈夫。

私は小学生の頃から優等生タイプだった。ちゃんと勉強するので成績はそこそこ良いし、学級委員長タイプ……というか学級委員長だった。

挫折経験がないわけではなく、スポーツは全然ダメなので体育や運動部でかなしい思いをしたり、滑り止めの高校に落ちたり(結局第1志望には受かったけど)、大学受験に失敗して浪人したり、いろいろあった。けどまあ向上心が強いほうなので、それらの挫折は何かしらの形で克服してきた。

つまり、「ちゃんと努力したらうまくいく」という思考が強いのだと思う。その裏返しとして、「うまくいかないのは努力が足りないからだ」「もっと努力したらなんとかなるはず」みたいに自分を追い詰める考え方をしがちだなあとも思う。

もちろん世の中の人にはすごく努力を重ねて成果を出してきた人もいると思うけど、別に努力しなくたって死なないし、そこそこで生きていくことはできると思う。

頑張りすぎているとき、おそらく視野が狭くなっていることが多いと思う。「今やらないといけないことを失敗したらとても恐ろしいことになる」みたいな強迫観念に追われて、目の前のことから逃れられなくなっている。そんなことはないだろうか。

その「今やらないといけないこと」は、本当にやらなければいけないことなのか?代替案、妥協案はないのか?

失敗したら具体的にどうなるのか?その状態は本当に絶望するしかない状態か?

こうやって考えていくと、「まあなんとかなるか」と思えるのではないか。

とはいえ、思考の習慣をいきなり変えるのは難しいので、「自分は自分を追い詰めがちである」という自覚を持つことが第一歩だと思う。自分を追い詰めすぎていると思ったら、カウンセリングを受けるなり、考えを変えるために状況を整理してみたり、色々と手を打つことができるだろう。

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4. おわりに

もう少しうまく文章が書けたらなあと思う。今後ゆっくりと改善していきたい。

最近調子が悪いなあと感じるので、回復のために一番ひどかったときのことを思い出して対処の仕方を考えようと思って書いた。当時は日記を書く元気もなくて記録がないので、まだ記憶が鮮明なうちにまとめておきたいという気持ちもあった。

適当に書き進めたので読者の参考になるかどうかはわからないが、体験記としてひとつご容赦ください。鬱々とした気分からの回復に少しでも助けになれば幸いです。

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