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“これが最善” がん治療の選び方 その4

「がん治療の選び方」、特に進行がんにおいて、抗がん剤治療を勧められた時にどうすればいいのか?について数回にわけて考えてきました。
“その1”では、抗がん剤治療を受けないという選択肢についての考察
“その2”では、抗がん剤治療のメリットだけではなく、デメリットにも目を向けましょう
"その3”では、治療の目的(ゴール)は、ワクワクで設定する
その4となる今回は、『制限』についてお話ししていきます。
最後までお読みいただけたら嬉しいのですが、“予後”や“死”に関する話題が含まれていますので無理なさらずにお願いいたします。
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▼極論で考えると見えてくるもの
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これまで
A治療は、副作用は少ないが、効果が少し弱い
B治療は、効果は高いが、副作用も強め
のような設定でお話しを進めてきました。しかし「今ひとつピンとこない」「どうしても決められない」「よくわからない」という方がまだまだ大半かと思いますので、一度“極論”で考えてみたいと思います。
A治療を極端まで変更すると、「副作用は全くないが、効果も全くない」(副作用ゼロ、効果ゼロ)となるかと思います。
B治療の方は、「受ければ5年(10年?)、生きられるが、副作用のためその全期間ほぼ寝たきりで過ごす必要がある」という感じでしょうか?
こちらの方を、副作用100、効果100として考えていきます。
副作用ゼロ、効果ゼロの治療は現実に存在します。“なにもしない”という治療ですね。
あれ?「緩和ケア」ではないの?と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、緩和ケアは副作用5、効果10~20くらいかなと個人的には考えています。
逆に「副作用100、効果100」の治療は、進行固形がんの治療としては、ありません。
そもそも効果100になる治療がなく、よくて60くらいでしょう。
副作用100の治療は、誰もやりたいと思わないし、治療としても成立しませんので、現実的にはありません。もしあったとしても、私はオススメいたしません。
そして、この基準に則った場合、A治療は「効果40、副作用20」、B治療は「効果60、副作用40」くらいをイメージしています。
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▼もうすこし具体的にしていきます
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効果100を5年とした場合、効果60だと3年、40だと2年と言う計算になります。
副作用の方はイメージしにくいかもしれません。
副作用100が、ずっと寝たきり、トイレに行くのがやっとこさとします。
点滴の抗がん剤を2週間に1回受けている場合、抗がん剤の副作用は、点滴後2-3日目まで強く、その後徐々に回復する経過をとる人が多いです。
そして「副作用40」の状態とは、点滴後3日目までは寝たり起きたり。その後1週間目くらいまで徐々に回復するが健康時の50%くらいの体調。次の1週間も徐々に回復し、点滴日にはほぼ100%近くまで回復するが、後半1週間の平均は80%くらいで経過する感じです。
「副作用20」ですと、2週間のうち3日間くらい下痢などの副作用で体調が60%くらいに低下しますが、おおむね90%くらいの体調で経過できると思います。
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▼「副作用40」は周囲のサポートが必須
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「副作用40」の治療を選択しようとした場合、点滴後数日はトイレに行くのがやっと。その後徐々に回復すると言っても、自分で家事をしたり、買い物などにいけるようになるには1週間程度かかってしまうことも少なくありません。
家族や周囲のサポートなく、一人でこのようながん治療に臨むことはオススメできません。
「オレは体力があるから大丈夫だ!」といって始めた人も、最初の数回は何とかなるかもしれませんが、数ヶ月、半年とやっていく間に、「買い物に行くのも面倒。料理をつくるのも面倒。ゴミを出すのも面倒。」体調が良くない日は特に面倒なことは後回し。しかし、後に回してみたものの、やれる日がいつまで経っても来ないなんてことも多く、徐々に生活環境が悪化してしまう人がとても多いです。
がん治療を始めた当初は、「がんに良い食事」を摂ったり、がんの勉強会に参加したりして、「がんに負けないぞ!」と思っていた気持ちも、いつの間にかどこかへ行ってしまい、ただただ抗がん剤投与とその副作用への対応、そして日常生活をこなしていくことが人生の時間の全てになってしまったりしてしまいます。
折角良いゴールを考えても、ゴールに向かうどころではなくなってしまっていませんか?
こうならないためにも、副作用が強い治療を受ける場合には、周囲のサポートが必要なのです。
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▼サポーターがいない場合は?
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サポーター不在で、一人でがん治療を受けなければならない時には、無理せず「効果40、副作用20」のA治療をお勧めいたします。
こういう風にすると、「長生きは難しいということだな」と感じる人がいるかもしれません。
しかし、どれだけ効果が良かったとしても「副作用100」のような治療は誰も受けたいと思わないでしょう。
「どれだけ長生きしようとも、ずっと寝たきりでは長生きしても仕方がない」と考える人がほとんどだと思います。
つまり、「生きている時間」そのものよりも「その人らしく生きている時間」の方が大切ということです。
サポーター不在の中、強い治療(B治療)を受けるという選択は、「生きている時間」は確かに長くなるかもしれないが、「その人らしく生きている時間」はそう長くはないかもしれません。
一方、A治療を選択した場合、「生きている時間」は少し短いかもしれないが、「その人らしく生きている時間」はそこそこあるわけです。
僕がこの状況であれば、まずサポーターを探します。
探しても見つからなければ、無理せずA治療を選択すると思います。
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▼その他の場合
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“サポーター不在”以外にも、強い治療(B治療)を選択しない方が良い場合があります。
①高齢者
②体力の低下している人
③肝臓や腎臓など臓器の機能が悪い人
 です。
いずれも、想定よりも副作用が強く出てしまう可能性が高まります。
「副作用40」のつもりが、「副作用50」や「副作用60」くらいになってしまう可能性が高いということです。
まかり間違うと、副作用のため大きく体調を崩してしまい、そこから回復できないか、できたとしてもとても長い時間を要して、抗がん剤治療を中止しなければならなくなってしまうかもしれません。
そうなると、抗がん剤治療をしないよりも悪い結果になってしまうなんてこともあり得ますと言うことです。
とはいえ、副作用は個人差が大きいので、最終的には「やってみないとわからない」と言うことになってしまうのですが、担当医が「やめた方がよい」という選択肢は選択しない方が良いと思います。
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▼まとめ
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今回は、選択肢としてはあっても、選択しない方がよい選択肢というものがありますよ、というお話しでした。

僕自身、他人に助けを求めることが非常に苦手です。
頭では助けてほしいと思っているし、お願いすればやってもらえるとわかっているのですが、変なプライドが邪魔して、「助けて」を言えないのです。
進行がんという状況を乗り切るには、サポートが必須ですので、勇気を出して「助けて」ということからはじめるといいかもしれませんね。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回もどうぞよろしくお願いいたします。

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