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Chicago Symphony Brass! アメリカ・オーケストラ漫遊(14) Chicago, IL

 シカゴ交響楽団の金管セクションのコンサートが毎年12月に開かれる。オーケストラのコンサートの中で破壊力抜群のあの金管セクションがコンサートをやると聞いては、Tuba吹きとしては聴きに行かない訳にはいかない。
 このようなコンサートがあるのを知ったのが去年だったが、昨年は年末年始に一時帰国をしたため日程が合わず、今年は何としても行くつもりで日程を調整していた。昨年は日曜夜だったが今年は火曜日の夜で、行きづらい日程。火曜の午後と水曜の午前を休んで一泊して参加してきた。
 冬のシカゴは初めてだったが、やはり寒く、すぐにレストランに入って夕食をとり、少しリバーサイドを歩いてクリスマスカラーの夜景を楽しんだ。

2023年12月19日 シカゴ交響楽団ブラス

12/19/2023, Tue, 7:30 pm, @ Orchestra Hall, Chicago
Chicago Symphony Orchestra Brass
Michael Mulcahy, conductor


  • Toccata, Adagio, and Fugue in C Major, BWV 564 / J.S.BACH

  • Fantasy on Was Gott tut, das ist wohlgetan, Op. 2 / CHEVALLIER

  • O vos omnes / CASALS

  • Orgía from Danzas fantásticas, Op. 22 / TURINA

  • Notezart / MCTEE

  • Cantos celtas from Symphony No. 2 (En las montañas de Galicia) / GAOS BEREA

  • Suite No.2 from The Three-Cornered Hat / FALLA

 どうやらこの期間に学生向けの金管楽器のクリニックが開催されているらしく席には学生が多くいた。日本人のグループもいたようだ。それもあって、シカゴ交響楽団メンバーの金管アンサンブル演奏が聞けるという素晴らしい機会なのだが、オーケストラの定期公演と比べると本気度はやや下がっているように感じた。客層は日程によるところもあるだろうが、ほとんどが学生とお年寄りだった。

 冒頭のバッハはCSOでトップを張るメンバー5人による金管五重奏でとても贅沢な演奏だった。
 二曲目の前にTubaのPokorny氏が楽譜をなくして舞台袖に戻って探すのに5分以上時間がかかっていた。最後に見つけることができて入ってきたときに皆笑って大きな拍手が起こり、何か内輪のコンサートの空気を感じてしまった。
 他の曲は何人かの賛助奏者が入っての10重奏となった。賛助はDetroit Symphonyを含む近隣の楽団からと大学生だったようだ。二曲目からは最近の作曲家の曲だった。前半に4曲終えて休憩を挟み、後半の一曲目McTeeのNotezartは再び小編成でホルンとその他の楽器が対向する配置で面白い曲だった。
 最後に今日のメイン、ファリャの「三角帽子」。この曲には多くの賛助メンバーに加えて打楽器も入りメインらしい華やかさが加えられた。
 曲目を当日会場でプログラムをもらってから知ったので予習ができていたわけでもなく、結果的に馴染みのある曲がなかった点は少し残念だった。クリスマスにちなんだ曲があるのかと思っていたがそれもなかった。サウンドとしては、もっと音圧でガッとくるのかと思っていたのだが意外とそこまででもなく、気を遣って合わせていたのかなという印象。ホールの一階席だったから聞こえにくかったわけでもあるまい。

 Chicago Symphony Brassということで、こちらにいるなら一度は行っておくべきコンサートだと狙いを定めて行ってきた。結論、彼らの本職はあくまでもオーケストラ。彼らの素晴らしさはオーケストラのプログラムの中で聴くのが一番だ。それでも、何人かの団員の話を聞いたり、少人数の演奏を聞くことで金管セクションを見る解像度が上がったので、またこれからCSOを聴く楽しみが増えた。

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