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2年で2回婚約破棄になった話#03 元素人芸人糞根性について

こんにちは。朝が苦手な昼間よるです。

2年で2回婚約破棄になった話を2回にわたってお送りしてきました。誰かに「変なの」と思ってもらえたら幸いです。

今日は、2年で2回の婚約破棄をするような人間性を作り上げた原因である、「元素人芸人糞根性が抜けなくて命を全うに楽しめない話」について、です。

※※※

私は大学生のころ、「学生芸人」をやっていた。「学生芸人」とは、えせプロ上等の「芸人もどき」の集団のことである。

お笑い芸人に憧れ、知識を蓄え、どこかで見たようなお笑いを、それっぽくやる。見たことないようなお笑い(シュールもどき、もとい意味不明)をやれる学生芸人は、「天才」に見える世界。スベることも、ご愛嬌。それが学生芸人の世界だ。蔑み合い、讃えあい、小さな輪を形成する。

学生という立場で、お笑いを「やる」ということに価値があった。みんながテニスやフットサルのサークルでスポーツ片手間に飲み明かし遊び明かしているときに、お笑いばかりを見て、漫才やコントを作って、学生相手に披露する。ウケたり、すべったり、これまた地下お笑い好きの少しのファンがついたり。特別で、美しく、狭く小さな世界だ。

大学生は勉強に慣れている。だから情報を吸収すればそれっぽいものを作れる。

大学生は人生が薄い。だから、全てを刺激にし感情を揺り動かすことができる。偽物の天才を作りだす。

そんな世界だ。

私はその中で評価されて養成所に通った経験がある。学生芸人は、シンプルな素人が集まる養成所では、少しの経験値を経たという点で一歩上だ。「それっぽくできる」ことが才能に見え、まわりからそんな風に扱われる。私たちは、勝手にカリスマを自称する。

その時間が醸成したものは何か。

何かに打ち込んだ感覚。「世の中をナナメに見ることができる」鋭角な視点。それを「才能のごとく」評価される快感。「私は人とは違う」「いつも誰かに見られている」という過剰な自己意識。「芸人を経験した私の人生は特別である」というプライド。学生芸人をやって、そのまま就職したなら、「潔く辞めることができた」自分の決断の美化だ。

勝負を辞退しただけなのに。偽物になり、偽物のまま辞めた。

ずっと音の悪いコピーバンドであり、自己満足のカラオケショータイムであり、自慰行為を見せつける変態。

(学生芸人のモラトリアムをおえてなお、芸人を目指す人間は腹の底から尊敬している。本物になる覚悟を決めているのだから。)

あの日々は否定しない。楽しくきらびやかな日々だった。きっと思い出は今の自分を支えている。学生の日々に打ち込んだものは全てそうだ。お笑いに限らない。

ただ、本物じゃなかったことを忘れている。お笑いは生き様だ。面白く生き、それを笑ってもらうことを、あきらめたのだ。

だからこそ、スポーツや音楽と違うのは、辞めた時点で捨てなければいけない。あの時間で、醸成されたものの全てを。スポーツや音楽は身体に残るが、お笑いは精神に残る。社会に生きるには、不要な鋭利とプライドだ。

私はまだ捨てることができない。これが元素人芸人の糞根性。

社会のすべてを斜めに見て、人間の全うな幸せをまっすぐにうらやむことができない。芸人をかじった私は特別だと心のどこかで思い続けている。

特別じゃない。

忘れなければいけない。やめなければいけない。

顔だけの女の頭の悪さを捉えようとすることも。大学デビュー男のノリのつまらなさを言い当てる喜びも。空の写真をあげているインスタを嘲笑うことも。オチのない話を聞くイライラも。人間の特長を誇張して真似たい気持ちも。オチが弱ければフリをつけてごまかすことも。天邪鬼を選択したい気持ちも。平凡と安定を憎むことも。人を観察して尖ったあるあるを唱えて歩くことも。会話の間が怖いことも。出たての芸人を分析/評論してしまう癖も。m-1は3回戦からチェックすることも。なにかと「ダサい」「サブい」と思う感覚も。美しいものを「美しい」と言えないことも。ハッピーで明るい人間を馬鹿にすることも。世界が他の色に見えているような意識も。人の発言を深読みして傷つくことも。性にも汚れにも寛大な心も。誰かに評価されないものを探し褒め称えたい気持ちも。写真があれば一言申したいことも。屈託ない笑顔で笑えないことも。wのマークを使うことが恥ずかしいと思うことも。芸人を「さん付け」で呼ぶことも。悲しく寂しく生きようとすることも。それを自虐することも。

これが本当の私だと思うことも。

覚悟のない人間の悪あがきも偏屈も、みっともない。
世の中に必要とされていない。扱いづらい。

幸せになりたいと願い、幸せな時には幸せだとまっすぐ陰りなく言わなければならないのだろう。

いつか美しい朝には、子どものころの笑顔で、
晴れてるだけで嬉しいと思える日を望まなければならないのだろう。

元素人芸人糞根性を捨てなさい。


なんて、辞められるのかな。

★次回以降話したいことについてのラインナップ(案)★
・2年に2回の破談を経て、翌月から六本木のシェアハウスに住む話
・2年に2回の破談を経て、風俗嬢とのパラレルキャリアを始めた話
・2年に2回の破談を経て、アラサー目的なし語学留学を検討している話

以上のラインナップでお送りいたします。

昼間よる


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