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脳内哲学対話:好きと必要の探究_その1


登場人物

知性(ソフィス)

素直(ホーネスト)

奔放(アマノウズメ)

創造(イデル)

怠惰(ラッセル)

根暗(ブラック)

場面

「好きだから必要なのか、必要だから好きなのか」という言葉をテーマにして6人で哲学対話をします。


本編


ホーネスト:みんな今日は集まってくれてありがとう。今から哲学対話をやりたいと思います。

テーマは「好きだから必要なのか、必要だから好きなのか」です。

みんなは哲学対話のルールはわかってると思うけど、あらためてルールを確認するね。

哲学対話ルール
1.何を話してもいい。

2.ここにいる人に対して否定的、攻撃的な態度はとらない。アドバイスもしない。

3.何も話さなくてもいい。

4.一人でたくさん話しすぎない。人の話を途中で奪わない。

5.なるべく、みんなに問いかける。

6.知識は話さない。自分の経験にそくして話す。

7.話すことは、まとまってなくていい。また、途中で考えが変わってもかまわない。

8.対話を終えてから、ここで話されたことを誰の話かがわかる形で外部に漏らさない。

ホーネスト:みんなルールは確認できたかな? 

(全員うなずく)

ホーネスト:ありがとう。じゃあ今から哲学対話、はじめていきたいと思います。

そう言っても何から話していいかわからないよね。まずは、みんなにボクから問いを投げかけたいと思います。このテーマをどう思いましたか?

アマノウズメ:このテーマ読んで思ったんだけど、必要かどうかなんかどうでもよくねって思うね。好きなものは好き、それ以上でもそれ以下でもねえよ。

イデル:このテーマから浮かんだ言葉は、前半が「純粋」、後半が「打算」なのだ。

ラッセル:なるほどー。それで言うなら、前半が「穏やか」で後半が「不穏」になるね。

ブラック:このテーマは、そもそも自分が「好き」か「必要」かに寄りすぎてるよ。相手に「好き」になってもらえなかったり、「必要」とされなかったり、そういうことを無視してる。

ソフィス:このテーマは、前半の部分にせよ。後半の部分にせよ。危うい言葉だね。まず、前半の言葉であるが、「好きだから必要なのか」というのは、つまり好きになることで、好きになった相手に利益を感じるということである。反対に「必要だから好きなのか」は利益があるから好きになるということである。前半は一見、危うさを感じないように見える。しかし、これ危うい。なぜなら、好きではなくなった時、利益を感じなくなるということであるからだ。これは結局、利益があるかどうかが基準になっているということである。後半も同じである。

ホーネスト:みんなの意見、聞いて面白かったよ。ボクがこの問いを見たときに思ったことは穏やかじゃないなってことかな。みんな、それぞれテーマについて感想を言ってくれたね。それじゃあ、哲学対話に本格的に入っていこう。まず、ボクからみんなに問いを出したいと思います。好きだから「必要」になるとしたら、その「必要」ってどういうことだと思いますか?

(しばらく沈黙が続く)

ソフィス:その質問に答えたいところだが、ホーネストくんに聞きたいことがある。今、君は前半部分の「必要」について聞いたと思う。それは後半部分の「必要」と違うという理解でいいかね?

ホーネスト:それもわからないよ。ボクはそのことも含めてみんなで考えたいと思ってます。

イデル:好きだから「必要」になるの「必要」は、「必要」になってしまうということなのだ。

ソフィス:「必要」になってしまう。なるほど。今、話を聞いてい思ったことであるが、後半は「必要」よりも『好き」の方がその意味を考えべきだと言えそうである。問いにするのであれば、「必要」だから「好き」だとすればその「好き」は一体どういう意味なのか?になるであろう。

アマノウズメ:その問いに俺様が答えるなら、「必要」だから「好き」だなんて言われたら、ムカつくね。その「好き」って相手を利用したいから、「好き」になってやるっていう匂いがするんだよね。だから、ムカつくってわけよ。

ホーネスト:「好き」って感情はもっと穏やかで暖かい感情だとボクは思うけど、このテーマには穏やかさも暖かさも感じない。

ソフィス:ホーネスト君。それはおそらく、このテーマは『好き」と「必要」という言葉を結びつけようとしているからである。「好き」という言葉だけであれば、君の感じたような気持ちになると思うが……。

イデル:前半の「必要」は穏やかなものだと思うのだ。「必要」って言ってるけど、きっとただ側にいてほしいくらいのニュアンスなのだ。

ソフィス:イデル君。君の意見はもっともかもしれないが、このテーマだけではどちらかに確定することは難しいと言えるだろう。

ホーネスト:文脈は大切だよね。

ソフィス:だからこそ人は言葉を自分に引き寄せて話すのである。そして、自分に引き寄せる時、その者の性格や経験が引き寄せ方の個性を生むのである。

イデル:「好き」はいろいろなものを生み出すのだ。オレのアイデアも「好き」によってたくさん生まれてるのだ。

(「好き」をのんきに語っているイデルの話を聞いて、ブラックは居ても立っても居られなくなって手を上げた。そして、話し終えたイデルはブラックを指名した)

ブラック:自分が『好き」かどうか、自分が「必要」かどうかなんてどうでもいいよ。それは恵まれているから、そこを問題にするんだ。そもそも「好き」になってもらえない、「必要」だと思ってもらえない。そこが大きな問題だって思わない?

つづく


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