私が医師として【マイナ保険証】に強く反対する3つの理由
こんにちは、医師・医療経済ジャーナリストの森田です。
先日、厚労省からこんなポスターが送られてきました。
「12月2日から現行の保険証は発行されなくなります」
とのこと。
一体どういうことでしょう?
実はこれかなり不誠実な記載です。
本当は何もしなくても保険証の代わりになる「資格確認書」というものが送られてくるので、急いでマイナ保険証を作らなくても全然問題ないんですよね。でも、そういうことはこのポスターには一切記載されていません。
その代わりに
「現行の保険証は発行されなくなります」
という嘘ではないけど不誠実な表現だけを記載しているのです。
右の情報も左の情報もすべてを出して、国民の皆さんにしっかり考えてもらって、議論してもらって、その上で国民の自由な意思決定を尊重する。というのが、国としてあるべき姿。
不都合な情報は国民に知らせない(政府に都合のいい情報しか出さない)というのは、国民の代表としてあるまじき行為だと思います。
ということで、いい機会ですので今回は
私が医師として【マイナ保険証】に強く反対する3つの理由
という内容をお送りしたいと思います。
1,災害時・通信障害時に対応できない
マイナ保険証には「保険証番号」の記載がありません。
病院に置いてある機械にピッと通すと番号などが病院に通知される仕組みになっています。
ということは、災害時・停電時などでこの機械が動かなくなったときは、保険証番号が全くわからない、ということになります。患者さんを受け付ける病院としても困りますし、もちろん患者さんも困るでしょう。
国は
「災害時は保険証がなくても特別に無料受診できるようにするから大丈夫」
と言っていますが、
そんな大げさな大災害ではなくても、ちょっとした台風で数時間停電になることはありますよね。そんなときに無料受診にしてくれるでしょうか?まずないでしょう。
また災害時ではなく日常生活のなかでも「通信障害」はよくあることです。そんなときに無料受診になるのでしょうか?まずないでしょう。
その意味で、
「すべてをデジタル化するのではなく一部保険としてアナログを残しておく」
と言う選択肢はとても重要だと思っています。
2,電子カルテの統一化は無理
国は、マイナ保険証などデジタル化によって、病院と薬局における薬剤情報、また病院同士の電子カルテなどの情報共有が促進され、国民の健康管理に貢献する
という様なことを言っていますが、これはほぼ不可能です。
というのも、これだけインターネットが普及しリモート化が進んでいる中、未だに病院間の情報のやり取りは「CD-R」が主流なのです。インターネットを介しての情報共有は殆ど行われていません。
今日も当院には他院からCD-Rが届きました。そこには、患者さんのCT画像、MRI画像などが閲覧ソフトと一緒に入っており、また採血・血圧・薬剤データなどの情報がPDFファイルで入っていました。
病院がこれらのデータをネット経由で共有しない理由の一つには「セキュリティー」の問題もありますが、それより大きな問題は、「フォーマットの不統一」です。
電子カルテの会社ごとに、CT画像のファイル処理の仕方、採血データのファイル処理の仕方が全く違うため、データをそのまま送っても自院の電子カルテでは全く読み込めないのです。
電子カルテ自体はここ20年でやっとほぼすべての病院に配備されました。しかし、電子カルテ会社同士のファイル処理方法(フォーマット)は全く統一されていないのです。これを統一しようと思ったら、またイチからやり直し、ということになりかねないくらいの大作業です。
もちろん「マイナ保険証」になったくらいでこの問題が解決されるはずもありません。おそらく「病院間の電子カルテ情報の共有は無理」でしょう。
もちろん、他の先進国では電子カルテ情報が統一化されている国もありますので、絶対に無理ということはありません。でも、その大作業はマイナ保険証とは全く別の問題です。別の次元での壮大なシステム構築なのです。
3,そもそも政府に信用がない
マイナ保険証に限らずマイナンバー制度全般に言えることですが、個人番号に銀行口座や保険証番号など諸々の個人情報を紐づけることは、国家による国民生活の統一管理に繋がります。
病院受診や買い物など生活の至る所にマイナンバーカードが必要になったら、国が国民の諸々の権利を制限出来ることになりかねません。そこには「個人への国家の介入」が強化されるかもしれないという大きなデメリットが発生するのです。
もちろん、それで手続きが簡略化されたり、生活が便利になることは良いことです。
デンマークやスウェーデンなど北欧の国々のような、国政選挙の投票率が高く政権交代も頻繁で政治家と国民の距離が近い国家、つまり政治への信頼度が高い国家なら、こうした国家による情報管理も問題ないかもしれません。
しかし、この記事の冒頭のポスターのように、国家が国民に「都合の良い情報」しか知らせないような国家、国民を騙す気マンマンの国家に、このような国民の統一管理を許してしまうのは非常に危険だと思います。
事実、コロナワクチンの件では、国は「接種歴別感染率データ偽装」と「心筋炎発症率データ偽装」で、2回も国民を騙しました。
参考:
そんな「国民に都合の良い情報しか出さない」「国民を騙す気マンマン」の国、その中で少しでも国の方針に異を唱えたら個人番号の制限をかけられる…。
実際にカナダでは政府がコロナワクチン接種義務の抗議デモ参加者の銀行口座を凍結するという騒ぎがありました。
これは全体主義・ファシズム化に向かう、国家による言論統制でしょう。
今、私達はいろいろな意味で国の行方をしっかりと見定めないと、大変な時期を迎えていると思います。
決して他人任せにせず、ましてや国任せになどせず、国民全員でしっかりと考えていきたい問題です。
注)この記事は投げ銭形式です。
医療は誰にでも公平に提供されるべき「社会的共通資本」、
という信念なので医療情報は基本的に無償で提供いたします。
でも投げ銭は大歓迎!
いつも皆様の投げ銭から大いなる勇気を頂いております。
ありがとうございますm(_ _)m
■書籍紹介
■内容■
ボケても、家族がいなくても、「理想の死」は迎えられる
コロナ禍の時代にこそ考えたい、「理想の死」の見つけ方
「万一、何かあったら心配」
「1日でも長生きしてほしい」
……本人に良かれと思って誰もがとる行動が、じつは高齢者を孤独に追いやっている。
「好きなものを食べたい」
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そんな人間として当たり前の希望を、願っても仕方ないと口に出すこともできない。私はそうした高齢者の方々をたくさん見てきた。
どんなに安全を求めても、安心を願っても、人間は必ず死ぬ。
いま本当に求められているのは中途半端な“安全・安心"ではなく、その“安全・安心"の呪縛から高齢者の生活を解放することなのだ。
「うらやましい孤独死」は、そのもっともわかりやすい例だろう。
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夕張に育ててもらった医師・医療経済ジャーナリスト。元夕張市立診療所院長として財政破綻・病院閉鎖の前後の夕張を研究。医局所属経験無し。医療は貧富の差なく誰にでも公平に提供されるべき「社会的共通資本」である!が信念なので基本的に情報は無償提供します。(サポートは大歓迎!^^)