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anとangの違いを日本語から類推する

以前の記事でanとangの発音の区別の仕方を書きましたが、ここではある漢字があった場合それがanなのかangなのか、yinなのかyingなのかを区別する方法を考えます。
例えば銀行をyinhangと書き、インハンと読むわけですね。さてそれぞれの発音に拼音にgはあるのでしょうか、ないのでしょうか。上には回答が書いてあるので、銀の文字にはgがなく、行の文字にはgがあることが分かります。このことは中国語を発音する際の大きなポイントですので、これらの発音がある場合、厳密に区別する必要があります。

日本語の漢字の発音から類推する

実はこのgがあるかないかというのは、日本語の漢字の読みからほぼ100%類推できます。銀行は日本語では"ギンコウ"と読みます。前の発音にはンの文字が入っている。この場合の中国語の発音は必ずnで終わります。ngにはならない。これがポイントです。この対応は正確です。

例えば、日本語で音読みがンで終わる漢字をいくつかあげます。これは中国語ではnでおわります。
金:キン:jin
今:キン/コン:jin
万:ワン/バン:wan

日本語では音読みがンで終わらず、中国語でngで終わる漢字はこの様なものです。
声:セイ/ショウ:sheng
明:メイ/ミョウ:ming
常:ジョウ:chang

この様に中国語になると日本人の耳にはンとしか聞こえない音が、中国語では2つのカテゴリーに分かれていて、その判別には日本語の漢字の発音が参考になることが分かります。

例外は新しい中国語の発音

このルールなんですが、いくつかの例外があります。例えば上海。シャンハイと読み、上の文字にンの発音があります。しかし中国語はshang なのではngになっています。北京はペキンと読みますが、京はjingでやはりngで終わります。

これらの例外は、中国語の発音が比較的新しい時代のもので、中国本土で変わってしまったからというのが理由です。時期的には明の時代の発音でしょう。中国語の発音はモンゴル族と満州族の統治時代に大きく変わったと言われており、元の後に変わってしまった発音を、明の時代に学んだのかなと推測しています。清の時代になるとまた変わってしまいます。

ですので、昔の日本人が、上という文字を"ジョウ"と聞いていたものを"シャン"と聞き始めたわけです。ですので、現在の日本人が中国語のanとangを、yinとyingを聞き分けられないのは、なんら不自然なことではありません。昔の日本人もンと認識しています。

発音の前に漢字をチェックする

ですので、僕はある新しい言葉が、特に地名などが出てきた場合、四声と一緒にこのgの有無も頭の中でチェックする様にしています。
例えば横浜をhengbinと中国語で発音します。日本語の音読みで、横はオウ浜はヒンと発音しますので、前者はng後者はnで終わると判断できるわけです。

日本語の普通の漢字の発音、呉音/漢音であればまず間違いありません。唐音の場合は注意が必要です。が、それはごく一部の特別な読み方です。


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